安達太良山
定期火山情報
第3号
平成10年10月13日
11時00分
福島地方気象台発表
火山名 安達太良山
平成10年9月21日,29日,30日,及び10月8日に安達太良山の現地観測を実施しました。
また,8月26日には安達太良山沼ノ平の臨時現地観測を実施しましたので,それらの結果と前回の
定期火山情報(平成10年7月29日)以降の状況についてお知らせします。
1 概況
沼ノ平では,泥水の噴出が続いています。従来から発生していた沼ノ平中央部から南側にかけての
噴気地熱地帯では噴気孔が増えて勢いもやや強くなりました。
硫化水素等の有毒ガスも引き続き観測されました。地中温度が96度以上の高温になっているところが
多く,90度以上の湧水も引き続き観測されました。
安達太良山の火山活動に大きな変化はありませんが,沼ノ平の表面現象は前回と比べやや活発になり
ました。
なお,沼ノ平への立ち入りは規制されています。
2 震動活動
今年4月以降からの火山性地震と火山性微動の回数は,下表のとおりで特に大
きな変化はありません。
(平成10年10月11日現在)
平成10年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
火山性地震 1回 2回 0回 1回 1回 2回 1回
火山性微動 0回 0回 0回 0回 0回 0回 0回
3 遠望観測
この期間,福島地方気象台から噴煙は認められませんでした。
4 現地観測
沼ノ平では,泥水の噴出が続いていますが,勢いは弱くなりました。噴気地熱地帯では噴気孔が増えて
勢いもやや強くなり,噴気の高さは最大で約20メートルのときもありました。沼ノ平の噴気ガスの成分
や流水のpHには,大きな変化はありませんでした。
鉄山南斜面で前回検出された亜硫酸ガスは,今回は検出されませんでした。
鷲倉,新野地では,前回と比べ大きな変化はありませんでした。
定期火山情報
第2号
平成10年7月29日
11時30分
福島地方気象台発表
火山名 安達太良山
平成10年7月14日,15日,27日に安達太良山の現地観測を実施しました。
また,5月28日と6月17日には安達太良山沼ノ平の臨時現地観測を実施しま
したので,それらの結果と前回の定期火山情報(平成10年4月28日)以降の状
況についてお知らせします。
1 概況
沼ノ平では,泥水の噴出が続いています。噴気地熱地帯でも地中温度が97度
以上の所があり,90度以上の湧水も引き続き観測されました。
泥水の噴出箇所周辺や噴気地熱地帯では,地盤が軟弱で内部は高温になってお
り,有毒ガスも発生していますので,引き続き注意が必要です。
なお,沼ノ平への立ち入りは規制されています。
鉄山南斜面(くろがね小屋の上の変質地域)では,昨年4月以降検出されなかっ
た亜硫酸ガスが今回観測されました。
なお,くろがね小屋から鉄山への登山道は通行止めとなっています。
2 震動活動
今年に入ってからの火山性地震と火山性微動の回数は,下表のとおりで特に
大きな変化はありません。
(平成10年7月27日現在)
平成10年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
火山性地震 22回 6回 1回 1回 2回 0回 1回
火山性微動 0回 0回 0回 0回 0回 0回 0回
※1月の火山性地震22回の内15回は猪苗代湖周辺を震源とするものです。
3 遠望観測
この期間,福島地方気象台から噴煙は認められませんでした。
4 現地観測
鷲倉,新野地では,前回と比べ大きな変化はありませんでした。
沼ノ平では,泥水の噴出が続いています。泥水は高温で間欠的に泥水を30
cm位の高さまで噴き上げています。
沼ノ平の噴気地熱地帯は中央部から南側で引き続き高温で,地中温度が97
度以上になっているところもあります。南西部では,噴気活動も活発で噴気の
高さが10mを超える日もありました。
鉄山南斜面で亜硫酸ガスを観測した他は,噴気ガスの成分や流水のpHには,
大きな変化はありませんでした。
定 期 火 山 情 報
第 1 号
平成10年4月28日14時00分
福島地方気象台発表
火山名 安達太良山
平成10年4月20日,23日,24日に安達太良山の現地観測を実施しましたの
で,その結果と前回の定期火山情報(平成9年9月24日)以降の状況についてお知
らせします。
1.概況
沼ノ平では,泥水の噴出と噴気地熱地帯の拡大や高温の流水が引き続き観測され
ました。
泥水の噴出個所周辺や噴気地熱地帯では,地盤が軟弱で内部は高温になっており
,有毒ガスも発生していますので,引き続き注意が必要です。なお,沼ノ平への立ち
入りは規制されています。
2.震動活動
火山性地震 (平成10年4月26日現在)
┌───────────────┬───────────────┐
│平成9年 │平成10年 │
├───┬───┬───┬───┼───┬───┬───┬───┤
│ 9月│10月│11月│12月│ 1月│ 2月│ 3月│ 4月│
├───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┤
│ 2回│ 2回│ 0回│ 2回│22回│ 6回│ 1回│ 0回│
└───┴───┴───┴───┴───┴───┴───┴───┘
平成10年1月の22回の内15回は猪苗代湖周辺を震源とするものです。
火山性微動
この期間安達太良山を震源とする火山性微動は平成9年10月23日と11月
17日に観測されています。
3.遠望観測
この期間,福島地方気象台から噴煙は認められませんでした。
4.現地観測
鷲倉,新野地,鉄山南斜面等では,前回と比べ大きな変化はありませんでした。
沼ノ平では,泥水が噴出して,直径約3mにわたって溜まっています。周辺部で
93度になっており,間欠的に泥水を50cm位の高さまで噴き上げています。この
現象は,前回に比べて頻度,量ともに多くなっています。
沼ノ平の噴気地熱地帯は拡大し,今まで高温化が見られなかった中央部で,地中
温度が96度になっており,南西部では,噴気孔の増加が見られ,噴気は前回は5m
程度だったものが,10mの高さに達していました。
また,沼ノ平西側の谷の観測点でも,噴気孔の増加や付近の地中温度の上昇が見
られました。
噴気ガスの成分や流水のpHには,大きな変化はありませんでした。