7.14 火山噴火予知連絡会の拡大幹事会「岩手山の観測体制」の結果 ―――岩手山の火山観測体制について――― 岩手山では,昭和56年から東北大学により地震観測等が開始されたが,平成7年9月の 火山性微動の発生をきっかけとして順次観測監視が強化され,東北大学,気象庁,国 土地理院,地質調査所などにより観測監視体制が敷かれている。 活発化の傾向にある火山活動に関する評価を踏まえ,岩手山における観測体制につい て整理・検討し,これらの観測成果の流通について再度確認するとともに,今後の岩 手山の火山観測体制・協力体制について検討するため,火山噴火予知連絡会の拡大幹 事会を開催した。 その結果, @ 岩手山については,活動状況の変化に応じて,すでに関係機関の連携の下に震動 観測,地殻変動観測など各種観測が実施されており(別添1),火山性地震・火山性 微動の発生状況,地殻の伸張傾向などは把握されている。 A しかしながら,地下のマグマや熱水の挙動を詳細に把握するためには,地震・火 山性微動など震動源の正確な深さを求め,山体の西側にあると推定される地殻変動の 力源を把握し,山体変動の精密な観測及び重力・地磁気観測等による火山体の内部状 態の変化の観測を行うことが必要である。また,火山活動の推移を推定するために, 過去の火山活動史を明らかにする必要がある。 B これらの観測は関係機関の緊密な連携の下に実施することとし,その成果はでき る限り共有化して,必要に応じ火山活動の監視及び火山情報への有効活用を図る。 との結論を得た。 現在,岩手山の火山性地震活動の活発な状況が継続し,またしばしば火山性微動が 観測され,地殻の伸張の傾向が継続するなど,これまでのところ火山活動は引き続き 活発化の傾向を示している。 気象庁は,火山噴火予知連絡会を通じて関係機関との情報交換を密にするなど一層 緊密な連携を図り,今後も活動の推移について注意深く監視を続ける。