鬼界アカホヤ(7.330ka)
鬼界アカホヤ火山灰の分布域が中央日本にまで広がっていることは,町田・新井(1978)によって初めて示された.福井県水月湖の湖底に堆積したシルト〜粘土層にみられる年縞を数えた福沢(1995)は,西暦1995年から測って7325年前の年縞に鬼界アカホヤ火山灰が挟まれていることをみつけた.西暦2000年からさかのぼれば7330年前である.
鬼界アカホヤ火山灰の放射性炭素年代は6.3kaに集中する(町田,1991).この時代の放射性炭素年代は約900年若く出るから(Stuiver and Pearson,1993),鬼界アカホヤの噴火年代を7.330kaと考えることと矛盾しない.
アカホヤ火山灰は中央日本の高山を覆う泥炭層のなかに厚さ数mmの薄層としてしばしば見られる.積雪期に降下したのならこのような薄層が地層として保存されるとは考えにくいから,アカホヤ火山灰の噴火は夏から初秋にかけての無雪期に起こったものと考えられる.