北に向かった流れ〜前橋岩なだれ
　北に向かった流れは長野原町応桑に多数の流れ山を形成したのち吾妻川に流入し，泥流をひきおこしています．この泥流は吾妻川を経由して利根川に流れ込み，広い範囲に堆積物を残しています．吾妻川が合流するとまもなく，利根川は勾配の緩やかな関東平野に入り，流速は衰えます．泥流は多量の土砂を運搬するエネルギーを失い，前橋付近に堆積物を残しました．前橋市の南西部の高まりはこのときに形成されたもので，前橋台地とよばれています．このようなことから，２万３０００年前に発生した岩なだれのうち，北に向かったものを前橋岩なだれとよぶことにします．

南に向かった流れ〜塚原岩なだれ
　一方，南に向かった流れは，南軽井沢あたりから南西に流れを変え，現在の御代田町を通過して佐久市塚原に達しました．塚原には岩なだれ堆積物の特徴である流れ山が多数残されています．このことから，南に向かった流れを塚原岩なだれとよびます．また，塚原岩なだれはここで千曲川に流れ込みました．