村上善道・早川由紀夫(1996)風塵堆積量の季節変化 ---群馬大学構内における風塵堆積量の観測---

1996年3月発行予定の群馬大学教育学部紀要自然科学編第44号に印刷されます.
以下は,その抜粋です.

まとめ

1994年2月1日から群馬大学構内で風塵堆積量を観測した結果、次のようなことがわかった。

風塵の年間堆積量は、有機物で612.0g/m2、無機質で983.9g/m2、合計1,592.5g/m2であった。

風塵堆積量の季節変化

堆積区分1期…11月〜3月にかけて堆積量は多い週と少ない週にわかれ、測定値にばらつきがみられる。堆積量が多い週には必ず最大瞬間風速20m/s(最大風速10m/s)以上の日が含まれている。特に冬季は季節風の影響で風が強い。このため、風塵は風の強い日に多量に堆積する。強い風が吹かない日は、風塵の発生にそれほど適していないためあまり堆積しない。この結果、測定値のばらつきがみられるようになる。

堆積区分2期…4月〜5月は常に6g/m2/day以上堆積している。どの週も無機質が堆積量のほとんどを占めている。春季の堆積量は年間堆積量の50%以上を占めている。堆積量が多いからといって必ずしも風が強かったわけではない。これは、風塵の生産に適した日が多いため、弱い風でも風塵を発生させてかなりの堆積量を得るためである。

梅雨期…降水量の増加と植物の成長による影響のためか堆積量は徐々に減少していく。

堆積区分3期…7月〜11月前半までの堆積量は少ない。この理由は、他の期間と比べ風が弱く、被植による影響もあって裸地が少なく、地表面もそれほど乾燥しないためである。

以上のように風塵堆積量変化の推移は、季節によって3つのパターンに区分され、風塵堆積量の1年の経過は季節変化をともなっている。

風塵堆積量を決定する気象要素

風塵堆積量の季節変化を決めるのは気象要素で、地表面の乾燥度と風の強さが重要である。相対湿度で25%程度の乾燥状態が保たれたときに風速5.5m/s以上の風が吹くと風塵が発生する。乾燥度が増すほど風塵は発生しやすくなり、風の強さが強くなるほど風塵の発生量は増す。


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