ハワイ島編第2話

「流れる溶岩をこの目で」

 「赤い溶岩を見る」ということは、ハワイに来た最大の目的でもあった。先日ヘリコプターで見たが、それはそれ。あるって現地まで行き、間近で溶岩を見、その熱気を肌で感じてくること、これが本当の目的であった.

 去年も僕は溶岩が流れ海にはいるところ「オーシャンエントリー」に行ってきた。それは感動のあまり声が出なかったが、地表をはって流れていなく、溶岩トンネルから直接海に注いでいたため、流体の流れる溶岩は見られなかった。

 今年もその「オーシャンエントリー」へ行く。雨のため何日も延びたが、やっと今日は晴れて行くことができた。道路が溶岩で寸断され、そこからは延々と続く溶岩の海原を歩くのみだ。下の写真のような風景が1時間以上続いた。しかし足どりはなぜか軽い。それは、オーシャンエントリーの大きな水蒸気の柱が目印になり、しだいに大きくなっていく煙と同じように、僕たちの興奮も大きくなっていったからだ。

 オーシャンエントリーが間近である。去年の風景とは完全に異なっていた。去年のオーシャンエントリーはどこに行ってしまったのか、流れる溶岩は刻々と大地を新たに形成しているようだ。

 今年のオーシャンエントリーはまるで去年のものとは違っていた。流れていたのだ!溶岩が!!本当にその感動は声にならなかった。

 ほんのちょっとの溶岩だけれども、一言では言い表せない何かがあった。絶え間なく流れ落ちる溶岩を、時間が経つのも忘れずっと眺めていた。波にもまれ、砕かれる溶岩だったけれども、それでもこつこつと新たな大地を造りつつあった。

 日没と同時に、風が変わった。するとそこに見えてきたものは、一面の真っ赤なマグマの流れであった。

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