つぶやきないまん(今月のコラム)

6月

 人生における最大の悔恨は、自分が生きたいように自分の人生を生きなかったときに生ずる。一見いかに成功し、いかに幸せに見えても、それがその人の望んだ人生でなければ、その人は悔恨から逃れることができない。反対に、いかに一見みじめな人生に終わろうと、それが自分の思い通りの選択の結果として招来されたものであれば、満足はできないが、あきらめはつくものである。

 若くして老化した青年たちは、それぞれに一見人なみに幸せな人生は送ることができるだろう。しかしいつの日か、ほんとは自分にはちがう人生があったのではないかと、その可能性を試せるときに試さなかったことを悔やむ日がくるにちがいない。………ほんとうの人生論は語るべき対象というよりは、実践すべき対象なのだ。(スコラ刊 立花隆著 「青春漂流」より) 5,25


7月

 たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか。(山本有三「路傍の石」より) 98.7.1