12.24 旅行代理店倒産の真相(中村正芳)

旅行代理店の倒産を知らされる

 24日お昼前に早川先生からの連絡で,倒産の第1報を聞いてから,中村(正)は,対応のしかたなどの情報を得るため,webの検索エンジンで,はじめに,海外旅行+倒産(なんとも奇妙な組み合わせ)で検索し,社団法人日本旅行業協会の存在を知った.

 ITツアーが,この協会に加盟していれば,たとえ二重払いしてもいくらかは後日弁済されるらしい,ことがwebの情報からわかった.そこで,以前学習会のときに配布されたITツアーのチラシをひっくり返して見たが,どこにも協会加入の記述が見つからなかった.

 NTTのエンジェルラインで協会の電話番号を確認し,協会の2回線ある電話にリダイヤルで数十回かけ続けたけど,お話し中が続いていた.今思うと,いくつも倒産して問い合わせが殺到していた時期だったみたいだ.

 JTB高崎支社に事情を話して,旅行業協会のべつ窓口を問い合わせたが,既知の,つながらない電話番号を知らせてくれただけだった.

 早川先生は,前橋市の消費生活センターに連絡してアドバイスを受けたようだ.当初は,「二重払いしなくてもいいはずだ」との話だったが,その後,「払わなければダメらしい」などと,情報が安定しなかったようす.

 早川先生との何回かのやりとりの結果,「これまでの準備を考えれば,二重払いしてでも,みな旅行に参加するだろう」「参加者全員に連絡するのは時間的に無理」「交渉が弱気になるから現金は持っていかない」「最悪の場合を考えて,100万くらいのお金を調達できる手段は用意しておく」「カウンターでみんなに確認し,その場の交渉に委ねる」こととした.時刻は15:00ころ.

 高崎から16:30すぎ新特急に乗り,車中で,東宮さん,中村(庄)さん,早川先生(とご家族),星くん,長井くんと合流した.

 東宮さん,中村(庄)さんには,状況を報告した.webで見つけた海外業者のドタンバ倒産の被害体験談のコピーをまわし読みしながら,「早川先生の11月27日のメール(金融不安)が当たった,すばらしい(?!)予測だった」「日本の経済環境をハダで感じられ,ドラマチックだ」などと言合い,ビールを飲みながら行った.

 星くん,長井くんたちは,出発まえの重大な問題点として「テントを忘れた」ことを気にしていたが,「もっと大変なことがあるらしいよ」とナゾをかけただけで,誰からも説明をしなかった.なぜなら,星,長井の両くんには,成田にいるほかのヒトたちと同時にオドロキを味わってもらったほうがいいのでは,という共通認識が暗黙のうちに生まれていたから,か...

 赤羽-->日暮里で京成成田線に乗り換えた.イブニングライナーの400円の座席券は,私たちが購入してから10分くらいして売り切れた.ホームには,乗れないヒトが見られた.危ないところだった.東宮さんが指摘したが,これに乗り遅れたら,大きく遅刻してしまう状況だった.

 車中では,軽い食事をとったりビールやチュウハイを飲みながら,すこし卸業者の対応予測を話し合ったが,いいアイデアや確実な予測はなし.

 「遅刻だあ.」「ペナルティ何かなあ」などのにぎやかな声に迎えられて,ユナイテッドの出発ロビーのある第1ターミナルビルHカウンタに到着したのが19:18くらい.

成田カウンターでの交渉

 値引き交渉の権限は窓口のスタッフにはないので,1段階上のスタッフに連絡をとってもらいました.その交渉は,中村(正)があたりました.

 交渉のポイントは,異常な事態にあたって,関係者が余分にかかる費用を公平に分担するならともかく,全額末端消費者が負担するのはまったく不当であること,多くは学生でありこれ以上の負担に耐えられないこと,の2点でした.

 卸業者の言い分は,「請求している一人当たり8万6000円は,原価で,利潤を設定していない.キャンセル料ももらわない.これがせいいっぱいの誠意だ」ということを繰り返すばかりでラチがあかきません.

 新たな交渉ネタ,すなわち,今後起こる債権処理のドタバタについて卸業者は一切関係ないということを認める書類へサインをするかしないかを含めて,早川先生が,より上の段階のスタッフと最終段階の交渉を,しました.

 結局,卸業者の「こちらとしては,乗っていただかなくとも結構なんですが」という捨てぜりふ(武井)を聞いたのは,早川先生で,「あんたの言う通りだ」という言葉を,早川先生が電話口につぶやいていました.

 さらに,早川先生は,当初から私たちの交渉の窓口にあたった女性スタッフに,私たちは出発のでばなをくじかれたこと,交渉の過程でおたがいに感情的になったこと,クリスマスイブというのに長時間やりあったこと,をフォローして,「おたがい,ひどい日だったね」と,言って交渉を終わりにしました.

 支払は,現金に限る,という条件なので,早川,東宮,中村(正)で,すぐに銀行や郵便局のATMを探しました.結局,高級車を購入するために準備していた早川先生のお金が,とりあえず,この費用にあてられ,103万2000円の現金と引き換えに,12人分のチケットを受け取りました.

以上のことから得た教訓と感想

 依頼する旅行代理店が,社団法人日本旅行業協会の正会員になっていることが,最低条件でしょう*.この場合,二重払いしても,全額ではないにしろ,後日損害を弁済される道が残されます.

 成田に行く前に,搭乗券が確保してあるかどうかを確認するくらい慎重になってもいいかもしれなません.この場合,旅行代理店に聞いてもダメかもしれません.なぜなら,つぶれたら連絡取れないし,つぶれる代理店はウソつくかもしれないから.今回早川先生がおこなったように,航空会社(今回は,ユナイテッド)に直接連絡して,卸業者の情報得て,そこに確認するしかない,みたいですね.

 実際,私たちの出発した翌日の25日には,旅行代理店が倒産したことを知らず,成田カウンターで,航空券が確保していないことがはじめてわかって途方にくれる家族のようすが,何組もテレビニュースに流れていたそうです.

 さらに,卸業者に支払が完了しているか確認したほうが良いみたいですね.まあ,旅行代理店が健在なら,ここまでする必要はないでしょうが.

 今回のジェットセットという卸業者は,北爪さんのキャンセルを受け付けただけで,ITツアーが倒産したことも,金が支払われていないことも言わなかったようです.早川先生が,たまたま,はなしの流れの中で,聞いたら初めて,答えた,ということです.

 突然カウンターで,現金(クレジットカードはダメ)を請求されたら,払いたくても払えない状況におちいることが,十分考えられます.


早川注

*幸い,ITツアーは日本旅行業協会の正会員だったので,7000万円まで保証されるようです.どうやら,負債総額は5000万円くらいのようなので,全額戻ってくることが期待されます.しかし6ヶ月後.

*6月に全額返ってきました.