12.27 初めて行ったレストラン(金井正徳)

 温泉にいった帰りに、Kea'auの街に寄った。とても小さい街で、ショッピングセンターの周りに個人のお店(床やさん・韓国料理・メキシコ料理など)があった。そのうちの一軒であるメキシコ料理のお店に入った。ハイウエイの道路向こうには、日本でもおなじみのマクドナルドがあったが、わたしのわがままでそのお店に入った。

 そのお店は、西部の開拓時代のバーをもとにしていた。また、保安官の駐在所と留置所のセットがあった。もちろん、中に人はいない。お店の人もその当時の格好をしているのでもない。でてきたのは、体格のよいおばさんだった。

 お店にはいろうとして、そのお店外にあるのメニューをみると、あたりまえだが英語で書かれたものしかなかった。スーパーでは、買いたいものを直接見て、それが何かわかって、なんとか欲しいものが買えるが、レストランでは通用しないことを改めて実感した。何年か学校で習った英語よりも、日常日本で目にする英語を頭の中で、フルに巡らせて、オーダーするものを決めた。

 一生懸命に注文するものの名前を覚えたのだが、いざ注文しようとするとなかなかこちらの意図することが伝わらなかった。長井君と星君は、お店の前に張り出してあったメニューの所にいって、指差していたようだ。やっと、注文がお店の人に伝わると、一安心かと思いきや、続けておばさんは、ぼくの英語力では理解できないことを言い出した。困惑するぼくらを見かねたおばさんは、ちょうどそこにきたそのお店の常連さんで、日系人のおじさんをつかまえて、ぼくらに通訳してくれと頼んだらしい。そのおじさんは流暢な日本語で、「サラダのドレッシングは何にする?イタリアン・サウザンアイランド・フレンチ」と教えてくれた。おじさんに助けられ、何とか注文できた。だされた水を一口のみ、顔を見合わせる4人(堀越さん・長井君・星君・金ちゃん)であった。

 ちょっとたつと、つぎつぎと注文したものがテーブルの上に並んだ。最初にきたサラダのドレッシングの癖に絶えられなかったのは星君だった。ドレッシングの中のオイルが臭くてがまんできなかったようだ。次にきたスープもオイルが駄目で飲めないと、堀越さんにあげてしまった。だが、堀越さんも、長井君も後に聞くと、「あのスープが一番うまかった。」といっていた。メインの料理は、星君も気に入ったらしく「おいしい」の連発だった。

 食事も終わり、みんなそれぞれ満足し、最後に残ったのは”お会計”だ。日本では、払ったことのない”チップ”をわたさなければならない。そんなとき、たよりになるのは長井君で、私たちはチップとして料金の約1割を含めたお金を長井君にわたした。長井君はまとめて払ってくれた。しかし長井君は、大きなミスを犯した。チップは料金と別に払うはずだが、チップを料金と一緒にレジでわたしてしまったのだ。レジを打っていたおばちゃんは、お店のお客さんと話をしながら、長井くんからのお金を受け取って、いいかげんにレジの中にぶち込んでしまったらしい。「ちゃんとチップの分払ったのに・・・。」その後、多分ぼくらはわけのわからない日本人集団をだと思われたにちがいない。