溶岩
Lava
 揮発性成分をあまり含まないマグマは,激しい爆発を伴わないでそのまま静かに地表に流出する.こうして溶岩流が生じる.粘性率が小さい玄武岩マグマは上昇途中に揮発性成分を失いやすいから溶岩流になりやすい.流紋岩やデイサイトのマグマは噴火初期に激しい爆発を起こすが,噴火後期には,揮発性成分を失ったマグマがゆっくりと上昇してきて溶岩流や溶岩ドームをつくる.
 
 玄武岩火山からの溶岩流出はゆっくりと長い時間をかけて行われることが多い.安定した噴火状態が実現すると溶岩の通り道が地下に確保される.これを溶岩トンネルという.溶岩トンネルが形成されるプロセスには,1)両側の溶岩堤防が接着する場合,2)流れてきた表皮が狭い通路に集積してつくられる場合などがある.溶岩トンネルは,高温溶岩を冷却させずに遠くまで運ぶことができる効率のよいシステムである.
 溶岩トンネルの中を流れる灼熱溶岩が,破けた天井である天窓(skylight)を通して見え,そこから白い水蒸気が出ている.白色昇華物が地下のトンネルの位置を示している.
(Kilauea, Hawaii,1991年7月) 
 溶岩トンネルの内部から,陥没した天井を見上げると,まさに天窓というにふさわしい.
(Ice cave, Craters of the Moon, Idaho)
 天窓の並びによって溶岩トンネルの位置がわかる.溶岩流の広がりが植生の違いで表現されている.
(Klamath Falls, Oregon)
 溶岩トンネルの断面.トンネルを満たして流れた溶岩によって,厚さ20cmほどの裏打ちがなされている.
(Krafla, Iceland)