赤城村棚下で不動の滝崩落 1999.7.25

7月25日(日曜日)13時30分ころ,赤城村棚下の不動の滝(雄滝)の落ち口北側が崩落して,およそ15トンの岩石が30メートル下の滝壺まで落下しました.滝壺から流れ出る川にかかる赤い太鼓橋が壊れました.

その場に観光客が何人かいましたが,前兆に気づいて逃げたため,全員無事でした.ただし,ひとりが転んで擦り傷を負ったという.

この滝は,赤城山の山頂ふきんからおよそ20万年前に流出した火砕流が利根川の中に入り込んでそこを厚く埋めた堆積物に懸かっています.溶岩と見間違えるような溶結凝灰岩が,高い崖をつくっています.棚下という地名は,この崖に由来するのでしょう.

直前に地震や大雨はとくにありませんでした.7月下旬は樹木の成長期に当たりますから,溶結凝灰岩の割れ目に入り込んだ根がついに岩盤を引き裂いて,岩石が落下したものと思われます.滝壺の中には,岩石だけでなく青々とした葉をたくさんつけた大きな樹木が複数落ち込んでいます.

滝の落ち口の崩落した部分は,倒立三角形をしています.新鮮な岩石の割れ目が露出しているのではなく,褐色の土がついています.