谷川岳マチガ沢から発生したなだれの痕跡

谷川岳ロープウエイ乗り場から一ノ倉沢へ車道を進んでマチガ沢へ入り込むと，奇妙な景観をみる．車道の上手5メートルくらいからずっと下に向かって直線的に樹木がなぎ倒されている．交通標識が曲げられている．しかし車道の上手5メートルより上に異常はみられない．

たくさんの樹木が横倒しになっている．むりやり引き裂かれたことを示すささくれだった断面を露出している．

根こそぎ引き抜かれた樹木もある．

マチガ沢の側壁が削られて，新しい地層断面が露出している．過去の土石流の堆積物だ．

なぎ倒された樹木の下には，まだ雪が残っている．大きななだれがこの破壊を引き起こしたのだ．いつ発生したのか，私はまだ知らないが，おそらく先月（4月）だろう．

湯檜曽川に合流する地点の景観．樹齢200年程度のブナがたくさん倒れている．つまりこのなだれは，そのブナが立っていた地表を数百年ぶりに破壊した．それくらいめずらしい大規模ななだれだったのではないか．専門家による調査が待たれる．

上信越の山々の積雪はことしは例外的に多量だ．一の倉沢もその例外ではない．まだこんなにある．例年だと，いまの季節は車道のアスファルトが露出するのだが，そうなるのはまだ一週間以上さきのことにようにみえる．→1999年5月29日

2000.5.27観察；5.28報告