気象庁軽井沢測候所発表の浅間山火山情報2001


定 期 火 山 情 報 第 12号

平成13年12月10日10時 軽井沢測候所 発表

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定 期 火 山 情 報 第 11号

平成13年11月12日10時 軽井沢測候所 発表

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定 期 火 山 情 報

  第 10 号

    平成13年10月10日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
9月の浅間山は,火山性地震が8月よりやや増加したほかは地震活動・噴煙
活動ともに大きな変化はなく,とくに活発な活動は観測されませんでした。
10月に入ってからも,噴煙活動に大きな変化はなく,地震回数も1日あた
り10回前後の少ない状態が続いています。

2.遠望観測
    9月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が12日間とやや多くなりまし
た。
    観測できた18日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:3(中量)が4回,その他は2(少量)以下。
     噴煙高度:500mが2回(24,25日),その他は400m以下。
7月中旬から噴煙量がやや減少した状態は,8月と同様に,9月中も大きな
変化はなく引き続きました。噴煙量3は下旬に4回観測されたのみで,噴煙量
1ないし2で経過する日が多く,とくに活発な状態は観測されませんでした。

3.震動観測
    9月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では309回,
基準観測点であるA点では99回で,8月の月合計(B点183回,A点36
回)と比べて増加した状態となりました。しかし,月合計回数が500回以上
と多くなった今年2月〜4月を上回るものではなく,9月の地震活動がとくに
活発な状態であったとまではいえません。
B点の日別回数でみると,8月は10回前後かそれ以下で推移していたのに
比べ,9月は10回〜20回程度で推移する日が多くなり,平均してやや増加
した状態が続いたため月合計回数でも8月を上回りました。しかし,今期間内
に,一時的な地震活発化といった急な活動変化は観測されず,この点では8月
と同様の活動状態でした。期間中,日別回数がもっとも多かったのは23日の
26回でした。
地震の大きさについては,期間をとおして規模のやや大きい地震は観測され
ませんでした。地震回数は前期間より増加したものの,基準観測点であるA点
の最大振幅はすべてが 0.2マイクロメートル以下のごく小さいものばかりでした。な
お,今期間に震度1以上を観測する地震の発生はありませんでした。
また,火山性微動も観測されませんでした。

<備考:次回の定期火山情報は,11月12日(月)の発表予定になります。>


定 期 火 山 情 報

  第 9 号

    平成13年9月10日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
8月の浅間山は,噴煙活動・地震活動ともに大きな変化はなく経過し,とく
に活発な活動は観測されませんでした。噴煙量については,今年に入ってから
もっとも少ない状態での経過となりました。
9月に入ってからも,噴煙活動に変化はなく,地震回数も1日あたり10回
前後の少ない状態が続いています。

2.遠望観測
    8月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が13日間とやや多くなりまし
た。
    観測できた18日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:3(中量)が2回,その他は2(少量)以下。
     噴煙高度:400mが3回,その他は300m以下。

    昨年12月から続いていた噴煙量の多い状態は,7月中旬からやや減少した
   状態となり,8月も噴煙量3が2回のみで期間をとおしてとくに活発な状態は
   観測されませんでした。しかし,昨年11月以前の噴煙量がごく少なかった状
態までには戻っていません。

3.震動観測
    8月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では183回,
基準観測点であるA点では36回で,中旬に回数増加が観測された7月(B点
398回,A点115回)に比べて減少した状態となり,地震活動に活発な状
態はみられませんでした。
B点の日別回数でみても,期間をとおして少ない状態で,数回から多くても
10回前後と大きな変化はなく推移しました。期間中にもっとも多かったのは
18日と19日の13回でした。
地震の大きさについては,期間をとおして規模のやや大きい地震は観測され
ず,地震回数に変化がなかったのと同様に,大きさにもとくに変化はありませ
んでした。基準観測点であるA点の最大振幅は,もっとも大きいものでも8日
の 0.5マイクロメートルで,そのほかはほとんどが 0.2マイクロメートル以下のごく小さい
ものばかりでした。なお,今期間に震度1以上を観測する地震の発生はありま
せんでした。
また,火山性微動も観測されませんでした。

4.現地観測
    8月29日と30日に浅間山周辺の湧水の水温,pH等の観測を実施しまし
たが,従来の観測値に比べて大きな差異はなく,各観測点ともとくに異常は認
められませんでした。


定 期 火 山 情 報

  第 8 号

    平成13年8月10日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
    7月の浅間山は,中旬に火山性地震回数がやや増加しましたが,上旬と下旬
は少ない状態が続き,とくに活発な活動は観測されませんでした。遠望観測で
は,5日に噴煙量4が観測されるなど,上旬に噴煙量の多い状態が観測されま
した。
8月に入ってからは,噴煙活動,地震活動ともに大きな変化はなく経過して
います。

2.遠望観測
    7月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が11日間ありました。
    観測できた20日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:4(やや多量)が1回(5日),3(中量)が4回,その他は
2(少量)以下。
     噴煙高度:600mが1回(5日),その他は500m以下。
 7月上旬は,5月17日以来となる噴煙量4が1回(5日),噴煙量3が3回
など,6月までと同様に噴煙活動がやや活発な状態でした。

    中旬以降は噴煙量2ないし1の日が多くなり,上旬と比べるといくぶん減少
   傾向となりましたが,昨年11月以前の噴煙量がごく少なかった状態までには
   戻っていません。

3.震動観測
    7月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では398回,
基準観測点であるA点では115回で,地震活動に変化がみられなかった5月
(B点137回),6月(B点63回)に比べると大きく増加したものとなりま
した。しかし,月合計回数が500回以上と多かった2月〜4月を上回るもの
ではなく,7月の地震活動レベルが著しく活発であったとまではいえません。

B点の日別回数でみると,9日までは前期間に引き続きごく少ない状態で,
変化はみられませんでした。10日から地震が増加し始め,11日には今期間
でもっとも多い76回,13日には65回など,15日頃までやや多い状態が
続きました。その後は減少傾向となり,2月から4月にかけてみられた一時的
な地震急増の周期的繰り返しといった活動は,今期間には観測されませんでし
た。7月下旬は地震の少ない状態に戻り,変化はありませんでした。
地震の大きさについてみると,回数が増加した中旬のうち10日から12日
にかけては規模のごく小さい地震がほとんどでした。基準観測点であるA点の
最大振幅が 1.0マイクロメートル以上のやや大きい地震は,13日と14日に集中し
て発生し,このうちもっとも大きかったものは13日の2.1マイクロメートルでした。
15日以降は回数の減少とともに,地震の大きさについてもとくに変化はみら
れなくなりました。なお,今期間に震度1以上を観測する地震の発生はありま
せんでした。
また,火山性微動も観測されませんでした。


定 期 火 山 情 報

  第 7 号

    平成13年7月10日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
    6月の浅間山は,遠望観測において噴煙量の多い状態が引き続き観測されま
した。地震活動においては,期間をとおして地震回数が少ない状態で,とくに
活発な活動は観測されませんでした。
    7月に入ってからも,5日に噴煙量4(やや多量)が観測されるなど,噴煙活
動は依然としてやや活発な状態が続いています。地震回数は,1日あたり10
回前後の少ない状態で経過しており,地震活動に大きな変化はありません。

2.遠望観測
    6月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が9日間ありました。
    観測できた21日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:3(中量)が12回,その他は2(少量)以下。
     噴煙高度:800mが1回(3日),その他は700m以下。
噴煙量4は今期間をとおして観測されませんでしたが,噴煙量3の回数は,
前期間(5月13回)とほぼ同じとなり,噴煙量の多い状態が引き続き観測さ
れました。

3.震動観測
 6月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では63回,基
準観測点であるA点では11回で,5月(B点137回,A点20回)に比べて
もさらに減少したものとなりました。2月から4月にかけて繰り返し観測され
た地震活動の一時的な活発化は,5月と同様に6月も期間をとおして観測され
ませんでした。B点月合計回数が100回以下となるような少ない状態は,昨
年8月(81回)以来でした。

B点の日別回数でみても,10回以上となった日はなく,もっとも多い日で
も14日の7回でした。また,地震なしの日も7日間ありました。
地震の大きさについてみると,基準観測点であるA点の最大振幅が 1.0マイ
クロメートル以上のやや大きい地震は,7日に1回だけ観測されましたが,これ以外
はすべて小さいものばかりでした。震度1以上を観測する地震の発生もありま
せんでした。
また,火山性微動は今期間も観測されませんでした。

 4.現地観測
    7月4日と5日に浅間山周辺の湧水の水温,pH等の観測を実施しましたが,
従来の観測値に比べ大きな差異はなく,各観測点ともとくに異常は認められま
せんでした。


定 期 火 山 情 報

  第 6 号

    平成13年6月11日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
    5月の浅間山は,遠望観測では,3月以来となる噴煙量4(やや多量)が観
測されるなど,噴煙量は今期間も多い状態で経過しました。地震活動において
は,期間をとおして地震回数が少ない状態で,とくに活発な活動は観測されま
せんでした。
    6月に入ってからも,噴煙は引き続き多い状態が観測されていますが,地震
回数は,1日あたり10回前後の少ない状態で経過し,大きな変化はありませ
ん。
このように,浅間山の地震活動は5月以降低下した状態となっていますが,
噴煙活動は昨年12月からのやや活発な状態が依然として続いています。

2.遠望観測
    5月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が7日間ありました。
    観測できた24日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:4(やや多量)が1回(17日),3(中量)が13回,その他は
2(少量)以下。
    噴煙高度:1200mが1回(17日),その他は800m以下。
噴煙量3以上が観測された回数は,前期間(4月16回)とほぼ同じで,今
期間も中旬を中心に噴煙量の多い状態が観測されました。噴煙活動は引き続き
やや活発な状態です。

3.震動観測
    5月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では137回,
基準観測点であるA点では20回で,4月(B点903回,A点182回)に比
べて大きく減少したものとなり,今年に入ってもっとも少ない回数となりまし
た。これは,2月から4月にかけては一時的に地震回数の急増する活動が繰り
返し観測されていたのに対し,今期間にはこのような地震活動の活発化は観測
されなかったためです。
B点の日別回数でみると,もっとも多い日でも21日の36回でした。これ
以外の日は0〜15回と期間をとおして少ない状態で推移し,活動に大きな変
化はありませんでした。
地震の大きさについてみても,期間をとおして規模のやや大きい地震は観測
されませんでした。基準観測点であるA点の最大振幅は,もっとも大きいもの
でも6日の 0.8マイクロメートルで,その他ほとんどが 0.2マイクロメートル以下のごく小
さいものばかりでした。
なお,震度1以上を観測する地震の発生や火山性微動の発生は,今期間もあ
りませんでした。

 4.現地観測
    6月5日に浅間山山頂火口の現地観測を実施しました。火口付近では,噴煙
が火口底から勢いよく吹き出す噴気音が常時大きく聞こえ,活発な活動状態を
直接確認できました。しかし,広い火口内には噴煙が充満し続けたため,火口
底の噴気孔群の規模や分布等の状況確認および遠隔測定による火口内温度の測
定は実施できませんでした。なお,火口周辺部の地形や地熱の状態には,異常
は認められませんでした。また,火口付近では今回も火山ガスによる強い刺激
臭が観測されています。
このほか,弱い噴気活動が続いている西前掛山北端においての噴気温度測定
や,湯の平下の地獄谷においての地中温度測定,湧水の水温・pH測定,火山
ガス濃度測定等も実施しました。いずれも従来の観測値に比べ大きな差異はな
く,異常な変化は認められませんでした。


定 期 火 山 情 報

  第 5 号

    平成13年5月10日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
    4月の浅間山は,2月,3月と同様に,地震回数が一時的に増加する状態が
上旬から中旬にかけて繰り返し観測されました。月合計回数では3月をやや上
回り,地震活動は前期間に続きやや活発でした。噴煙活動についても,期間を
とおして噴煙量のやや多い状態が観測され,昨年12月からの噴煙活動がやや
活発な状態は,今期間も引き続きました。
    5月に入ってからは,噴煙はやや多い状態が引き続き観測されていますが,
地震回数については,1日あたり10回前後の少ない状態での経過となってい
ます。

2.遠望観測
    4月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が3日間ありました。
    観測できた27日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:3(中量)が16回,その他は2(少量)以下。
    噴煙高度:1000mが1回(28日),その他は800m以下。
    噴煙量4は今期間をとおして観測されませんでしたが,噴煙量3の回数は前
期間(3月11回)より上回るなど,引き続き噴煙の多い状態で経過しました。
なお,噴煙高度1000mを観測したのは,1997年4月以来でした。

3.震動観測
    4月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では903回,
基準観測点であるA点では182回と,3月(B点828回,A点162回)を
やや上回り,月別では今年に入ってもっとも多い回数となりました。
B点の日別回数でみると,上旬から中旬にかけて一時的な地震増加が繰り返観測され
ました。50回以上となった日は合計6日間(5日に71回と6日に
65回,10日に177回,14日に111回と15日に70回,20日に76回)あり,この4回
の増加はいずれもほぼ4日から5日の周期で観測されました。このうち,10
日の177回は今年に入ってもっとも多い日回数となりました。これ以外は地
震回数の少ない日がほとんどで,1日あたり0回から多くても30回前後でし
た。地震回数が数日おきに急な増加を繰り返す状態は,2月後半から3月初め
にかけてと,3月中旬から4月中旬にかけて観測され,このような活動パター
ンはここ数年では見られませんでした。4月下旬から5月上旬にかけては,地
震回数の急な増加は観測されず,少ないままで経過しています。
地震の大きさについてみると,期間をとおして規模の大きい地震の発生はあ
りませんでした。基準観測点A点の最大振幅はすべて 1.0マイクロメートル未満で,
日回数が50回以上に増加した6日間においてでも,ほとんどが0.3マイクロメートル
以下の小さいものばかりでした。
なお,震度1以上を観測する地震の発生や火山性微動の発生は,今期間もあ
りませんでした。

4.現地観測
    4月26日に浅間山周辺の湧水の水温,pH等の観測を実施しましたが,従
   来の観測値に比べ大きな差異はなく,各観測点ともとくに異常は認められませ
   んでした。


定 期 火 山 情 報

  第 4 号

    平成13年4月10日10時
   軽井沢測候所 発表
    
火山名 浅 間 山

1.概況
    3月の浅間山は,2月と同様に,地震回数が一時的に増加する状態が期間後
半に繰り返し観測されました。月合計回数では2月を上回りました。噴煙活動
についても,噴煙量4(やや多量)が2回観測されるなど,地震活動とともに,
やや活発な状態で経過しました。
    4月に入ってからも,噴煙は引き続きやや多い状態です。地震活動について
も,1日あたりの地震回数は30回から70回前後の日が多く,回数のやや多
い状態で経過しています。

2.遠望観測
    3月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が4日間ありました。
    観測できた27日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:4(やや多量)が2回(21,24日),3(中量)が11回,その
他は2(少量)以下。
    噴煙高度:800mが3回(12,21,24日),その他は600m以下。

    1月中旬以降いくぶん減少していた噴煙量は,2月に入ってふたたび増加し
た状態となり,3月は期間をとおしてやや多い状態が続きました。昨年12月
以降,噴煙量4が4ヶ月連続で観測されるなど,噴煙活動は引き続きやや活発
な状態です。

3.震動観測
    3月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では828回,
基準観測点であるA点では162回と,2月(B点527回,A点128回)に
比べてさらに増加した状態となりました。
B点の日別回数でみると,期間の前半は1日あたり10回以下の少ない日が
ほとんどでしたが,19日から一時的な地震増加が繰り返し観測されました。
19日に146回,24日に148回で,前期間と同様に100回以上となっ
た日が2日間あり,また,21日に82回,22日に84回など,50回以上
となった日は合計6日間ありました。いずれも1日ないし2日間で元の少ない
状態に戻っており,これも2月と同様でした。昨年11月から12月にかけて
やや多い地震回数が持続していた状態とは異なり,短期間での急な増減を繰り
返す活動パターンが,2月,3月と観測されたことになります。
地震の大きさについてみると,基準観測点A点の最大振幅が 1.0マイクロメートル
以上のやや大きい地震は1回(8日,1.1マイクロメートル)だけでした。期間後半に
地震回数の増加が繰り返し観測された活動においても,規模の大きい地震の発
生はありませんでした。地震の規模という点からは,昨年11月,12月を上
回る活動状態は観測されず,この点も2月と同様でした。
なお,震度1以上を観測する地震の発生や火山性微動の発生は,期間をとお
してありませんでした。


定 期 火 山 情 報

  第 3 号

    平成13年3月12日10時
   軽井沢測候所 発表

火山名 浅 間 山

1.概況
    2月の浅間山は,期間後半に地震回数の一時的増加が数日おきに繰り返し観
測され,活動に大きな変化がなかった1月に比べると,地震活動はやや活発な
状態となりました。噴煙活動についても,引き続きやや活発な状態で経過して
おり,とくに期間後半に噴煙量の多い状態が観測されました。
    3月に入ってからも,噴煙は引き続きやや多い状態で推移しています。地震
活動については,1日に地震回数が66回とやや多くなりましたが,2日以降
はとくに大きな変化はなく,少ない状態です。

2.遠望観測
    2月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が4日間ありました。
    観測できた24日間のすべてに噴煙が観測されており,今期間も噴煙なしの
日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:4(やや多量)が1回(27日),3(中量)が9回,その他は
2(少量)以下。
    噴煙高度:500mが1回(15日),その他は400m以下。
  
    1月中旬以降いくぶん減少していた噴煙量は,2月に入ってふたたび増加し
た状態となりました。とくに期間後半は噴煙量3以上が9回観測されるなど,
上旬に比べてより噴煙の多い状態が観測され,噴煙活動はやや活発な状態で経
過しました。27日に噴煙量4が観測されたのは,1月6日以来でした。

3.震動観測
    2月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では527回,
基準観測点であるA点では128回と,1月(B点374回,A点41回)に比
べてやや増加しました。これは,期間後半に地震回数の一時的増加が観測され
たためです。

B点の日別回数でみると,一時的地震増加は15日からで,15日に57回,
19日に156回,23日に50回と24日には104回,また3月1日にも
66回などと,4日から5日おきに繰り返し観測されました。いずれも1日間
ないし2日間で元の少ない状態に戻っています。このような活動は1月中には
観測されず,また地震の日回数が30回前後を中心に数日単位で増減しながら
経過していた昨年11月から12月においても,このような短期間での急な変
化を繰り返す状態は観測されていませんでした。
19日に日回数が100回以上となったのは,昨年9月18〜21日(うち
19日は431回)以来でした。
地震の大きさについてみると,地震回数に変化がみられなかった期間前半の
3日に,浅間山の火山性地震としては規模の大きい地震が1回観測されました。
この地震について決定されたマグニチュードはM 1.7で,地震の規模として
は,1994年11月24日のM 2.8(軽井沢町追分で震度1)以来でした。
これに対し,地震回数の一時的増加が観測された期間後半においては,規模
の大きい地震は観測されず,基準観測点のA点で最大振幅が 1.0マイクロメートル以
上となった地震は0回(11月は16回,12月は18回)でした。地震の規模という
点からみると,昨年11月,12月を上回る活動状態は観測されませんでした。
なお,震度1以上を観測する地震の発生や火山性微動の発生は,期間をとお
してありませんでした。

4.現地観測
    2月26日に浅間山周辺の湧水の水温,pH等の観測を実施しましたが,従
   来の観測値に比べ大きな差異はなく,各観測点ともとくに異常は認められませ
   んでした。


定 期 火 山 情 報

  第 2 号

    平成13年2月13日10時
   軽井沢測候所 発表

火山名 浅 間 山

1.概況
    1月の浅間山は,噴煙活動において6日に噴煙量4(やや多量)が観測される
など,12月に引き続きやや活発な状態が観測されました。地震活動において
は,やや活発な状態にあった昨年11月から12月に比べ,地震回数がかなり
減少した状態となり,とくに大きな活動の変化はありませんでした。
    2月に入ってからは,3日に浅間山の火山性地震としては規模の大きい地震
(M1.7,無感)が1回発生しましたが,地震回数は1日あたり10回前後と
少ない状態のままで経過しています。噴煙活動については,噴煙量4以上の日
は観測されていませんが,引き続きやや多い状態です。
このように,浅間山の地震活動はこれまでより低下しましたが,噴煙活動は
依然やや活発な状態で継続しています。

2.遠望観測
    1月は,悪天等のため山頂の見えなかった日が5日間ありました。
    観測できた26日間のすべてに噴煙が観測されており,12月と同様に噴煙
なしの日はありませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:4(やや多量)が1回(6日),3(中量)が14回,その他
は2(少量)以下。
    噴煙高度:700mが1回(30日),その他は300m以下。
  噴煙量3以上は,今期間内に15回(12月は19回)観測され,引き続き
噴煙活動はやや活発な状態でした。噴煙の量は12月下旬から1月上旬にかけ
てがとくに多い状態で,1月中旬以降にはいくぶん減少傾向となりましたが,
11月以前の噴煙がごく少なかった状態までは戻っていません。

3.震動観測
    1月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点では374回,
基準観測点であるA点では41回と,12月(B点1072回,A点234回)
に比べかなり減少しました。しかし,昨年8月頃までの低い活動レベル(B点
月合計回数100回前後)には戻っておらず,落ち着いた状態とまではいえま
せん。
B点の日別回数でみると,1月中は3回(22,31日)〜33回(2日)とい
う範囲で,20回を超した3日間をのぞくと10回前後で推移する状況でした。
地震回数が30回前後を中心に増減を繰り返していた11月,12月に比べて,
今期間内は平均して少ない状態となっており,一時的急増といった活発化も観
測されず,大きな変化はありませんでした。
地震の大きさについてみても,地震回数が減少したことにあわせ,規模のや
や大きい地震は期間をとおして観測されませんでした。基準観測点のA点で最
大振幅が 1.0マイクロメートル以上となる地震は,11月は16回,12月は18回
と多く発生したのに対し,今期間は0回で,もっとも大きいものでも16日の
0.8マイクロメートルでした。震度1以上を観測する地震の発生もありませんでした。
なお,火山性微動は今期間も観測されませんでした。


定 期 火 山 情 報

  第 1 号

    平成13年1月10日10時
   軽井沢測候所 発表

火山名 浅 間 山

1.概況
    12月の浅間山は,11月に引き続き,期間をとおして火山性地震がやや多
い状態で経過しました。噴煙活動においても,噴煙量3が17回,とくに下旬
には噴煙量4が2回観測されるなど,11月に比べてもさらに増加した状態が
観測されました。
    1月に入ってからも,地震回数は1日あたり10回〜30回前後で推移して
おり,噴煙についても6日に噴煙量4を観測するなど多い状態が続いています。
このように浅間山の地震活動・噴煙活動が,やや活発な状態で継続しています。

2.遠望観測
    12月は,悪天等のため山頂の見えなかった日は2日間だけでした。
    観測できた29日間は,すべて噴煙が観測されており,噴煙なしの日はあり
ませんでした。観測の結果(日最大値)は次のとおりです。
噴煙の色:すべて白色。
     噴煙の量:4(やや多量)が2回(27,29日),3(中量)が17回,その
他は2(少量)以下。
    噴煙高度:500mが1回(27日),その他は400m以下。
   

  今期間内に噴煙量3が17回観測され,11月の3回を大きく上回りました。
さらに下旬には噴煙量4も2回観測されるなど,ここ数年でもっとも噴煙の多
い状態となりました。噴煙量4が観測されたのは,1997年6月の1回(24日)
以来でした。
なお,噴煙量が多くなっていることから,風向き等の気象条件によっては,
   山麓でも火山ガス臭が感じられる場合があります。

3.震動観測
    12月の地震回数は,月合計でみると火口にもっとも近いB点が1072回
で,11月合計(904回)とほぼ同程度となり,10月末からの地震回数が
やや多い状態は今期間も引き続きました。

B点の日別回数でみると,期間全体では8回〜74回(4日)という範囲で,
   30回前後を中心に数日単位程度で増減を繰り返す状態が続き,この点でも,
11月とほぼ同様の活動状況でした。日回数が100回を超えるような著しい
活発化は観測されないものの,このように地震活動がやや活発なまま2ヶ月以
上経過するのは,1996年5月から1997年5月にかけて以来となります。また,
月合計回数において,B点回数が1000回以上となったのは,一時的な地震急増
があった昨年9月(1337回)以来,それ以前では1996年12月(1067回)以来
でした。
地震の大きさについてみると,やや規模の大きい地震はとくに上旬を中心に
多く発生しており,基準観測点のA点で最大振幅が 1.0マイクロメートル以上の地震
が,今期間は18回(11月は16回)観測されました。このうち最大は6日
の 7.1マイクロメートルで,この地震について決定されたマグニチュードはM 1.3
でした。下旬は,地震回数が上旬とほぼ同数であったものの,規模的には小さ
い地震がほとんどで,とくに大きな地震の発生はありませんでした。
なお,期間をとおして震度1以上を観測する地震の発生はありませんでした。
火山性微動も,観測されませんでした。

4.現地観測
    12月20日に浅間山周辺の湧水の水温,pH等の観測を実施しましたが,
   従来の観測値に比べ大きな差異はなく,各観測点ともとくに異常は認められま
   せんでした。


○火山活動概要‥‥  浅間山は1990年の微噴火を最後に,2000年中も噴火・爆発現象は発生せず,また被害
を引き起こすような活動もなく経過しました。地震活動においては,9月に地震回数の急増が観測され,
19日の日回数が 400回を超えるなど一時的にきわめて活発な状態となりました。この地震活動について臨
時火山情報第1号および火山観測情報第1号から第9号を発表しています。噴煙活動については,噴煙の
有色化等の異常現象は認められませんでしたが,11月から12月にかけて噴煙量の増加が観測されました。

○地震活動 ‥‥‥  1月以降,9月上旬までの地震の日回数は,10回前後かそれ以下の日がほとんどで,
4月に 100回を超えた日が1日間だけあった以外に大きな変化はなく,ごく低い活動レベルのまま経過し
ていました。9月18日から地震回数の急増が観測され,一時的に地震活動がきわめて活発な状態となりま
  した。 19日の日回数は431回,20日は312回,21日は243回などに達しましたが,減少傾向も急で,24日ま
  でには活発化以前の状態に戻りました。日回数が400回を超えたのは,1973年5月24日の584回以来でした。
  また,この活動により9月の月合計回数が1337回となり,月合計回数が1000回を超えたのも1996年12月以
来となりました。
   9月末から10月にかけては,日回数が10回前後の地震が少ない状態で経過したあと,10月末からはふた
たび地震回数がやや増加した状態となりました。11月から12月にかけて,日回数は20回前後から60回前後
で増減を繰り返しながらもやや多い状態を保ったまま経過するようになり,9月の一時的な地震急増の活
発化をのぞけば,1996〜1997年以来の地震活動がやや活発な状態となりました。
 なお,震度1以上を観測する地震の発生は年間をとおしてありませんでした。
   火山性微動も,年間をとおして観測されませんでした。

○噴煙活動 ‥‥‥  10月までは,1998年以降の噴煙量が比較的少ない状態が続き,噴煙量3(中量)が,
4月に1回,10月に1回観測されただけで大きな変化はありませんでした。11月以降,噴煙量の増加が観
測され,12月には1997年6月以来となる噴煙量4(やや多量)が2回観測されるなど噴煙の多い状態とな
りました。噴煙の高さは,火口上500mを4回観測した以外はすべて400m以下でした。

○現地観測 ‥‥‥  浅間山周辺の5観測点において,隔月の年6回実施した湧水観測では,pHや水温の
観測データ等のいずれについても,従来の観測値と比べ大きな差異は認められませんでした。
   浅間山山頂火口の現地観測は5月と10月の2回実施しましたが,火口底内の状況や観測結果に異常は確
認されませんでした。
                        

(添付された図表は省略しました)