避難勧告全面解除に対する知事コメントを読みました.もう終わったことだとしないで,避難勧告を出すまでに時間がかかったことと,その解除を実現する前に何日も浪費してしまったことの二点を反省し,その経緯をよく検証してください.そして,次回の噴火危機をうまく乗り切れるような新しい仕組みをいますぐ作りだしてください.不適当の詳細は,下にあるいくつかの記述を読んでください.
「人命を守ることを第一に」考えたそうですが,長期居座り型になりやすい火山危機では(幸い今回は違いましたけど),通常の社会行為では容認されるその美辞麗句が当てはまりません.生活も命と同じように大事です.命があっても生活が台なしになったら,人は生きていけません.命だけは,の考えでは現代社会を生き残っていくことができません.
「避難されている村民の方々の大変なご様子をこの眼でしっかり見てまいりました」とおっしゃるなら,人命だけが大切ではなく,生活も同じように大切であることがよくおわかりになっただろうと思います.今回の避難解除が何日も遅れたことは,住民の生活確保への配慮が行政側にまったく欠落していたことを証明しています.都職員が,住民の生活確保の前に何を優先させたか,しっかりお調べください.(1435)
昨晩開かれた地震調査委員会で検討された学術資料が科技庁のページで公開されています.以前からの科技庁の公開努力を私は高く評価しますが,1962年の三宅島噴火に関する資料は,いけない.この画像をウェブに置くのなら,事前になすべき手続きを終了していることを明記すべきです.科技庁は文部省とだけでなく文化庁とも合併するんでしょ.(1225)
気象庁サイトに置いてある海上保安庁提供資料をみると,27日に変色水がみられた海底の深さは100メートルくらいのようだ.50メートルよりかなり深いみたい.須賀潮美さんがもぐるのはむずかしそうだな.(1115)
これ,メートルでなくてフィートなのかもしれない.だとすると30メートル.これだと,ひとがもぐれる深さだなあ.(7.2.1050)
気象庁が記者会見資料を熱心に公開しています.その多くがPDFファイルだから,ちょっとみにくいと感じている人がいらっしゃるかもしれません.PDFファイルは軽いし解像度もよいのですが,一覧性が悪く表示までワンステップ余計にかかるからたしかに不便な面もあります.
たとえば,きのうの記者会見資料は23ファイルからなります.これら全部に目を通すのは骨の折れる仕事です(でも,これら全部をウェブに載せる作業より楽だということは知ってないといけない.感謝の気持ちを忘れてはいけない).その中から重要な資料をみつける能力を磨くことが必要です.
きのうの資料に限りませんが,今回の三宅島異常では,防災科学技術研究所の傾斜変動グラフがとても力を発揮しました.26日夜から三宅島の地下でマグマが動き始めて,時間ともにその動きが加速したが,27日昼頃には緩和し始めたことを,この図によってほぼリアルタイムで知ることができました.横軸が時間です.横軸だけをみればよいのです.縦軸が傾斜なんですが,傾斜って何?マイクロラジアンって何?北とか東とかってどうみるの?なんて(専門家でない人は)思わなくてよいです.何かの観測量が,26日夜から変化を始めて27日昼にはもう終わり始めたことを理解するだけで(当面は)十分です.
その点からいうと,変色水の情報が流れた27日午前にマスコミ各社が「すわ噴火」と一斉に色めき立ったのは,そのとき「もう終わりだなぁ」と思っていた火山専門家たちの目には,とてもおかしな行動にうつりました.特集番組をいったん決めたが,数時間後に気配を察知して取り消した局もあったが,そのまま決行した局もあったようですね(私は見ませんでしたけど).
同じことが行政にも言えます.避難が迅速に行われたと誉める発言も目にしますが,私はそう思いません.きのうも書きましたが,緊急火山情報から避難勧告発令までにかかった1時間37分はあまりに長すぎた.その解除に至っては,稚拙だったとしか申し上げられません.今回気象庁がこれだけ頑張って情報を出したのですから,出された情報を受け取って実際の防災に役に立たせる仕組みを,行政が早急に構築してほしい.まずは,異組織間の密接な連絡関係を恒常的に維持する仕組みをつくることが急務でしょう.東京都が,大手町に挨拶に行くべきだと思うな.これまでの火山危機で,大手町はいつも行政に怒られて来たけど,今回は立派でした.責任を十二分に果たしたと思います.
最後に気象庁への要望です.将来は,サムネイル表示(とても小さなインデックス画像)をとりいれて一覧性を向上してほしい.また,記者会見での記者と専門家の要旨を一問一答形式で載せてくれたら,国民にとって,とってもわかりやすくなるだろう.これをすると,マスメディアの存在価値を揺るがすけどね.(0850)
「安全宣言」が出たし,避難勧告は全面解除されたから,きょう雨が上がり次第,だれでも海底調査を正々堂々できます.先陣争いはルールに則って,紳士的にやってください.でもマスコミが研究機関に遠慮する必要なんてぜんぜんないと思う.いけいけどんどん.ただし万一のために,(複数の)見張りを立てることは常識です.
このように,火山危機では,その推移とともに危険と安全がくるくる変わります.27日の危険といまの危険にはとても大きな差異があります.ですから安全を確保したいなら,最新の情報を抜かりなく収集して,それを的確に解釈する力を組織内に持つことが必要です.
まずは,魚群探知機で海底割れ目の位置を探りましょう.次に,水中カメラをひもでつるして曳航して画像を手に入れましょう.水深情報が不確かですが,50メートルくらいらしい.これくらいだと,照明がいるんじゃないかな.最後に,バケツをひもでおろしてブツを入手します.泥や小石程度なら簡単に引っかけられると思うけど,もし枕状溶岩だったら上手にやらないとブツは取れないと思います.
あるいは,もしかしたら,人が潜れる深さかもしれない.これができれば一番確実.(0805)