いま,三宅島山頂に開口している直径1500メートルの穴は,まわりを急な崖に囲まれていて,中央にほぼ平坦な火口底をもちます.7月8日以来の噴火爆発は,すべてこの火口底の南東端にある小火口から発生しました.
小火口から伊ヶ谷までの距離は3.7kmと意外と短い.18日の噴火では,高さ15kmの噴煙柱から直径50センチの弾道岩塊が3.5km地点の都道に落下しました.高さ20kmの噴煙柱なら,伊ヶ谷集落の中に多数の岩塊が落下するでしょう.
小火口は火口底の南東にあいているから,北西にある伊ヶ谷へ向かって飛び出しました.小火口から3.0kmと,より近い坪田に岩塊が落下しなかったのは,小火口の背後にそびえ立つ火口内壁が岩塊の飛行を遮断したからです.(この方向性支配は,20世紀前半の浅間山ブルカノ式噴火による弾道岩塊分布をしらべて水上さんが初めて気づきました)
いまの南東端に小火口が開いているかぎり,伊ヶ谷には岩塊着弾の危険がきわめて大きい.伊豆と神着の危険も無視できない.坪田と三池にこの危険はほとんどない.