2000.3.12

台湾の(1999年)921地震被害と断層地形

2000年3月7日から10日まで,台湾の地震のあとを見学に行ってきました.群馬大学教育学部の同僚である所澤潤さんが豊原市に滞在中だったので,現地での車の手配などをお願いしました.昨年9月の地震のあとは,ほとんどそのまま残っています.立入規制はあまり敷かれていません.むしろ地震名所を売り出して,観光客にどんどん来てもらいたいという現地の意図が読みとれました.

豊原市の中正公園西にある商店街の中に生じた4メートルの段差.人口密集地に,これほどの段差を持つ断層が現れたのは今回の921地震が初めて.

石岡廃駅の鉄路を切断した地震断層.まだテントが片づけられていない.

今回できた断層崖には,大きな円礫がたくさん見えている.ここは,大甲渓がつくった扇状地の上に当たる.

断層変位によって大甲渓に生じた滝と,落下した橋.ふだんは清水が流れているが,一週間前の大雨のため濁流となっている.
断層変位によって石岡ダムの一部が破壊した.土砂の堆石が進んでいたためか,幸いにも下流に洪水が生じることはなかったという.
霧峰の光復中学校の運動場を横切った地震断層.トラック舗装面が重なってしまっていることから,東西から押しつけられた逆断層であることがわかる.
地震の揺れで崩壊した光復中学校の校舎.この中学校では800人余の生徒が学んでいる.もし授業中に地震が起こったらと思うと,ぞっとする.道路を挟んで隣にある小学校の校舎には,不思議なことに,ほとんど被害がなかった.(この写真だけは,特別立入許可を得て撮影した)
921地震の名所ではたいてい見物客相手の露店をみる.この露店は,書店では1200元で販売しているカラー空中写真の本を1000元で売っていた.買うつもりなら,もっと値切れるようだった.
雲林県の草嶺潭にあった春秋断崖がこの地震で崩れ,清水渓を長さ4キロメートルにわたって埋めた.崩れた土砂が天然ダムとなっていま湖が生じている.トンネルをつくって水を流す工事が行われているが,現地への立入は自由であり,露店が多数並んでにぎわっている.湖上を遊覧する船へ乗らないかの勧誘がつよい.仮設トイレの利用は10元.

今回行ってみて,現地につてがない人でも台湾の地震のあとを見に行くことができると私は感じました.つてがない人が行くためのヒントを以下に書きます.


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