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■社会

04月10日 01:00 更新

  • 有珠山 「短期的には火砕流の恐れなし」−噴火予知連有珠山部会

     【伊達】火山噴火予知連絡会の有珠山部会は九日、有珠山(七三二m)の噴火活動について「マグマの力が爆発のたびに失われるバランスの取れた安定状態が続いており、短期的には爆発的噴火による火砕流発生の恐れは少なくなった」との見方を示した。こうした状況を受け伊達市と壮瞥町は、避難指示対象のうち危険が少ない地域の避難住民計三百八十二人に対し、十日から午前九時―午後四時の長時間帰宅を認めることを決めた。

     噴火予知連有珠山部会長で、北大有珠火山観測所の岡田弘教授は九日夜の会見で、「マグマの活動は比較的安定した状態が続いており、大規模噴火による火砕流が発生する可能性は短期的には低くなった」と述べた。九日までの総合観測で、マグマ活動は火口や断層が集中する金比羅山や西山付近に限定されており、離れた地域に災害が及ぶ可能性は低くなったと判断した。

     ただ洞爺湖温泉や虻田町市街などには、火砕サージ(マグマ水蒸気爆発に伴う横なぐりの熱風)が及ぶ恐れが依然あり、岡田教授は「水分の供給が減ったりマグマの量が増えれば、大規模爆発の可能性もある。長期的にはなお警戒が必要」と強調している。

     十日に長時間帰宅が許可されるのは、伊達市が上長和地区の百二世帯三百二十二人と若生地区の二十一世帯五十三人、壮瞥町は壮瞥温泉地区東側の三世帯七人。自家用車での帰宅を認め、緊急時には速やかに避難することなどを条件とした。

     現地災害対策本部は今後の避難指示地域への帰宅について、(1)危険度が高い地域は困難、(2)厳重な安全措置を取ることで実施可能な地域は一時間程度、(3)危険度が低い地域は長時間―との基本方針で対応する考えだ。

  • 噴火から10日目−壮瞥温泉の101人が 一時帰宅、ホタテ養殖作業も実施

     【伊達】有珠山(七三二m)は九日、三月三十一日の最初の噴火から十日目を迎え、胆振管内壮瞥町の避難住民の一時帰宅が八日に続いて行われたほか、虻田、有珠両漁協のホタテ養殖のための作業も行われた。

     九日は、金比羅山火口から出た熱泥流が洞爺湖温泉地区の排水路を埋め、蒸気を上げながら国道230号上などにあふれ出し、西側の洞爺湖温泉小学校グラウンドに流れ込んでいるのが、上空からの観測で確認された。流れは緩やかで、建物を破損するほどの量ではないという。

     一方、壮瞥町は同日午前九時半から、前日に続き一時帰宅を実施した。壮瞥温泉西部地区など百世帯の百一人がヘリや自衛隊車両などが警戒するなか、二十八日の避難以来十二日ぶりに、わが家に戻った。

     虻田町でも九日午後、初めて一時帰宅が認められ、洞爺湖西岸の月浦地区の三十一人がバス三台で自宅に帰った。町にはうっすら灰が積もっていたが、家の中は被害がなかったといい、三十分足らずの慌ただしい帰宅を終えた住民はほっとした表情を見せた。

     また、伊達市と虻田町のホタテ養殖業者は、午前と午後の一時間ずつ時間を区切って立ち入り規制海域内で初めて操業。伊達、豊浦両漁港から計三十九隻が出港し、ヒトデから守るため稚貝が入ったかごに浮きを付ける作業などをした。

     ただ、有珠山周辺は十日夜から大雨の恐れがあり、室蘭地方気象台は泥流などに注意を呼び掛けている。

  • 有珠山溶岩ドーム 西山西側で生成か 8m以上の急激な隆起を確認

     有珠山の新たな溶岩ドームが西山西側の特定の火口付近に生成し始めた可能性が高いことが八日までに、東大地震研究所の観測で分かった。この付近をデジタルカメラで撮影し、コンピューター解析したところ、三日間で、八m以上の急激な隆起を確認した。これはドームが形成される初期の段階の特徴を示しており、火口周囲に地溝や断層が広がっていることもドーム形成を裏付けているとしている。

     同研究所の山科健一郎助教授が三日から連日、有珠山西側の胆振管内豊浦町の海岸にデシタルカメラを固定して西山西側を撮影。コンピューター解析して、地殻変動を調べたところ、西山西側で七番目にできた火口が三日間で、斜め上に八m以上、その隣にある最初にできた火口も同様に五m以上隆起していた。

     これは、マグマの先端部が地表を押し上げてできる「尾根山」とみられ、溶岩ドームがつくられる過程では初期の特徴とされる。周辺には、これほど急激な変化はないという。

     溶岩ドームが隣り合ってできることが多いとされる地溝も、この二つの火口のすぐ北側にある。

     同研究所は「マグマは西山西側の地溝の下を活動の中心にしており、地溝と断層が近くに広がっていることも、二つの火口付近で、溶岩ドームが形成されることを裏付けている」とし、さらに「明治新山や昭和新山のような典型的なドームの形成期に入っているとみられる」とみている。

     山科助教授は「ドーム形成がさらに進めば、間もなくもっと大きな変動が現れるのではないか」と予測している。

     有珠山は八日も、弱い火山性微動が観測されたほか、金比羅山と西山西側の二つの火口群で新たな火口が確認された。北大や国土地理院などは同日、地形変動を観測するため、七日に虻田町や伊達市内などに設置した人工衛星利用の全地球測位システム(GPS)の無人観測装置十二基のうち、十一基から観測データを収集、各観測点の距離変化の伸びと縮みなどの分析を急いでいる。

     一方、胆振管内壮瞥町では八日午後、避難住民六十人の一時帰宅が実現したが、虻田漁協が予定したホタテ養殖のための作業は海上が荒れたため、有珠漁協とともに九日に延期された。

  • 強盗の高校生逮捕−旭川

     【旭川】旭川東署は九日、強盗の疑いで、旭川市内に住む男子高校生五人=いずれも十七歳=を逮捕した。

     同署によると、五人は八日午後九時半ごろ、同市永山三ノ一五の路上で、歩いていた同市内の無職男性(19)を呼び止め「カネを出せ」と脅し、男性が拒むと腹や背中を殴るなどしながら現金約三千円の入った財布を奪った疑い。男性にけがはなかった。

     男性から110番通報を受けた同署員が現場付近にいた五人に職務質問したところ、犯行を認めたため、九日未明に緊急逮捕した。

  • 暴走族間の傷害で6人逮捕−釧路

     釧路署は九日、釧路市鳥取北四、店員中村純也容疑者(21)と、いずれも十八歳から十九歳の同市内と釧路管内白糠町の暴走族五人を傷害などの疑いで逮捕した。

     調べによると、中村容疑者は、八日午後十一時半ごろ、同市共栄大通り七のコンビニエンスストア前で、仲間の暴走族一人が、二十人ほどいた別の暴走族に「目付きが悪い」などと殴られたため、仕返しに、九日午前一時二十五分ごろ、乗用車で同店前に集まっていた相手方の暴走族に突っ込み、同管内釧路町内の大工見習い(22)と同市内の大工(18)の二人の男性の足を骨折させ、同市内の無職女性(18)の足を打撲するけがを負わせた疑い。

     五人はこの際、中村容疑者を車から引きずり出し、殴る、けるなどし、顔や頭に全治四日間のけがを負わせた疑い。

  • 都市間バスと乗用車衝突、けが人はなし−北見の国道

     【北見】九日午後四時四十分ごろ、北見市西相内二三七の国道で、同市清見町六六、医師江坂嘉昭さん(33)の乗用車が、対向してきた北見発旭川行きの道北バス=広川実さん(50)運転、乗客十六人=の右側面に衝突。江坂さんと広川さん、バスの乗客にけがはなかった。

     北見署によると現場は片側一車線の直線道路。同署は江坂さんがカーステレオを操作しようとしてわき見運転をし、対向車線にはみ出したとみて調べている。バスは右後部のタイヤがパンクして走れなくなり、乗客は臨時バスに乗り換えて目的地に向かった。

  • 横断中の63歳はねられ死亡−千歳

     【千歳】九日午前九時半ごろ、千歳市新富一の国道を横断していた同市北斗二、無職吉原順子さん(63)が同市住吉四、病院職員辻公徳さん(22)の乗用車にはねられ、間もなく死亡した。

     同署の調べによると、現場は片側二車線の見通しの良い直線道路。同署は、辻さんが前をよく見ていなかったため、横断歩道ではないところを渡っていた吉原さんに気づくのが遅れたとみて調べている。

  • ワゴン車が路外に飛び出し1人死亡−鹿追

     【鹿追】九日午前五時半ごろ、十勝管内鹿追町上然別西一二線の道道で、帯広市西一二北三、塗装工斉藤弘幸さん(32)のワゴン車が路外に飛び出し、横転して大破、斉藤さんは首の骨を折って間もなく死亡した。同乗の同市西一九南五、同八重樫政宏さん(24)も左腕骨折などの重傷を負った。

     新得署によると、現場は鹿追から帯広方向に緩い左カーブで、車は右側路外に飛び出した。二人は早朝に同町内に釣りに来たが、積雪で釣りができないため戻る途中だった。同署で原因を調べている。

     同町は一九九六年七月十四日から交通死亡事故ゼロを続けてきたが、八日までの千三百六十五日でストップした。

  • ひき逃げから2日後に出頭−札幌で無職少年逮捕

     札幌白石署は九日、道交法違反(ひき逃げ)と業務上過失傷害の疑いで、住所不定、無職の少年(19)を逮捕した。

     調べによると、少年は今月七日午前八時二十五分ごろ、札幌市白石区菊水三ノ三の道道交差点で、乗用車を運転中にライトバンと衝突、はずみで歩道に乗り上げ、歩道で信号待ちをしていた同市西区の男性(43)をはね、車を放置して逃げた疑い。男性は頭に軽いけがを負った。

     同署によると、同署が車のナンバーなどから捜査を進めていたところ、少年が九日午前、同区の東札幌交番に一人で出頭してきたという。

  • ひき逃げで19歳の会社員を逮捕−小樽

     【小樽】九日午前零時二十分ごろ、小樽市入船一ノ八の市道を横断していた同市花園三、看護婦菅原亜紀子さん(24)が乗用車にはねられ、頭や足に軽傷を負った。乗用車はそのまま逃走したが、約三十分後、事故現場に現れた同市入船四、会社員男性(19)を小樽署員が追及、はねたことを認めたため、同署は同日午前二時十分、道交法違反(ひき逃げ)と業務上過失傷害の両容疑で会社員を緊急逮捕した。現場に残された事故車両のものと思われる遺留品と会社員の乗用車の破損個所も一致した。

  • 有珠山西山ろくに溶岩ドーム 海側への地殻移動を確認

     有珠山の噴火活動が始まって九日で十日目となり、地下のマグマの働きで西山の西側で噴火と隆起活動が続き、溶岩ドームの生成場所もこの一帯にしぼられてきた。生成が予想される一帯の周辺では、マグマの上昇に伴って、地殻が外側に押しだされる現象も観測され始めた。今後、ドームに突き上げられ地面が盛り上がる「屋根山」が急速に成長することが予想される。

     火山噴火予知連の宇井忠英・北大大学院理学研究科教授は「西山西側の火口群付近の断層の発達が最も顕著で、今のところこの付近が隆起の中心」と述べる。同予知連会長の井田喜明東大教授も、中心が他にずれる可能性も認めながらも「今のところ、そういった兆候はない」と、この一帯を本命とみる。

     北大などからなる有珠山総合観測班によると、隆起が予想される地域の南側、道央自動車道虻田洞爺インターなどの観測点は、五日から七日にかけての測定で、一日平均数cmから二十cm噴火湾側に移動していた。地下の溶岩ドームの成長で、周辺が外側に押し出された結果とみられる。

     虻田町市街地や同自動車道付近の地面の地割れも、ドーム成長の二次的な影響と考えられる。関係者は自動車道の大幅な改修かルート変更の事態を予想している。

     観測点が少ないため確実なことは分からないが、井田教授は「ドーム成長の影響は、虻田側の南方向だけでなく、北側にも及んでいるはず」と推測する。

     溶岩ドームの昭和新山は一九四四年六月から四五年九月にかけて、標高百三十―百六十mの畑が一日最大二mのスピードで隆起。尾根山になり、さらにマグマは尾根山を突き破って標高四百mを越え、周囲四・六キロの新しい寄生火山になった。潜在ドームの四十三山(よそみやま=明治新山)は三カ月程度で百五十五m隆起、尾根山をつくった。

     今回、どの程度の高さまで成長するかは不明だが、この付近に「新山」が生まれる可能性は高い。

     「ドーム出現前に爆発的な噴火をする可能性がある。それは一、二週間以内」と五日に予知連が発表、虻田町市街地を焼き尽くすような大火砕流を伴う万が一の事態も心配されているが、六日の記者会見で岡田弘北大教授は「あくまで爆発的な噴火があるとしたら、この時期になることを意味する」と説明した。

     他のメンバーは「ないとは言えない」「このまま小噴火が続くかもしれないし、三月三十一日の最初の噴火程度の規模かもしれない」などと話し、火山専門家の間でもややニュアンスが異なっている。

                ◇

     溶岩ドーム 粘性の大きいマグマが地下から上昇して、地表を突き破り冷えて固まったもの。地表に出る前に、周辺の地面を持ち上げ、尾根山をつくる。さらに成長が続き、地表を突き破ると「溶岩ドーム」と呼び、地下の途中で上昇をやめると「潜在ドーム」と呼ぶ。

  • どうなる洞爺湖温泉 住民、丸ごと移転の不安

     【伊達、洞爺、豊浦】有珠山の噴火で、胆振管内虻田町の洞爺湖温泉街の行方が心配されている。背後の金比羅山山ろくに新たな火口が次々に生まれ、火砕流、泥流の恐れが指摘されるほか、温泉をくみ上げるパイプの破損や泉源の枯渇も取りざたされている。このため、合わせて二十軒のホテル、旅館の経営者からは「はたして営業を再開できるのか。温泉街をそっくり移転することも考えねばならない事態だ」と懸念する声が出始めた。

     ●泉 源

     北大大学院理学研究科の浦上晃一教授によると、最も懸念されるのは噴火活動による地殻変動で、深さ百―百二十m程度から温泉をくんでいるパイプが曲がったり、折れることだ。一九七七年の噴火でも、こうした被害が出て、泉源を掘り直した。あらためてボーリングし、一本一千万円以上するパイプを入れると、多額の出費を強いられる。

     しかし、「泉源が枯れるのでは」という疑問には、否定的な見方が多い。道立地質研究所は「洞爺湖温泉街の地下には大きな帯水層があるので、泉源はなくならない」とはっきり否定する。

     同研究所技術情報科の藤本和徳科長によれば、洞爺湖温泉は洞爺湖の水が地下に浸透し、それが有珠山の火山活動で熱せられ、温泉になっている。「いわば、地下に大きなプールのような貯水槽があるようなもの」といい、藤本科長は「湖水が地下に浸透しなくなるような地殻変動が起こることは考えられない」と話す。

     北大大学院理学研究科の宇井忠英教授は「地層が変わるので、今までの泉源が枯れることがあるかもしれないが、枯れても別の場所から出てくる。溶岩ドームの位置や断層の入り方で地下水脈の流れが変わり、温泉が出てくる場所は変わる。新しい温泉の誕生は十分考えられる」とみる。

     ●ホテル

     洞爺湖温泉の旅館や商店など約百四十軒で構成する洞爺湖温泉観光協会の阿部信昭専務理事(65)は「前回の噴火時は一部営業を続けられたが、客の入りはそれまでの半分だった。今回はすでにゴールデンウイークの予約客のキャンセルも入っているようだ。このままでは半減の四十万人はおろか、長引けばゼロという最悪の事態も」と困惑する。

     豊浦町で避難所生活を続ける「洞爺山水ホテル」(六十二室)の田中実社長(51)は「金比羅山の火口から、わずか数百mの温泉街で、果たして営業を再開できるのか。温泉街自体をそっくり別の場所に移すことも一つの考え方だ」と話す。

     ホテルのパート従業員中野寿美子さん(61)は「正社員と違いパートの大半は仕事がなければ収入がなくなる。もしホテルがだめになったら、働く場所もなくなる」とため息をついた。

     ●地 域

     虻田町の災害対策本部は「現段階では、あの位置で温泉街を再建する、としか言えない」との姿勢だが、町民一万人余りのほぼ八割が何らかの形で観光産業に携わっている現実から、ある幹部は「洞爺湖温泉街の消滅は、虻田町自体の消滅を意味する」と言い切る。

     同町議会の朝倉英隆議長も「温泉街がない虻田町の将来像は描けない」と話しながら、温泉街の集団移転や、国による立ち入り禁止地域化という事態も想定する。しかし、「そういうことは考えたくない、というのが正直な気持ちだ」と苦しげに打ち明けた。

  • 虻田“臨時郵便局” 避難住民への配達に奮闘

     【豊浦】胆振管内豊浦町などに点在する避難所に、今日も避難住民あての郵便物が届く。配達するのは、同管内虻田町を離れ、豊浦で避難生活を送る虻田郵便局の白川浩一局長(48)ら二十一人の局員たち。家族と離ればなれになった局員も多いが、毎日豊浦町と渡島管内長万部町の避難所に“心の支え”を届けている。

     「泉地区の○○さーん」。最初の噴火から九日目の八日午後、豊浦の避難所にスピーカーから声が響いた。「ご苦労さま」。局員から郵便物を手渡された避難住民たちの顔が思わずほころぶ。配達した尾形賢一さん(49)は「顔見知りの元気な様子も確認できてホッとしますね」。

     「噴火したっ」。三月三十一日午後一時十分ごろ、男性局員の声が局内に響いた。音も聞こえない静かな噴火で、みんな落ち着いていた。広報車が避難を告げて回ったあとも、町民に貯金を払い戻すなど二時五十分ごろまで、業務を続けた。

     局員たちは荷物を積み込んで順次出発。残務整理をして最後に白川局長と松橋浩晃副局長(43)が郵便局を出たのは、午後五時半すぎだった。

     白川局長、尾形さんとも、避難時に家族と離れた。白川局長は同局の移転先「豊浦町ふるさとドーム」内で、尾形さんは局員の多くが避難した豊浦町内の会館で、それぞれ生活。家族は豊浦、札幌の親類、友人宅などに身を寄せている。同様に家族と離れてしまった局員は十人近い。

     豊浦到着後すぐ、荷を解いた。「わかる分だけでも」と翌日から避難所への配達を始めるためだ。日がたつにつれ、各避難所の名簿が整理され、届けられる郵便物が多くなった。それでも七日現在、計八千八百通があて先不明だ。

     白川局長は語る。「虻田町民あての郵便がある限り、届けます。虻田というまちが失われていない証明でもあるのですから」

  • 虻田高の仮設校舎を検討 道教委、豊浦町内が有力

     【虻田、豊浦】道教委は八日、有珠山の噴火活動で避難指示区域内にある胆振管内虻田町の道立虻田高校(工藤昭男校長、三百八人)について、避難生活の長期化に備え仮設校舎建設の検討を開始した。同管内豊浦町などが建設候補地に挙がっている。

     同校は、教職員や生徒たちの半数近くが伊達市、豊浦町、渡島管内長万部町などで避難所生活を強いられ、当初十日の予定だった始業式は二十一日に延期している。道教委は、同校が火口から約一キロの危険地帯にあり、避難生活の長期化が予想されるため、仮設校舎を建設する方向で検討に入った。

     建設地は、同校の避難者が最も多い豊浦町内が有力だが、伊達市内も候補地に挙がっている。建物の規模などを含め、今月中旬までに最終決定する。完成には最短で一週間程度かかる見込み。道教委は「現在の有珠山の火山活動からみて、長期的な視点で対策を講ぜざるを得ない」としている。

     工藤校長は「生徒たちは避難所生活で不安な日々を過ごしている。一刻も早く授業を開始できるようお願いしたい」と話している。

  • 住民避難先の虻田の小、中学校 17日に授業再開

     有珠山噴火で始業が遅れていた胆振管内虻田町の小、中学校が避難先の同管内豊浦、渡島管内長万部両町の四校の空き教室を借りて十七日に授業を再開することが八日、決まった。これに先立ち十二日には、虻田町内で唯一、避難指定地域に入っていない花和小で授業が始まる。

     同町内で避難対象になっているのは虻田小、洞爺湖温泉小、虻田中、洞爺湖温泉中の四校。受け入れ先の五校は花和小と豊浦町の豊浦小、豊浦中、長万部町の長万部小、長万部中。花和小を除く四校では校舎の一部を借り、「虻田・洞爺湖温泉小豊浦教室」などとしてスタートする。

     また、伊達市や胆振管内洞爺村など、避難児童、生徒が比較的少ない地域では、区域外転入学として随時受け入れる。

     虻田町で避難対象となっている児童、生徒は小学生五百四十六人、中学生三百二十三人。

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