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穂別で乗用車が街路灯に激突、2人死亡1人重傷
【穂別】三十日午前四時二十五分ごろ、胆振管内穂別町穂別五の道道で、同町穂別一○七ノ一二、団体職員林崎勝美さん(22)の乗用車が道路わきの街路灯に激突、大破した。林崎さんと後部座席に乗っていた同町仁和一三ノ九、会社員星一寛さん(23)が全身を強く打って死亡、助手席の千歳市祝梅、自衛官小山基嗣さん(22)が頭などを強く打って重傷。
苫小牧署の調べによると、現場は左カーブで、乗用車はカーブを曲がり切れず、道路右わきの街路灯に激突したという。同署は林崎さんのスピードの出しすぎが原因とみている。
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有珠噴火1カ月、強まる雇用不安−農水産、観光に深刻な打撃
有珠山(七三二m)は三月三十一日の噴火から、三十日で一カ月を迎えた。ふもとの伊達、胆振管内虻田、壮瞥の三市町は、虻田町で人口の七割を超す住民七千八百二十人、壮瞥町でも二百六十一人が依然として避難生活を強いられている。洞爺湖温泉街のホテル、旅館の従業員を中心に、解雇、自宅待機が相次ぎ、千人以上が雇用保険の支給を予想されるなど雇用問題も深刻化してきた。一次産業への被害も、農業で七千四百万円、漁業で養殖ホタテが大幅な減収を避けられない見通しだ。
道労働局によると、二十一日現在、三市町の事業所から解雇された人は二百三十七人(一時解雇を含む)を数えた。室蘭公共職業安定所伊達分庁舎(ハローワーク伊達)には、その後も二十九日までに、解雇された約百三十人が新たに訪れており、雇用保険受給者は最終的に千人を超えるとみられる。
解雇された九割以上は洞爺湖温泉街で働く人たちだが、虻田町など五市町にまたがる「とうや湖農協」が臨時、パートの職員二十人を一時解雇するなど、雇用問題は広がる気配を見せている。
虻田町では、他市町村に就職口をあっせんする案が出ているものの、二十三年前の噴火の際、町民二千人前後が町外に就職したまま戻らなかったため、踏み出せないでいる。
農業被害は道の二十八日のまとめで、農作物、家畜への被害が三千三百万円に上る。このうち、野菜が出荷不能や苗の損失などで二千七百万円と大半を占めた。
漁業では、ホタテ養殖の作業が遅れ、半分以上を半成貝で出荷せざるを得ないとの見方が出ている。その価格は成貝の三分の一程度といい、虻田漁協で一九九九年度、約六億円だったホタテの水揚げ額が落ち込むのは必至だ。
一方、JR北海道によると、室蘭線は三月二十九日から今月二十八日までに、特急七百六十本、普通千百十五本の計千八百七十五本が運休し、延べ十四万三千四百人の足に影響が出た。減収額は約六億円とされる。
道央自動車道も伊達―豊浦間の通行止めで、減収は約二億二千万円を超すとみられている。
有珠山噴火の風評被害で、本州からの宿泊客のキャンセルが相次いだ登別温泉は、登別観光協会によると、四月の宿泊客数が例年より約二万人少ない約七万人になる見込み。ゴールデンウイーク中も約千五百件がキャンセルされたが、懸命なPRで、客足も戻りつつある。
台湾からのチャーター便の予約は、四月は若干のキャンセルが出たものの、台湾の旅行会社の安全PRで、五月はほぼ満席の状態になっている。
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有珠周辺、復興へ本格始動−JR再開、虻田町役場も元へ引っ越し
【虻田、豊浦】有珠山周辺では二十九日、JR室蘭線の洞爺―長和間で普通列車が一カ月ぶりに運転を再開したほか、胆振管内豊浦町内の業務を続けてきた同管内虻田町役場が本庁舎に復帰するための引っ越し作業を始めるなど、復興に向けて本格的に動き出した。
◇避難バス用意
JR室蘭線再開の一番列車は「緊急時に素早く前進、後退できるように」と気動車二両の編成。前後に運転手が乗り込み、同日午前九時四分、乗客二十七人を乗せて渡島管内長万部町の長万部駅を出発した。
JR北海道は、避難指示が解除されていない虻田町の洞爺駅―北入江信号場間(三キロ)の四カ所の踏切に安全確認の職員二、三人と緊急避難用のバスを一台ずつ配置し、各駅に着くたびに乗客数を確認。伊達市に向かうため洞爺駅から乗り込んだ虻田町高砂町の小林竹乃進さん(77)は「乗り換えずに済む列車の方がやっぱり楽です」とほっとした表情を見せた。
当面、普通列車は長万部―東室蘭間を一日二往復、豊浦―東室蘭間を同一往復する。
◇引っ越し開始
今月三日から豊浦町内の豊浦社会館に役場機能を移していた虻田町は午前八時すぎ、引っ越し作業を開始した。
本庁舎では十人ほどの職員が、次々に運び込まれる書類の段ボール箱やコンピューターなどの荷物を振り分けていった。同町福祉健康課の藤川英之さん(28)は「すべてを元に戻すのは時間がかかりそう」と表情を引き締めた。
五月一日から本庁舎での業務を再開するが、仮設住宅の相談、受け付けなどの窓口については、豊浦社会館にも残す。
◇進む泥流対策
有珠山からの泥流発生に備え、現地対策本部は虻田町内を流れる板谷川上流に遊砂地を新設することにし、流域で土のうを積む作業や現在の遊砂地にたい積した土砂を除去する作業に取り組んでいる。
新しい遊砂地は河口から二・二キロ上流の道央自動車道付近に設けるもので、長さ約二百五十m、幅約二十m、容量は約一万三千立方m。作業はカメラを見て遠隔操作する無人の重機を使い、五月一日に着工予定。
同本部は二十三日に泥流対策に着手し、すでに河口から一・四キロ上流の板谷川七号橋付近に泥流発生を知らせる泥流センサーを取り付けた。また、市街地周辺では、泥流が住宅街に流れ出さないよう、総延長七百五十mに六百八十三個の大型土のうを積む作業を続けている。
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有珠山の活動どうなる?−今後、予想される3つのシナリオ
噴火から一カ月経過した有珠山(七三二m)の活動はこのまま終息するのか、爆発的な噴火に向かうのか。火山噴火予知連絡会有珠山部会(部会長・岡田弘北大教授)などの専門家たちが想定する今後の三つのシナリオは1)北西部山ろくの西山西側と金比羅山山腹の中間地帯で、火砕流を伴う爆発的噴火が起きる2)同じ地帯で、マグマが上昇して地盤が隆起するものの、爆発などせず終息する3)小有珠の山頂付近で噴火する―の三つ。それぞれのケースを探った。
【ケース1)】最も心配されるのがこれ。有珠山特有の粘り気の強いマグマが地表に出て溶岩ドームを形成する前に、大爆発を起こし、その際に火砕流を伴うと予想される。過去七回の噴火のうち、同様の活動が四度あった。
火砕流は数百度のマグマ物質の破片、火山ガス、熱膨張した空気が混じったものが秒速二十―百mで沢筋などを駆け降りる現象で、発生すれば、洞爺湖温泉街と虻田町市街地が壊滅的な打撃を受ける。
この可能性を探るうえで注視されるのは、噴煙の変化。約一週間前から、白く高いものに混じって、黒いカリフラワーのような形をした噴煙が観測され始めた。
これは、マグマの上昇を抑える地下水が減り、噴出物が多くなったためで、地下水が枯渇すれば、爆発的噴火を起こす可能性は高まるとみられている。
【ケース2)】同じ西山西側と金比羅山山腹の両火口群を結ぶ一帯では、マグマの上昇を示す断層が無数に走っている。マグマが地表に現れず、地盤を押し上げたまま小高い山をつくって、火山活動を終えるのがこのケース。溶岩ドームが出現しないため、「潜在ドーム」と呼ばれる。
この地帯では四月中旬までに、四十m以上の隆起が観測されたが、当初、一日二m近かった隆起の速度は現在、数十cmに鈍化している。
しかし、岡田弘北大教授は「過去の噴火活動と比較して、まだまだ規模は小さく、活動としては初期の段階だ。このまま終わるとは思えない」と指摘しており、このケースを確定的とみるのは時期尚早との見方が一般的だ。
【ケース3)】これまでの観測で、最も可能性が低いとされる。三月三十一日の噴火前、山頂北西部の小有珠付近で地盤の隆起が確認され、北屏風山でも、地割れ群が発生したため、「そのまま山頂噴火を起こすのではないか」とみられた。
その後、マグマが北西山ろくに移動して二つの火口群をつくったことで、火砕流をはじめ、山が崩れて岩なだれを起こす山頂噴火は遠のいたとみられている。
噴火予知連も十二日、「山頂部の大規模噴火に移行することを示す現象は見られない」との見解を出した。
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震源と噴火場所にズレ、観測態勢なお課題−岡田北大教授に聞く
今回の有珠山噴火で、北大有珠火山観測所の岡田弘教授(56)は火山噴火予知連絡会有珠山部会長として、予知から、活動予測、周辺自治体の対策についてまで、常に発言が注目されてきた。前回一九七七年の噴火以来、二十年以上にわたり、有珠山を見続けてきた岡田教授に噴火からの一カ月間について聞いた。
―この一カ月をどう振り返りますか。
有珠山はまだ予断の許さない状況が続いていますが、とにかく犠牲者を出さずに済んで本当に良かった。初動がうまくいったのが大きいと思う。地元自治体や省庁、研究者のスクラムが機能的に働いた例として評価できるのではないでしょうか。特にうれしかったのは、(胆振管内)虻田町の住民が「保守要員」を残さずにきちんと避難してくれたこと。前回(一九七七年)の噴火では、妻や子供、年寄りを避難させて一家の主が家にとどまったケースが非常に多かった。今回の避難がうまくいったことは、前回の噴火を教訓に、住民の防災意識が高まっていることの表れだと思っています。
―避難住民のストレスは相当高まっています。
それは痛感しています。この一カ月間で、「ホタテ漁を認めてほしい」「一時帰宅はできないのか」といった要望を住民から直接受けました。このときは、過去の噴火との比較で、今後一、二カ月中に先が見えてくるかもしれないと説明しました。火山の状況を冷静に分析し、それを住民の防災や避難に役立つように説明すること、これが火山学者の使命だと思っています。ただ、住民の情に流されてはならない。そう自分に言い聞かせています。
―今後の課題は。
これまでの噴火活動を見ると、比較的浅いところで地震が多発し、その震源で噴火するというパターンが多かったが、今回は震源と噴火場所がずれていました。地震の観測だけでなく、地殻変動を調べていれば、噴火場所をある程度特定できたかもしれません。そういう意味では、観測態勢はまだまだです。
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「もう一度お客の笑顔を」、従業員の職探しに奔走−ホテル社長田中さん
【虻田、豊浦】有珠山噴火で存亡の危機に立つ胆振管内虻田町の洞爺湖温泉街。ホテルや旅館、土産物店は営業再開の見通しがまったく立っていない。従業員の雇用、今後の経営、そして、地域復興。この地で生きる人たちに重い問題がのしかかる。創業四十年の中堅ホテル、洞爺山水ホテルの社長で、自らも避難生活を送る田中実さん(51)の一カ月を追った。
精神と肉体の疲労がピークに達したのは二十日夜、従業員三十八人に解雇を伝えたときだった。避難している同管内豊浦町の旧エイペックス社員寮に従業員を集め「当面、失業給付金を給料の代わりにしてほしい」と説明した。いつか再出発しようという気持ちを込めて「解雇」という言葉は使わなかったが、車座になった従業員の顔に動揺が広がった。
前日の十九日、国の被災地対策として雇用調整助成金制度の適用が決まった。事業者は三分の一を負担しなければならない。中規模ホテルの経営体力では耐えられそうもなかった。「直前に森喜朗首相が視察していたので、もっと突っ込んだ対策を期待していたのに」。従業員の今後を考え、眠れない日が続く。体重は三キロ落ち、血圧は一六○に上がった。
◇
最初に山の異変に気付いたのは、妻で副社長の慎子(のりこ)さん(51)だった。三月二十一日の深夜、四十三(よそみ)山(明治新山)周辺のカラスが突然「ギャーギャー」と騒ぎだした。数日後、カラスが姿を消した。
二十七日以降、次第に地震が激しくなる。二十九日夕、洞爺湖温泉地区に避難指示が出た。突き上げるような揺れと街を切り裂くサイレン。宿泊客を避難させた後も田中さんはホテルに残り、壊れ物や書類の整理に奔走した。
午後九時、洞爺湖温泉観光協会幹部の要請でやむなく退去。「もう少し時間があれば冷凍庫のトロや伊勢エビなどの高級食材を運び出せたのに」と、今も悔やむ。
◇
四月二日から同社員寮に慎子さんと義母の三人で避難している。慣れない集団生活を送りながら、ほぼ満室だったゴールデンウイークの予約客を登別などのホテルに振り替えた。携帯電話には旅行会社から早くも来年の修学旅行の受け入れが可能かどうかを確認する電話が掛かってくる。「まだ分かりません」と答えるしかない。
従業員を解雇した後、定山渓や登別などの観光地を回り、ようやく十六人の再就職を決めたが、残り二十二人は未定だ。「地震は起きた時から復興が始まる。でも、噴火は起きた時からじわじわと被害が広がる」ことを思い知った。
◇
室蘭出身。造船会社の社員時代、山水ホテルの常連客だった。二十六歳で先代の娘慎子さんと結婚、九年前に経営を引き継いだ。ホテルの仕事の魅力を「お客さまに日常生活では味わえない安らぎを提供し、喜んでもらうこと」という。海や山、湖の幸に恵まれた洞爺湖畔は最高の舞台だ。
ただ、温泉街の今後については、現地復興を主張する観光協会と一線を画す。「この仕事はお客さまの安全が第一。今の温泉街はストーブの上に乗ったもちと同じでいつ、どこが膨らむか分からない。国の支援が得られるのなら、移転も選択肢のひとつだ」。東京の大学で学ぶ一人娘に後を継いでほしいと言えるような温泉街の復興を目指し、声を上げていくつもりだ。
避難所生活を始めてから、知り合いの書家に「夢」という字を書いてもらい、避難所の自室に掲げた。躍動感あふれる文字。「もう一度お客さまの喜ぶ顔を見たい」との夢が重なる。
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有珠仮設住宅、5日から入居開始−連休明けには大規模避難訓練
有珠山(七三二m)の噴火による避難住民向け仮設住宅について、道は二十八日、入居を五月五日から始めることを明らかにした。また、現地対策本部は、大噴火の予兆を観測したとの想定で、住民千人が参加する大規模な避難訓練を連休明けに行うことを決めた。
道によると、伊達市と胆振管内豊浦、壮瞥、虻田三町に建設予定の五百戸の仮設住宅のうち、二十八日までに約九割の四百四十戸を発注。このうち、豊浦町東雲地区、山村公園広場の計八十二戸と壮瞥町滝之町地区八十四戸の合わせて百六十六戸は、五月二日に完成、五日に入居を始める。
壮瞥町では二十八日、仮設住宅に入居を希望する百七世帯のうち八十四世帯を選考して結果を通知した。
また道は、仮設住宅全戸にテレビ、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器の家電四点と、NTTの協力で電話機を置くことを決めた。付帯設備としてFF式ストーブやガスコンロ、湯沸かし器なども完備する。
大規模避難訓練は、地元伊達市、虻田、壮瞥両町の避難指示解除区域の住民が主な対象。道や警察、自衛隊、消防庁、国など関係機関も参加する。
火山噴火予知連絡会有珠山部会によると二十八日、伊達市で一週間ぶりに震度1の有感地震を二度観測。有珠山は西山西側火口で噴出物を多く含んだ黒色の噴煙が上がり、火山性微動のレベルも前日までより上昇するなど、依然活発な活動が続いている。
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北門信金滝川北支店強盗の容疑者、逃亡先の松本で逮捕
【滝川】今月二十一日、滝川市朝日町西二の北門信金滝川北支店で現金二百五十万円が奪われた強盗事件で、滝川署と道警捜査一課は三十日未明、強盗の疑いで、住所不定、無職三河哲治容疑者(48)を逮捕した。
調べによると、三河容疑者は二十一日午前十一時ごろ、同支店に刃渡り約二十cmの包丁と爆発物のようなものを持って侵入、カウンター越しに女性職員を脅し、現金約二百五十万円を奪った疑い。逃走先の長野県松本市内の知り合いの家にいるところを発見され、逮捕された。
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戸井高野球部員ら酒飲み他校生に暴行、春季大会辞退
【戸井】道立戸井高(渡島管内戸井町、浜本武司校長)は、野球部員四人を含む生徒五人が暴行事件を起こしたとして、五月七日から始まる春季高校野球函館支部予選への出場辞退届を二十九日までに大会事務局に提出した。
同校などによると、五人は二十五日午後五時半ごろ、函館市湯川町の空き地で、帰宅途中だった函館市内の私立高校二年の男子生徒の顔などをなぐった。暴行した生徒らは酒を飲んでいた。
同校は部員不足で一九九七年秋季大会から公式戦に欠場。今大会は約三年ぶりに出場する予定だった。浜本校長は「事件内容から、出場辞退すべきだと判断した。今後は精神的な面を含め指導を徹底したい」と話している。
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山菜採りの69歳、心不全で死亡
【穂別】二十九日午後六時二十分ごろ、胆振管内穂別町和泉一五○の道道から一・五キロ入った沢で、千歳市本町二、土木作業員高橋一郎さん(69)がうつぶせに倒れているのを苫小牧署員らが発見、同町内の病院に収容したが、心不全でまもなく死亡した。
同署の調べによると、高橋さんは同日正午ごろ、知人二人とともに山菜採りのため入山。約束の時間になっても戻って来なかったため、知人が同署に通報し、同署員らが捜索していた。