臨時火山情報 第20号 平成12年4月12日21時15分 室蘭地方気象台発表 火山名 有珠山 有珠山の火山活動について、火山噴火予知連絡会は以下のとおり統一見解を発表しました。 有珠山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解 有珠山の火山活動について検討し、活動評価を行った結果は以下のとおりである。 有珠山北西山麓の火口群では、3月31日以降、水蒸気爆発〜弱いマグマ水蒸気爆発が継続してい るが、この数日は弱いマグマ水蒸気爆発を続けている。これは地下水と熱源の関係がバランスし ているためと推定される。 現在、地震活動は低く、最初の噴火前後に観測された山頂部を含む広域の地殻変動はほとんど停 止している。地殻変動は、北西山麓に局地化して、現在も継続している。その隆起量は1日あたり 最大1mに達していることが観測されている。このような地殻変動や地表で見られる亀裂、断層 は、北西山麓へのマグマの供給が依然として継続していることを示している。 当面は現状と同様の水蒸気爆発〜弱いマグマ水蒸気爆発が継続すると考えられる。今後、地下水 との関係が変化した場合には、北西山麓でやや大きな爆発が発生し、時には火砕サージを伴う可 能性がある。このような活動に推移するとすれば、その前には、噴煙等の変化、地殻変動等の総 合的監視解析によりその到来を判断することは可能である。このためには、観測体制の整備が重 要である。 現状の観測データでは、山頂部の大規模噴火に移行することを示す現象は見られない。また、そ のような大規模噴火に移行する前には地震、地殻変動等に変化が観測されると考えられる。 以上のことから、当面は北西山麓での噴火活動に対する警戒が最も重要である。引き続き火山活 動の推移を厳重に監視する必要がある。