災害対策基本法

(災害時における交通の規制等)
第76条

 都道府県公安委員会は、当該都道府県又は
これに隣接し若しくは近接する都道府県の地
域に係る災害が発生し、又はまさに発生しよ
うとしている場合において、災害応急対策が
的確かつ円滑に行われるようにするため緊急
の必要があると認めるときは、政令で定める
ところにより、道路の区間(災害が発生し、
又はまさに発生しようとしている場所及びこ
れらの周辺の地域にあつては、区域又は道路
の区間)を指定して、緊急通行車両(道路交
通法(昭和35年法律第105号)第39条第1項
の緊急自動車その他の車両で災害応急対策の
的確かつ円滑な実施のためその通行を確保す
ることが特に必要なものとして政令で定める
ものをいう。次条及び第76条の3において同
じ。)以外の車両の道路における通行を禁止
し、又は制限することができる。
 
 2   前項の規定による通行の禁止又は制限(以
下この項、次条第1項及び第2項並びに第76
条の4において「通行禁止等」という。)が
行われたときは、当該通行禁止等を行つた都
道府県公家委員会及び当該都道府県公安委員
会と管轄区域が隣接し又は近接する都道府県
公安委員会は、直ちに、それぞれの都道府県
の区域内に在る者に対し、通行禁止等に係る
区域又は道路の区間(次条及び第76条の3に
おいて「通行禁止区域等」という。)その他
必要な事項を周知させる措置をとらなければ
ならない。
 
 
第76条の2 道路の区間に係る通行禁止等が行われたと
きは、当該道路の区間に在る通行禁止等の対
象とされる車両の運転者は、速やかに、当該
車両を当該道路の区間以外の場所へ移動しな
ければならない。この場合において、当該車
両を速やかに当該道路の区間以外の場所へ移
動することが困難なときは、当該車両をでき
る限り道路の左側端に沿つて駐車する等緊急
通行車両の通行の妨害とならない方法により
駐車しなければならない。
 
 2   区域に係る通行禁止等が行われたときは、
当該区域に在る通行禁止等の対象とされる車
両の運転者は、速やかに、当該車両を通路外
の場所へ移動しなければならない。この場合
において、当該車両を速やかに通路外の場所
へ移動することが困難なときは、当該車両を
できる限り通路の左側端に沿つて駐車する等
緊急通行車両の通行の妨害とならない方法に
より駐車しなければならない。
 
 3   前2項の規定による駐車については、道路
交通法第3章第9節及び第75条の8の規定
は、適用しない。
 
 4   第1項及び第2項の規定にかかわらず、通
行禁止区域等に在る車両の運転者は、警察官
の指示を受けたときは、その指示に従つて車
両を移動し、又は駐車しなければならない。
 
 5   第1項、第2項又は前項の規定による車両
の移動又は駐車については、前条第1項の規
定による車両の通行の禁止及び制限は、適用
しない。
 
 
第76条の3 警察官は、通行禁止区域等において、車両
その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害と
なることにより災害応急対策の実施に著しい
支障が生じるおそれがあると認めるときは、
当該車両その他の物件の占有者、所有者又は
管理者に対し、当該車両その他の物件を付近
の道路外の場所へ移動することその他当該通
行禁止区域等における緊急通行車両の円滑な
通行を確保するため必要な措置をとることを
命ずることができる。
 
 2   前項の場合において、同項の規定による措
置をとることを命ぜられた者が当該措置をと
らないとき又はその命令の相手方が現場にい
ないために当該措置をとることを命ずること
ができないときは、警察官は、自ら当該措置
をとることができる。この場合において、警
察官は、当該措置をとるためやむを得ない限
度において、当該措置に係る車両その他の物
件を破損することができる。
 
 3   前2項の規定は、警察官がその場にいない
場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の
自衛官の職務の執行について準用する。この
場合において、第1項中「緊急通行車両の通
行」とあるのは「自衛隊用緊急通行車両(自
衛隊の使用する緊急通行車両で災害応急対策
の実施のため運転中のものをいう。以下この
項において同じ。)の通行」と、「緊急通行
車両の円滑な通行」とあるのは「自衛隊用緊
急通行車両の円滑な通行」と読み替えるもの
とする。
 
 4   第1項及び第2項の規定は、警察官がその
場にいない場合に限り、消防吏員の職務の執
行について準用する。この場合において、第
1項中「緊急通行車両の通行」とあるのは
「消防用緊急通行車両(消防機関の使用する
緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運
転中のものをいう。以下この項において同
じ。)の通行」と、「緊急通行車両の円滑な
通行」とあるのは「消防用緊急通行車両の円
滑な通行」と読み替えるものとする。
 
 5   第1項(前2項において準用する場合を含
む。)の規定による命令に従つて行う措置及
び第2項(前2項において準用する場合を含
む。)の規定により行う措置については、第
76条第1項の規定による車両の通行の禁止及
び制限並びに前条第1項、第2項及び第4項
の規定は、適用しない。
 
 6   災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官又は
消防吏員は、第3項若しくは第4項において
準用する第1項の規定による命令をし、又は
第3項若しくは第4項において準用する第2
項の規定による措置をとつたときは、直ち
に、その旨を、当該命令をし、又は措置をと
つた場所を管轄する警察署長に通知しなけれ
ばならない。
 
 
第76条の4 国家公安委員会は、災害応急対策が的確か
つ円滑に行われるようにするため特に必要が
あると認めるときは、政令で定めるところに
より、関係都道府県公安委員会に対し、通行
禁止等に関する事項について指示することが
できる。


第10章 罰  則

第114条

 第76条第1項の規定による都道府県公安委
員会の禁止又は制限に従わなかつた車両の運
転者は、3月以下の懲役又は20万円以下の罰
金に処する。