From: "Y.Ida"
Subject: Re: 統一見解を読んで思ったこと
Date: Thu, 13 Apr 2000 19:53:56 +0900

早川 様

 色々な点で早川さんと意見が違うのに驚きました。活動評価について意見を交わし
ているときりがないし、今それをしている暇は私にはありません。しかし、世の中に
誤解を与えないために、統一見解の意味について、また今回それを出すに至ったいき
さつについては、一言言っておきたいと思います。

 統一見解をまとめていく過程で、予知連の委員は、手持ちのデータから活動の状態
や評価についてどこまで言えるかを議論します。私の経験では、その過程で多様な視
点からデータが眺められ、各専門からの様々な知識が集められて、個人個人が最初に
持っていたのよりかなり優れた共通認識が得られることが多い。統一見解に書かれて
いるのは、このような共通認識です。議論しても一致しないで残る問題点も少なくな
いのが普通ですが、時間の関係から、私はそれには余り深入りしないように会を進め
ています。
 もちろん、この共通認識が当を得ているという保証はありません。しかし、真実に
近づくための、かなりよい方法であるとは確信しています。

 「 今回の統一見解の発表は,住民からの声に抗しきれなくなった
地元自治体の希望を実現するためにとられた,きわめて社会性 が強いものだったと
言えます」と、早川さんはどんな根拠でおっしゃっているのでしょうか。私の知る限
り、これは正しくありません。私が最初に岡田さんや他の人たちに、新しい見解を出
すことを提案したのは、地球物理データが蓄積し、そこに何らかの傾向が認められる
ようになったからです。新しいデータが出てきたから、それを含めて評価を見直そう
としたわけです。評価のもつ社会的意義はもちろん認識していましたが、それが先行
して、見解を出そうとしたわけではありません。
 これに対応して、気象庁が社会的影響を考慮して、発表の形式(部会コメントにす
るのか統一見解にするのか)や時期について、意見を述べたのは確かです。しかし、
気象庁は情報発信の社会的責任を負っているのだから、これも当然のことではないで
しょうか。

井田喜明