がんばれ掲示板に,以下の意見を書き込みました.2000/04/16 07:39:58


冨田さんへ,

がんばれ西胆振!
http://www.usuzan.net/index.html
の中ほど表囲みのなかにある
「火山予知連統一見解」
をクリックすると,以下の文章が現れます.

>火山予知連は4月12日21:00、伊達市議会議場で、
> 記者会見を行い火山活動は有珠山北西山麓に限定
> されており、大規模な山頂のマグマ噴火の可能性は、
> 現段階で考慮する必要なしと断定した。
> このため、比較的安全な地域に住む住民の生活の
> 利便を確保するよう、行政に進言したと発表した。
> 菊谷伊達市長の判断に注目が移った。
> 上長和、若生地区の避難指示解除の可能性が濃
> くなった。

「行政に進言したと発表した」の主語は「火山予知連」のように読めますが,その晩,伊達市議会議場での記者会見に出席した人の話によると,そういう事実はないとのことです.

火山噴火予知連絡会が避難の指示を解除するかどうかを議論したり決めたりすることは,ありません.避難指示の解除は,(避難指示を出した)市長さんと町長さんが独自の判断で決定します.

この誤認をこのまま放置することは,地元での,今後の防災対応姿勢に大きな影響が及ぶと思って指摘しました.

さんこう
井田会長のメール発言
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/news/2000/usu/res/0414/index.html

災害対策基本法60条
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/news/2000/usu/law/60.html

▼また,「大規模な山頂のマグマ噴火の可能性は、現段階で考慮する必要なしと断定した。」と解説するのは,すこし行きすぎていると思います.少なくとも,統一見解には「考慮する必要なし」の語はありません.

さんこう
統一見解全文
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/news/2000/usu/archives/JMA/r20

早川由紀夫
hayakawa@edu.gunma-u.ac.jp
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/news/2000/usu/usulink.html


2000/04/16 14:58:27
冨田さんへ,

冨田さんが記者会見場で直接お聞きになったのなら,確かでしょう.

「そういう事実はない」と私に教えてくれた人は,「行政に進言した」という発言があるかどうかを注意して聞いていたのではありませんから,聞き漏らしたのだと思います.失礼しました.過去の事実をちょっと知っているものですから,今回の変革を知らないまま杓子定規に意見を申し上げてしまったことを反省します.

「考慮する必要なし」の発言が確実にあったと聞いて,これも驚いています.私自身は,大規模な山頂のマグマ噴火の可能性は常に頭の片隅に置いてほしいと希望しますが,そのようなきれい事ではすまない局面が社会の中では発生しうることにも理解が及びます.

「現段階で考慮する必要なし」と語ったということは,そのとき学者側が大きな責任を引き受けたということです.その精神的負担は,察して余りあるものがあります.ただし,それから3日以上たったのですから,もはやあのときの「現段階で」に,いまが当てはまる保証はないと思っていただきたい.現に,昨日の記者会見で,警戒を強めるよう岡田教授が引き締めをはかったと各社が伝えています(各社のこのニュースの伝え方は,なんだかおかしなものだと感じました.ほんらい視聴者・読者に伝えるべきニュースではないはずです)

今回の有珠対応は,過去の火山危機対応とずいぶんと変わってきていると感じます.法律や慣習に硬直的にとらわれることなく,よい方向に変化していると思います.これは,岡田教授と井田会長のパーソナリティーに負うところが大きいと思います.予知連をはじめて現地で開いたのは,井田会長の英断だったと思います.このことをもっと評価しないといけない.

冨田さんのおっしゃる「報告書」は,統一見解本文を指していると読みとりました.

統一見解本文は,たいへん重みのあるものです.尊重すべきかどうかはわかりませんが,すくなくとも注目すべきものだと考えます.しかしそれだけに頼るのはいけません.「この会見のときには、記者側からはほとんど何もまともな質問がなかった」と冨田さんはおっしゃいます.たいへん情けないことです.報道すべきところを見失っている社が多いと,憤りを感じます.