2001.5.25

東京地学協会 第4回海外巡検
2001年6月8日(金)〜15日(金)
イタリアの火山噴火と遺跡 エトナ・ストロンボリ・ポンペイ

参加者のみなさまへ

早川由紀夫(案内者)より

この旅行では,イタリアの三つの火山,エトナ・ストロンボリ・ベスビウスを訪れます.どれも生きている火山です.それらがいまどういう状況にあるか,最新情報をお知らせします.

6月のイタリアは暑いですから,帽子とサングラスをかならず持参してください.日焼け止めクリームも必携です.ただしエトナは標高3315メートルの火山です.私たちがどこまで行けるかまだわかりませんが,冷気ただよう高地に長く滞在するときのためにパーカーのたぐいをご用意ください.ストロンボリ山頂登山は900メートルを登ります.軽登山靴またはくるぶしをおおうタイプのスニーカーをご用意ください.また下山は日没後になりますので,足下を照らす懐中電灯が必要です.

なお私は,ひとあし先に5月30日に成田を発ちます.6月8日夜,現地ホテルでみなさまをお迎えします.

▼エトナ

昨年9月以降は弱い噴火が8カ月続いた.5月9日,南東火口から比較的激しい噴火がはじまった.南東火口から灼熱した岩塊を100メートルの高さにいま放り上げています.同時に,北北東脇から溶岩を流しています.残念ながら,この溶岩はもっとも行きにくいところを流れ下っているそうです.

このさなかの5月14日,スペイン女性ひとりが山頂火口付近にテントを残して行方不明になりました.火口縁から落ちて死亡したとみられています.遺体はまだ発見されていません.

私達が訪れる6月9日も,この比較的活発な状態がまだ続いていると予想されます.その日の行き先の判断は現地ガイドにゆだねます.灼熱の溶岩を見ることができるかどうかは不明です.数年前に流れたばかりの溶岩流に触ることはできるだろうと思われます.

背景:
紀元前1500年前までさかのぼる噴火記録をもつ火山.イタリアの火山のうち,もっとも大きくてもっとも背が高い.1995年以降,山頂域にある南東火口およびボッカヌーボ火口から溶岩を流しながら活発なストロンボリ式噴火を続けている.

▼ストロンボリ

100メートル下の噴火口を見下ろす山頂ふきんの展望台は,比較的安全に真っ赤なマグマを見ることできるポイントです.過去数年の状況が変化したとの情報は,今日現在私の手元に届いていません.おそらく素晴らしい景色を眺めることができると思いますが,100%保証できるものではありません.火山のご機嫌とお天気のご機嫌を祈りましょう.

背景:
ローマ時代から,絶え間なく赤い火を噴き上げている火山.地中海の灯台とよばれる.この噴火の様子をストロンボリ式噴火という.ときどき溶岩も流す.

▼ベスビウス
1944年4月4日を最後にもう57年間も噴火していませんから,私たちの訪問中に噴火するとは思えません.安心して山頂火口のお鉢めぐりを楽しみましょう.

背景:
西暦79年の噴火でポンペイを埋没させた.その後,1631年にも似たような(やや小振りの)破局的噴火があった.100万都市ナポリがすぐそばにあり,いざというときには60万人を避難させる計画を用意しているという.ベスビウスの扱いは,いまの日本の富士山と同じような扱いであり,大きな社会問題となっている.論争も多い.

▽当初発表した行程にすこし変更があります.ご了承ください.

1)ストロンボリ島での11日「遊覧船にて海からの噴火見学(予定)」は,オプションになります.旅行代金に含まれません.希望者は現地にて申込みを受け付けます.10日夜の登山が天候の関係などで実施できなかった場合は,11日に登山することになることをお含み置きください.

2)ベスビウス火山見学時の2泊はナポリでなくソレントにしました.ソレントは,ナポリ湾を挟んでベスビウスの南対岸にある美しいリゾート地です.