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1996年2月に改訂された震度階級

気象庁は,1996年2月に震度階級の改訂を行いました.それは,震度7がすぐに出せなかった神戸の地震での苦い経験をふまえたものです.当時の震度7は,被害調査をしないと判明しない性質のものだった.

改訂の重要部分は,以下の二点です.

1)気象庁が発表する震度は,震度計による観測値であることを明言した.従来は,人間による体感や観察によって決めていた.たとえば,多くの人が揺れを感じるのが震度2.

2)震度5を震度5弱と震度5強に,震度6を震度6弱と震度6強に,それぞれ二分した.

震度計による観測値を震度にするときめたことによって,全国各地に震度計を多数配置すれば,人手がかからずに,たくさんの震度をすみやかに得ることができることになりました.そして,それが実行されました.これによって,最近のテレビの地震速報でローカルな地名がしばしば出てくることになりました.

震度計も器械ですから故障します.とくに設置したばかりのときは,初期不良の発生が予想されます.実際にそれはあったようですが,報道されなかったようです.私は,機械化したから震度の測定精度が上がった,すなわち信頼度が増した,と考えるのはどうかなと思います.

震度計は実際には,小数点以下一桁まで表示します.これを計測震度といいます.計測震度はテレビや新聞には現れませんが,研究者の間では情報が回ります.(私は,計測震度そのままを一般にも出せばいいのに,と思います.地図上に表現するときはとくにそう思います.)

震度4とは計測震度3.5-4.5のものをいいます.4.0-5.0ではありません. 同様に震度5弱は,計測震度4.5-5.0のものをいいます.5.0-5.5ではありません. 同様に震度5強は,計測震度5.0-5.5のものをいいます.5.5-6.0ではありません. 気象庁がしたこの定義は,常人の感覚と相違しているように私は思います.

震度とマグニチュードが紛らわしいことがよく言われますが,この改訂のときに震度を単純に十倍しておけば英断だったと評価したのになあ,と残念に思います.つまり,計測震度4.3に相当する揺れを震度43とする.


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