6.成果と今後の課題
この授業実践全体を総括すると,本プログラムの長所として次のことがあげられると考える。
(1) 実施授業数9時間は,他の単元の授業計画を圧迫することがなく適当である。
(2) 教材や資料が豊富で,生徒が興味や関心をもって授業にのぞめる。
(3) 火山についての教材や資料から,火山と噴火に対して適切なイメージがもてる。
(4) 火山を,自然現象として捉えるだけでなく,人間生活と関わっていることを感じとることができる。
(5) 火山の危険度を定量的に理解させることができる。
また,今後の課題として次のことがあげられる。
(1) 9時間で消化するには内容や資料が多すぎるので,授業実践を通してさらに内容や資料を精選する必要がある。
(2) 火山に対する生徒の認識がどのように育ったかを検証し,本学習プログラムを評価する。
(3) 多くの学校現場で使われるようにするために,インターネットなどで公開して普及をはかる。
(4) 現場の教師の批判を受けることで,改善・発展させる。
7.おわりに
学習指導要領の縛りが緩やかになり,教師が学習内容そのものを見直していくことが求められている。しかし,それがなかなか成されない実態がある。学校社会の中の理論や経験だけで考えていたのでは,授業や学習内容を変革することはむずかしい。今回のこの研究は,教育現場からいったん離れ,火山学や社会的な視点に立って作ったものである。本プログラムで学ぶことは社会で生きて使える知識であり,自然をどう理解して生きていったらよいかを示唆するものになると自負している。教育現場に,具体的な形でしかも現場に合った形でこの学習プログラムが提案できることは,大きな意義があると考えている。
本研究にあたり,多くの方々の協力をいただいた。早川先生をはじめとする研究室の皆さんはもとより,アドバイスをいただいた吉川研究室や群大地学教室・同期院生の皆さん,浅間で出会えた「まえちゃんねっと」に縁の皆さん,授業に協力いただいた太田市立南中学校・旭中学校の職員・生徒の皆さんにこの場を借りて感謝申し上げます。
8.参考文献
論文・書籍
堀真季子・早川由紀夫(2005)弁当パック立体模型を使った授業実践。群馬大学教育実践研究,22、57-66
「教科書プラスシート-発展的な学習-」東京書籍 平成17年4月発行
「小学校学習指導要領」文部科学省 平成10年12月告示 2004年1月発行
「中学校学習指導要領」文部科学省 平成10年12月日告示 2004年1月発行
「高等学校学習指導要領」文部科学省 平成11年3月告示 2004年1月発行
「新しい科学」東京書籍 平成14年版
「中学生の地理」帝国書院 H16.1.20発行
「生命に危険が及ぶ火山災害が起こった地域」(早川,1993)
「火山灰分析の手引き 双眼実体顕微鏡による火山灰の砂粒分析法」地学団体研究会 1989.12.12第1刷発行
WEBページ
福島中央テレビhttp://www.fct.co.jp/
群馬県消防防災課http://www.pref.gunma.jp/hpm/ninaiteka/00039.html
理科ネットワークhttp://www.rikanet.jst.go.jp/
国土地理院http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2004/1222.htm
防災科学技術研究所http://www.bosai.go.jp
「フィールド火山学」よりhttp://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/kazan/field
「もう失敗しません『カルメ焼き』」http://www.ajiwai.com/otoko/make/karumeyaki.htm
KASHMIR 3D http://www.kashmir3d.com/
北海道立理科教育センターhttp://www.ricen.hokkaido-c.ed.jp
ポータルサイト「火山の教室」http://vulcania.jp/school
火山防災マップデータベース(http://www.gsj.jp/database/vhazard/)
「まえちゃんねっと火山情報掲示板」http://vulcania.jp/bbs/