(7)7時間目

 

@テーマ  火成岩と鉱物

 

Aねらい

  火成岩を作っている鉱物を知り,火成岩の色が鉱物の種類と量でおおむね決まることがわかる。

 

B学習内容

火成岩の色は鉱物の種類と量でおおむね決まる

 

C展開

主な学習活動

教材・資料

教師の支援と留意点

火成岩の顕微鏡像を見る。

 

 

岩石薄片の偏光顕微鏡像

 

 

偏光顕微鏡像で,火成岩が鉱物でできていることを示し,今日は鉱物を取り出すことを説明する。

 

火山灰から鉱物を洗い出し,実体顕微鏡で観察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花崗岩の破砕砂から鉱物を選り分ける。

火山灰中の鉱物観察

・三宅2000年噴火

・上越火山灰

わんがけを実演して説明する。

 

 

 

鉱物写真

「火山灰分析の手引き」(地学団体研究会,1989.12

 

花崗岩の破砕砂

  鉄製乳鉢で花崗岩を砕き,生徒に配る。

紙の上でピンセットを使って,見た目で鉱物を選り分ける。

 

 

 

生物顕微鏡のステージに斜め上からの光を当て,洗い出した鉱物画像をテレビ投影。

 

鉱物の同定に資料として使わせる。

 

 

 

紙の上で石英・長石・黒雲母を選り分ける。

 

見つけた鉱物を,ワークシートやノートにセロテープで貼り付けても良い。

鉱物の種類と特徴をまとめる。

 

教科書の鉱物写真や説明をもとに,ワークシートの表を完成させる。

火成岩標本で,組織の違いや色合いの違いを見る。

 

火成岩と鉱物の関係をまとめる。

火成岩標本

 

同じ火山岩,深成岩であっても色合いに違いがあることに気づかせる。

●火成岩と含まれる鉱物の種類や割合で火成岩の色が決まる。

 

 

D教材

 

【教材1】火山灰中の鉱物観察

 

19  上越火山灰

20 三宅島2000年噴火の火山灰

わんがけ法で火山灰を洗い出し,乾燥させて実体顕微鏡で観察する方法が検定教科書で採り上げられている。

試料として三宅島2000年噴火の火山灰と上越火山灰を使うことにした。上越火山灰(図18)は110万年ほど前に榛名山あたりからの噴火による火山灰(新潟県十日町市付近で採取)で軽石と岩片と鉱物からなる。鉱物は無色鉱物(石英・斜長石)と少しの有色鉱物(菫青石と黒雲母)からなり,全体として白っぽい。三宅島2000年噴火の火山灰(図19)は,2000818日の噴火によるもの(島内で採取)で,ほとんどが岩片からなる。

中学校では生物顕微鏡の方が多くあり,生徒に行き渡るように用意されている。そこで,生物顕微鏡を用いた観察を行うことにした。また,提示用に偏光顕微鏡像をテレビ画面に映し,鉱物とその他を見分けてみせる。

 

 

21 上越火山灰(40倍を撮影)

無色鉱物(石英・長石)が多く有色鉱物が少ないので,全体的に白っぽく見える。(左)。有色鉱物では,雲母(右上)と菫青石(右下)が見られる。

 

22  三宅島2000年噴火の火山灰

黒色や赤色の岩片が多いが,長石(白い粒)や輝石(長方形の黒い粒)が見られる。

 

 

23 上越火山灰の偏光顕微鏡像(40倍を撮影)

左から,斜め上から光を当てて反射光で見た像,透過光で見た像,直交ニコル像,反射光を当てた直交ニコル像

 シャーレに入れた火山灰に水を加え,偏光顕微鏡で見ると,反射光像,透過光像,干渉色像が見られる。反射光で白く不透明な粒が、直交ニコルで真っ暗なことから、軽石ガラスであることがはっきりとわかる。

 

 

 

24 三宅島2000年噴火の火山灰の偏光顕微鏡像(40倍を撮影) 撮影方法は図20と同じ

 

透過光像や直交ニコル像では無色鉱物がわかりやすい。

 

 

 

【教材2】鉱物写真

「火山灰分析の手引き 双眼実体顕微鏡による火山灰の砂粒分析法」地学団体研究会 1989.12.121刷発行

 

この手引きは,火山灰観察用につくられたもので,実体顕微鏡で見たときの鉱物写真をスケッチとともに載せている。

教科書や資料集にも自形に近い形の鉱物写真が載っている。しかし,顕微鏡観察で見えるものとは印象が違う。そこで,観察のときに比較して使える写真資料としてもちいた。