岩神の飛石は赤城?浅間?
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浅間山説が有力なっている岩神の飛石 |
| 赤城山から流れ下ったとされる国指定天然記念物の巨岩「岩神の飛石」(前橋市昭和町三丁目)が、実は浅間山の石である可能性が高いことが二十五日までに、群馬大の早川由紀夫教授(火山学)の調査で分かった。飛石は同市発行の子ども向け歴史教材や案内板にも赤城山起源説が掲載されており、関係者は困惑気味。早川教授は今後、管轄する国などの了解を得て化学分析し、正式な調査結果を公表したいとしている。
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飛石は地上九・六五メートル、周囲六十メートル、地下にも数メートル埋没している。安山岩質の巨大な岩で赤褐色。一九三八(昭和十三)年に国の天然記念物に指定された。同所の稲荷神社境内にあり、前橋市が管理している。
飛石はこれまで、十万年以上前に起きた赤城山の山崩れで利根川の坂東橋付近に流出しその後、約二万四千年前に起きた浅間山崩壊による泥流で現在地に流されたとされてきた。
ところが、最近の学説ではこの浅間山崩壊で大量の土砂とともに吾妻川に入り、渋川で利根川に合流し現在地に流れ着いた、との説が有力になっているという。
管理する前橋市教委は「赤城山の石だと言われてきたのでそう思ってきた。今のところ案内板の書き換えなどの予定はないが、浅間説が事実となればいずれは考える」と困惑した様子。
早川教授は「確かに以前の研究からすれば、飛石ほどの巨大な石が浅間山から百キロ近い道のりを流れてきたとは考えにくい状況だった」と説明する。
その上で、(1)飛石が浅間山の心棒を作っていた硬い部分のため大きいまま前橋まで流れ着いたとみられる(2)同質の岩が吾妻川沿いでたくさん見つかっている―などから、火山学者ら専門家の間でも浅間山説との見方が強くなっているという。
早川教授は調査の結果、中之条町の町指定天然記念物「とうけえし」や高崎市の烏川河床にある「聖石」(ひじりいし)、長野県佐久市の赤岩弁財天などが同質の石と判断。文化庁や同市、地元住民らの同意を得て今後、飛石の一部を削って化学分析し、これらの石と比較したい考えだ。
早川教授は「飛石は前橋のシンボルの一つ。調査した結果を地元の人や子どもたちにも知ってもらいたい」としている。
飛石のある同神社総代責任役員の石井徳保さん(82)は「赤城か浅間か、本当のことを知るのは楽しみ。国の許可があれば、調査に地元の反対はないと思う」と話している。
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