東伊豆単成火山地域
伊豆半島の東半部には,海底も含めて,たくさんの単成火山がある.最北部にある高塚山-長者原-巣雲山は,13万2000年前の割れ目噴火で形成された火山列(M4.8)である(小山ほか,1995).伊東市の門野-荻-一碧湖-東大池-梅木平は10万3500年前の割れ目噴火(M5.0)で生じた.河津町の大池-小池は7万2000年前の噴火(M3.7)でできた双子のマールである.河津町の鉢ノ山スコリア丘(M4.4)と溶岩流(M4.5)は,3万8000年前の噴火でつくられた.天城湯ケ島町の鉢窪山-丸山(M4.1)は1万7000年前の噴火でできた.1万7500年前には,東伊豆町に北西-南東方向の噴火割れ目が開き,川久保川-堰口-稲取火山列(M4.0)がつくられた.伊東市の小室山は1万4500年前につくられたスコリア丘(M3.4)とそれをとりまく厚い溶岩流(M4.7)である.美しいスコリア丘(M4.1)とそれをとりまく薄い溶岩流(M4.6)からなる大室山は5000年前の噴火でつくられた.
3200年前には,この地域ではじめて流紋岩マグマがカワゴ平から噴出した.北方へ火砕流を流すと同時に軽石・火山灰を西方に降らせた爆発(M4.6)のあと,流紋岩溶岩流(M4.6)を北へ流した.岩ノ山-伊雄山火山列(M4.5)は,2700年前に起こった最後の噴火割れ目の位置を示している.岩ノ山はデイサイトからなる溶岩ドームだが,伊雄山は玄武岩質安山岩からなるスコリア丘である.このあと,1989年7月13日に伊東沖で海底噴火が起こるまで,この地域での噴火はなかったと考えられている(早川・小山,1992).
1989年7月13日,伊東沖で海底噴火(M1.0)があった.噴火地点が市街地に近かったため,サージによる被害が発生するのではないかと心配された.