那須岳

那須岳は,46万年前に南斜面で大規模な山体崩壊を起こして,那須野原北部に黒磯岩なだれ堆積物を供給した.そして38万5000年前から22万7000年前までは,プリニー式噴火(いずれもM4級)を12回繰り返した(鈴木,1992).その後しばらく那須岳は爆発的噴火をしなかったが,5万7000年前から再びM3級の準プリニー式噴火を繰り返すようになった.4万2000年前には御(お)富士山岩なだれが発生して南東斜面に展開した(藤田,1988).1万7000年前には大沢火砕流,6600年前には大丸(おおまる)火砕流が発生した.歴史時代には,1408年と1410年に噴火(それぞれM2)があって山頂の茶臼岳が現在の姿になった.

茶臼岳の北13kmにある二岐山溶岩のカリウム-アルゴン年代は13万年前である(伴,1993).

1408年2月15日に茶臼岳で噴火(M2)があった.その2年後の1410年2月24日,ふたたび噴火(M2)が起こり,おそらく噴出した高温物質が雪をとかした泥流が発生して,180人以上が死亡したという.これは,那珂川上流の三斗小屋温泉から板室温泉の区間で起こった災害らしい.このあと茶臼岳では,1881年7月1日にも噴火(M1.5)が起こっている.


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