八ケ岳

埼玉県小鹿野町長留に露出する地層断面から,八ケ岳は49〜42万年前に5回のプリニー式噴火(M5級)を繰り返したことを知ることができる.そのあと28万年前のBBP軽石(M6.0)まで,M5級の軽石噴火が数回あった.

八ケ岳東麓の南牧村広瀬で,34万年前のマスターテフラである加久藤火山灰の10cm上に岩なだれの堆積物を見ることができる.八ケ岳南麓に広がる韮崎岩なだれ堆積物もこれと同時もしくは近い時代に起こった大規模山体崩壊の産物である.川上村に分布する川上軽石(M5.4)は15万年前ころに降ったらしいが,層位がまだよくわかっていない.

2万8000年前には,蓼科山の隣の横岳から八ケ岳第四軽石(M4.7)が噴出した.横岳の坪庭溶岩は新鮮な表面地形をもつから数百年前に流れたようだ.

888年6月20日,天狗岳-稲子岳東壁が崩壊して大月川岩なだれが発生し,その堆積物が千曲川をせき止めて松原湖ができた(河内,1983).この崩壊にともなう噴火堆積物は発見されていない.つよい地震動によって引きがねをひかれたらしい.


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