岩手山
火 山 観 測 情 報
第 71 号
平成10年11月13日14時20分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
11月6日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
火山性地震はやや少ないながら引き続き発生しています。地殻変動は9月3日の地震
以降,現在も続いており,今後の火山活動に引き続き注意が必要です。
【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
11 6 5回 0回
11 7 5 0
11 8 9 0
11 9 7 0
11 10 4 0
11 11 2 0
11 12 4 0
11 13 4 0
・ 岩手山西側の大地獄谷,鬼ヶ城付近で地震が発生しています。
・ 7日,12日に岩手山東側のやや深い(4〜8km付近)低周波の地震がありま
した。
・ *前号の追加:11月1日03時27分鬼ヶ城付近でマグニチュード(M)2.
7の地震を含む地震の増加がありました。このM2.7の地震は鬼ヶ城付近の最も大
きい地震です。これまでの最大は9月3日と14日のM2.5でした。
【地殻変動観測】
岩手山大学合同観測班水準測量グループは11月2日から8日にかけて岩手山の南山
麓で水準測量を実施しました。それによると,これまで(7〜9月)の網張温泉付近
の隆起傾向は9月3日の地震の後も続いています。
東北大学のGPS観測では,7〜8月頃から岩手山西側の南北伸張の傾向経過は鈍化
しているものの現在も続いています。また,国土地理院のGPS観測でも,山体に近
い基線で9月3日の地震以前の2ヶ月間に2〜3cm継続的に伸びつづけ,地震時に
1〜2cm程度縮んだものの,その後の2ヶ月間も継続的に伸び続けています。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
8日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付近が雲に覆われて
表面現象は確認できませんでした。
次の火山観測情報は,11月20日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に
大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 70 号
平成10年11月6日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
10月30日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
火山性地震は増減を繰り返しながら引き続き発生しています。火山性微動が1回発
生しました。今後の火山活動に引き続き注意が必要です。
【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
10 30 14回 0回
10 31 18 0
11 1 25 0
11 2 9 0
11 3 3 1
11 4 8 0
11 5 4 0
11 6 4 0
・ 岩手山西側の黒倉山,大地獄谷,鬼ヶ城付近で地震が発生しています。
・ 火山性微動が1回ありました。
【現地観測及び機上観測】
仙台管区気象台と盛岡地方気象台は今日(6日)、岩手県防災ヘリコプターの協力
により機上観測と山頂付近の現地観測を実施しました。前回と比べ噴気量、噴気温度
及び地中温度に大きな変化はありませんでした。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
30日、2日、3日、4日、6日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外
の日は山頂付近が雲に覆われ表面現象は確認できませんでした。
次の火山観測情報は,11月13日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動
に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
----------------------------------------------------------------------------
(以下,参考資料として添付)
岩手山の活動経過(10月)
岩手山では,10月に入っても火山性地震,火山性微動の発生が続き,地殻変動も継
続している。10月13日に開催された火山噴火予知連絡会は,マグマの関与と火山活動
が長期化する可能性を指摘し,今後とも活動の推移を注意深く見守る必要がある旨の
統一見解を発表した。
以下に,10月の活動経過の概要についてまとめた。
・ 岩手山西側の火山性地震
岩手山西側の火山性地震は,黒倉山・大地獄谷付近を中心に増減を繰り返しながら
発生した。24日に三ツ石山付近でM2.9の地震(雫石町長山で震度1)が発生したが,
黒倉山以西の地震活動は,9月3日のM6.1の地震以降,少ない状態が続いている。
・ 鬼ヶ城付近の火山性地震
鬼ヶ城付近の火山性地震は,9月3日のM6.1の地震直後に増え,9月後半には少なく
なったが,10月に入ってやや増加した。
・ 火山性微動・低周波地震
火山性微動は,7日,24日に各3回観測されるなど,上旬と下旬にやや多く発生し,
合計13回観測された。微動源の大半は岩手山西側であると推定されるが,山頂東側を
微動源とするものも7日,24日に合わせて3回観測された。
山頂付近を震源とするやや深い(深さ4〜8km)低周波地震は,発生数は少ないが,依
然観測されている。
・ モホ面付近の地震活動
モホ面(モホロビチッチ面)付近の地震活動は岩手山の北東側と南側に震源があり
,10月は南側で多く観測された。
・ 地殻変動
東北大学のGPS観測によると,9月3日のM6.1の地震の影響が見られる観測点も
あるが,全体的,長期的に見れば従来からの山体南北伸張が続いているように見える
。
・ 表面現象
盛岡地方気象台が実施した7日の現地観測では,黒倉山や姥倉山の噴気温度は以前
と比べて大きな変化はなく,噴気量も全体としてやや多目だったが大きな変化はなか
った。大地獄谷の噴気にも変化はなかった。27日の岩手県防災ヘリコプターの協力に
よる機上観測では黒倉山の噴気は7日の現地観測時よりやや多めだったが他に異常は
なかった。
火 山 観 測 情 報
第 69 号
平成10年10月30日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
10月23日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
火山性地震は増減を繰り返しながら引き続き発生しています。火山性微動が5回発生
しました。今後の火山活動に引き続き注意が必要です。
【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
10 23 14回 0回
10 24 11 3
10 25 10 0
10 26 7 1
10 27 7 1
10 28 4 0
10 29 7 0
10 30 3 0
・岩手山西側の黒倉山,大地獄谷,鬼ヶ城付近の地震は依然として発生しています。
・ 火山性微動が24日に3回ありました。その内2回は岩手山東側で発生したと推
定されます。その他の火山性微動は岩手山西側と推定されます。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
25日は表面現象に変化はありませんでした。27日午前中,監視カメラでは大地
獄の噴気量がやや多く見えましたが,それ以外の日は山頂付近が雲に覆われ表面現象
は確認できませんでした。
【その他】
27日に盛岡地方気象台は岩手県防災ヘリコプターの協力により機上観測を実施しま
した。黒倉山の噴気量は7日の現地観測時に比べやや多目でしたが,その他の表面現
象には異常は認められませんでした。
次の火山観測情報は,11月6日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大
きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 68 号
平成10年10月23日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
10月16日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
火山性地震は増減を繰り返しながら引き続き発生しています。
今後も火山活動に引き続き注意が必要です。
【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
10 16 7回 0回
10 17 12 0
10 18 2 0
10 19 6 0
10 20 15 0
10 21 23 0
10 22 10 0
10 23 9 0
・岩手山西側の黒倉山,大地獄谷,鬼ヶ城付近の地震は依然として発生しています。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
16日,21日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付近は
雲に覆われ表面現象は確認できませんでした。
【その他】
地質調査所は8月下旬から10月中旬にかけて山頂付近の地温の連続観測を実施し
ました。この速報によると火山活動の活発化に伴うような変動はみられませんでした
。
次の火山観測情報は,10月30日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に
大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 67 号
平成10年10月16日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
10月9日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
主に岩手山西側を震源とする火山性地震が1日20回程度発生しています。火山性微
動は引き続き発生しており,今後も火山活動に注意が必要です。
【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
10 9 9回 0回
10 10 19 2
10 11 20 0
10 12 20 0
10 13 11 1
10 14 13 0
10 15 10 0
10 16 3 0
・火山性微動(3回)は岩手山西側で発生していると推定されます。
・鬼ヶ城付近の地震は依然として発生しています。
・岩手山東側深さ4から8kmの低周波地震は依然として発生しています。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
10,14,15日は山頂付近は雲に覆われ表面現象は確認できませんでした。そ
れ以外の日は表面現象に変化はありませんでした。
次の火山観測情報は,10月23日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に
大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
臨時火山情報
第5号
平成10年10月13日18時20分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
火山噴火予知連絡会は,岩手山の活動について,本日18時00分に次のよう
に統一見解を発表しました。
「岩手山では、1995年9月から山頂直下でやや深い微動が始まったが、本年2
月頃から岩手山の西側を中心に深さ5km以内の浅い地震が多発し、南北方向に火
山全体にわたる地殻の伸張が観測されるようになった。地震活動は震源域を西に
広げながら次第に活発化し、6月中旬から7月上旬にかけては、地震の日回数が1
00回前後まで増加し、浅部で振幅の大きな火山性微動も観測されるようになっ
た。地震活動の活発化に対応して、地殻の伸張と隆起の中心は次第に浅くなった
ものと見積もられる。火山ガスの組成にも、マグマからの寄与の増加が認められ
る。これらの活動は、マグマの浅部への貫入によるものと理解されるが、地表付
近で地温や噴気の状態に顕著な変化は認められていない。
7月中旬以降、西側の地震の頻度は減少に転じたが、3月と同程度のレベルに
あり、また鬼ヶ城近傍や山頂直下の地震活動はやや活発化の傾向を示している。
地殻変動も部分的には鈍化の傾向を示しながらも継続している。9月3日には岩
手山南西でマグニチュード6.1の逆断層型の地震が発生したが、この地震による火
山活動の顕著な変化は認められていない。
このように、岩手山の火山活動は現在も継続しており、一連の活動が地下深部
から始まり、広域に及ぶことから、火山活動が長期化する可能性もある。今後
とも活動の推移を注意深く見守る必要がある。」
火 山 観 測 情 報
第 66 号
平成10年10月9日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
10月2日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
鬼ヶ城付近から大地獄谷を含む地域を震源とする火山性地震が1日20回程度発生し
ています。火山性微動は引き続き発生しており,今後も火山活動に注意が必要です。
また,7日の現地観測の結果,大地獄谷,黒倉山頂,姥倉山付近では大きな変化はあ
りませんでした。
【震動観測】
・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動発生状況
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
10 2 5回 0回
10 3 12 0
10 4 11 0
10 5 25 0
10 6 23 1
10 7 22 3
10 8 10 1
10 9 2 0
・火山性微動の震源は7日のうち1回は岩手山東側で,それ以外は西側と推定されま
す。
・回数が減っていた鬼ヶ城付近の地震は,この期間,再び観測されています。
【現地観測】
7日に盛岡地方気象台が実施した黒倉山頂と姥倉山付近の現地観測の結果,噴気温
度は以前と比べ大きな変化がなく,噴気量も全体としてやや多かった程度で大きな変
化はありませんでした。また,黒倉山頂からの遠望目視観測では大地獄谷の噴気は変
化ありませんでした。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
監視カメラでは5日の午前中大地獄谷の噴気量がやや多かった。2,7,8日は山
頂付近は雲に覆われ表面現象は確認できませんでした。
【その他】
10月13日には火山噴火予知連絡会が開催され,岩手山についても総合的な検討
がされる予定です。
次の火山観測情報は,10月16日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山噴火予
知連絡会の検討内容によっては火山情報でお知らせします。火山活動に大きな変化が
あれば,随時,火山情報でお知らせします。
岩手山の活動経過(9月)
岩手山の活動経過(平成10年8月まで)
火 山 観 測 情 報
第 65 号
平成10年10月2日14時10分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
9月25日以降,火山性地震は1日20回程度の状態が続いています。火山性微動は
引き続き発生しており,今後も火山活動に引き続き注意が必要です。
【震動観測】
東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動発生状況
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
9 25 18回 0回
9 26 18 1
9 27 28 0
9 28 24 1
9 29 25 0
9 30 12 1
10 1 9 0
10 2 2 0
・ この期間、火山性微動は3回観測されています。26日,28日は震源が岩手山
東側,30日のは岩手山西側と推定されます。
・3日から発生していた鬼ヶ城付近の地震はほとんどみられなくなりました。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
・26日は表面現象に変化ありませんでした。それ以外の日は山頂付近が雲に覆われ
表面現象は確認できませんでした。
次の火山観測情報は,10月9日(金曜日)14時頃に発表します。
火山活動に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 64 号
平成10年9月25日14時30分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
9月18日以降,火山性地震は全体として少なくなっていますが,18日には岩手
山西側の地震で有感となり,山頂に近い西側(鬼ヶ城付近)でも小さな地震が依然と
して発生しています。また,火山性微動も発生しています。
今後も火山活動に引き続き注意が必要です。
【震動観測】
東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動発生状況
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
9 18 9回 1回
9 19 23 1
9 20 14 2
9 21 17 0
9 22 8 0
9 23 7 0
9 24 16 1
9 25 9 0
・ 9月3日M6.1の地震の余震活動について,その後火山活動への影響を監視し
てきましたが,余震回数が減ってきたこと及び現在まで火山活動に特段の変化が見ら
れなかったことから,今回から余震の回数は発表しないこととしました。
・ 岩手山西側の地震は減っていますが,9月18日15時22分に震度2の有感地
震を観測しました。
・ 山頂に近い西側(鬼ヶ城付近)で小さな地震を引き続き観測しました。
・ 岩手山(東側)のやや深い(約4〜8km)低周波地震を数個観測しました。
・ この期間,火山性微動は5回観測しました。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
・18日以降,山頂付近は雲が多く,表面現象の変化はほとんど確認できませんでし
た。
次の火山観測情報は,10月2日(金曜日)14時頃に発表します。
火山活動に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火山観測情報
第 63 号
平成10年9月18日14時20分
盛岡地方気象台 発表
火山名 岩手山
岩手山の火山活動状況をお知らせします。
【概況】
9月12日以降、火山性地震はやや少なくなっているものの、14日は,山頂に近い
西側(鬼ヶ城付近)でマグニチュード2.5の地震があり、また、岩手山西側でも1
6日にはマグニチュード2.4の地震があるなど、火山性地震としてやや大きいもの
が発生しています。
今後も火山活動に引き続き注意が必要です。
なお、昨日(17日)の現地観測の結果、悪天候のため山頂周辺の全体像は確認でき
ませんでしたが、地中温度や噴気の変化はありませんでした。
【震動観測】
東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・低周波地震・火山性微動発生
状況
(本日の13時現在)
月 日 火山性地震回数 内,余震 火山性微動
9 11 41回 20回 0回
9 12 42 27 0
9 13 33 16 1
9 14 36 18 0
9 15 23 14 0
9 16 11 8 0
9 17 20 10 0
9 18 4 4 0
・ 14日に鬼ヶ城付近で発生したマグニチュード2.5の地震は無感でしたが、9
月以降、この付近に発生した地震としては最大級です。
・ 9月3日の地震の余震は16日から1日あたり10回以下となっています。
・ 火山性微動は9月11日以降、1回(13日10時21分)観測されています。
・ 16日の地震(マグニチュード2.4、震度1)の震源はこれまでと同じ岩手山
西側でした。
【現地観測】
・盛岡地方気象台は,17日に山頂付近の現地観測を実施した結果、地中温度(外輪
山内壁)は89℃で昨年94℃(9月10日)と比べて大きな変化はありませでした
。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
・11日以降、山頂付近は雲が多く、表面現象の変化は確認できませんでした。
次の火山観測情報は,9月25日(金曜日)14時頃に発表します。
火山活動に大きな変化があれば,随時火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 62 号
平成10年9月11日14時30分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
【概況】
9月3日の岩手県内陸北部(マグニチュード6.1)の地震(以下,「9月3日の
地震」という)以降も岩手山西側では,ほぼ同じ所で火山性地震が引き続き発生して
います。山頂に近い西側では数は少ないものの地震が発生しており,今後の火山活動
に注意が必要です。9月3日の地震による余震はおさまってきています。
岩手山の表面現象(噴気の増大など)の変化は確認されていません。
【震動観測】
東北大学松川観測点で観測された日別の火山性地震・低周波地震・火山性微動発生状
況
(本日の13時現在)
月 日 地震回数 内,火山性地震 火山性微動
9 9 40回 10回 0
10 43 21 0
11 23 14 0
・ 地震回数には9月3日の地震による余震回数も含まれています。「内,火山性地
震」は従来から発生している岩手山西側の火山性地震回数で「地震回数」に数が含ま
れています。
・ これまでのところ,9月3日の地震の前後で火山性地震の発生状況に大きな変化
は見られません。
・ 山頂に近い西側では数は少ないものの地震が発生しています。
・ 岩手山東側のやや深い(約4〜8km)低周波地震も引き続き発生しています。
・ 火山性微動は9月4日以降観測されていません。
【地殻変動】
・ 東北大学および国土地理院のGPS観測によると9月3日の地震による大きな地
殻変動の余効変化が続いていることから,火山活動に関連する変化の有無を確認でき
ない状況にあります。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
・ 10,11日は表面現象の変化は見られませんでした。
【その他】
・ 科学技術庁防災科学研究所の「岩手山の火山専用空中赤外映像装置による山体表
面温度観測(速報)」によると,10日実施の観測では岩手山の火山活動の活発化を
示すと思われる熱異常等は観測されませんでした。
地震回数など火山活動に変化が少ない状態であることから,次の火山観測情報は,
9月18日(金曜日)14時頃に発表します。火山活動に大きな変化があれば,随時
,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 61 号
平成10年9月9日15時30分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
【概況】
岩手山西側では,ほぼ同じ所で火山性地震が引き続き発生しており,今後の火山活
動に注意が必要です。岩手山の表面現象に変化は確認されていません。9月3日16
時58分頃,岩手山の南西で発生した地震の余震活動はこれまでのところおさまって
きています。
【震動観測】
東北大学松川観測点で観測された日別の火山性地震・低周波地震・火山性微動発生状
況
(本日の13時現在)
月 日 地震回数 内,火山性地震 火山性微動
9 3 555 ── 1
4 383 26(6〜24時) 1
5 112 19 0
6 97 13 0
7 32 5 0
8 51 17 0
9 21 3 0
・ 地震回数は,9月3日と4日については9月3日の余震と火山性地震の分離が困
難なため両方を含んでいます。なお,5日以降は余震との分離が可能となったため火
山性地震と余震の回数です。
・岩手山西側の低周波地震は8月31日以降観測されていません。
・火山性微動は9月3日1回,4日1回観測されました。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局)による確認】
・ 9日は表面現象の変化は見られませんでした。
次の火山観測情報は,9月11日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動
に大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 60 号
平成10年9月8日14時40分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
【概況】
9月3日16時58分頃,岩手山の南西約10kmで発生した地震(マグニチュー
ド6.1)の余震活動の影響で,余震とこれまでに観測されている火山性地震や火山
性微動の区別が困難になっています。また,この余震活動は岩手山の山頂付近で発生
している一連の火山性地震とは異なる場所で発生しています。
【震動観測】
東北大学松川観測点で観測された日別の余震を含んだ地震回数は,9月3日は55
5回,4日は383回,5日は112回,6日は97回,7日は32回,8日0時か
ら13時まで32回となっています。
火山性微動は9月1日1回,3日1回,4日1回観測されました。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局)による確認】
本日(8日)は,岩手山が雲に覆われており,盛岡地方気象台からの遠望観測,監
視カメラ(東北地方建設局)による観測はできませんでした。
岩手山の火山活動の活発な状態は続いており,今後,この本震−余震型地震の活動
が岩手山の火山活動に何らかの影響を与えることも考えられますので引き続き注意し
て下さい。
次の火山観測情報は,9月9日(水曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大
きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 59 号
平成10年9月7日14時10分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
【概況】
9月3日16時58分頃,岩手山の南西約10kmで発生した地震(マグニチュー
ド6.1)の余震活動の影響で,これまで観測されている火山性地震と余震の区別が
非常に困難となっています。また,この余震活動は岩手山の山頂付近で発生している
一連の火山性地震とは異なる場所で発生しています。
【震動観測】
東北大学松川観測点で観測された日別の余震を含んだ地震回数は,9月3日は55
5回,4日は383回,5日は112回,6日は97回,7日0時から13時まで1
9回となっています。
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局)による確認】
本日(7日)は,岩手山が雲に覆われており,盛岡地方気象台からの遠望観測,監
視カメラ(東北地方建設局)による観測はできませんでした。
岩手山の火山活動の活発な状態は続いており,今後,この本震−余震型地震の活動
が岩手山の火山活動に何らかの影響を与えることも考えられますので引き続き注意し
て下さい。
次の火山観測情報は,9月8日(火曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大
きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 58 号
平成10年9月6日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
9月3日16時58分頃,岩手山の南西約10kmで発生した地震(マグニチュー
ド6.1)の余震活動は,1時間当り10回以下の状態が続いています。この地震活
動は,岩手山の山頂付近で発生している一連の地震とは異なる場所で発生しています
。
東北大学松川観測点で観測された,9月5日13時から9月6日13時までの毎時
間の地震回数は以下のとおりです。
9月5日13時〜14時 6回 9月6日00時〜01時
4回
14時〜15時 8回 01時〜02時
7回
15時〜16時 4回 02時〜03時
2回
16時〜17時 3回 03時〜04時
6回
17時〜18時 3回 04時〜05時
2回
18時〜19時 3回 05時〜06時
6回
19時〜20時 4回 06時〜07時
5回
20時〜21時 6回 07時〜08時
2回
21時〜22時 4回 08時〜09時
4回
22時〜23時 2回 09時〜10時
5回
23時〜24時 3回 10時〜11時
9回
11時〜12時
4回
12時〜13時
5回
日別の地震回数は,9月3日は555回,4日は383回,5日は112回,6日
0時から13時までは61回となっています。
本日(6日)は,岩手山が雲に覆われており,盛岡地方気象台からの遠望観測,
監視カメラ(東北地方建設局)による観測はできませんが,昨日(5日)まで,岩手
山の火山活動に関係すると思われる異常は確認されていません。
岩手山の火山活動の活発な状態は続いていますので,引き続き注意して下さい。
次の火山観測情報は,9月7日(月曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大
きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 57 号
平成10年9月5日14時00分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
9月3日16時58分頃,岩手山の南西約10kmで発生したマグニチュード6.
1の余震活動は徐々に減衰しており,岩手山の山頂付近で発生している一連の地震と
は異なる場所で発生しています。
東北大学松川観測点で観測された,9月4日16時から9月5日13時までの毎時
間の地震回数は以下のとおりです。
9月4日16時〜17時 8回 9月5日00時〜01時
4回
17時〜18時 10回 01時〜02時
4回
18時〜19時 11回 02時〜03時
4回
19時〜20時 8回 03時〜04時
6回
20時〜21時 9回 04時〜05時
3回
21時〜22時 10回 05時〜06時 1
0回
22時〜23時 6回 06時〜07時
6回
23時〜24時 10回 07時〜08時
4回
08時〜09時
8回
09時〜10時
7回
10時〜11時
4回
11時〜12時
3回
12時〜13時
3回
日別の地震回数は,9月3日は555回,4日は383回,また5日の0時から1
3時までは66回となっています。
盛岡地方気象台からの遠望観測,監視カメラ(東北地方建設局)では,岩手山の火
山活動に関係すると思われる異常は確認されていません。
岩手山の火山活動の活発な状態は続いていますので,引き続き注意して下さい。
次の火山観測情報は,9月6日(日曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大
きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
9月4日に気象庁から配布された報道参考資料(抜粋)
・「岩手県内陸北部の地震活動と岩手山の火山活動の関連について」
・岩手山周辺で1800年以降に起こった大きな地震
・震央分布図(1998.3.1.0000-9.3.2200ころ)
・3日の地震の余震分布図(東北大学)
・1998年8月時点での地殻変動ベクトル図(国土地理院)
火 山 観 測 情 報
第 56 号
平成10年9月4日16時30分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
9月3日16時58分頃,岩手山の南西約10kmでマグニチュード(M)6.1
の地震が発生しました。今回の地震活動は,この震源の周り東西約10km,南北約
10kmの範囲で発生しています。地震活動は徐々に減衰しており,岩手山の山頂付
近で発生している一連の地震とは異なる場所で発生しています。
本日(4日),盛岡地方気象台は,岩手県の防災ヘリコプターの協力による機上観
測を実施しました。その結果,岩手山山頂および西岩手山周辺では,岩手山の火山活
動に関係すると思われる異常は確認されず,大地獄谷の噴気量も,前回8月5日に仙
台管区気象台が行った機上観測の時と変化はありませんでした。盛岡地方気象台から
の遠望観測,監視カメラ(東北地方建設局)では,岩手山の火山活動に関係すると思
われる異常は確認されていません。
9月3日16時から9月4日16時までの毎時間の地震回数は以下のとおりです。
9月3日16時〜17時 2回 9月4日00時〜01時 5
9回
17時〜18時 177回 01時〜02時 4
4回
18時〜19時 80回 02時〜03時 2
6回
19時〜20時 75回 03時〜04時 2
4回
20時〜21時 54回 04時〜05時 1
7回
21時〜22時 44回 05時〜06時 2
7回
22時〜23時 50回 06時〜07時 1
6回
23時〜24時 47回 07時〜08時 1
5回
08時〜09時
5回
09時〜10時 1
3回
10時〜11時 1
3回
11時〜12時
7回
12時〜13時 1
2回
13時〜14時
9回
14時〜15時 1
0回
15時〜16時 1
4回
本日(4日),火山噴火予知連絡会の緊急幹事会が開催され,岩手県内陸北部の地
震活動と岩手山の火山活動との関連について検討した結果は,次のとおりです。
『 この地震は岩手山頂の南西約10kmで,一連の火山性地震が発生している西岩
手山に隣接して起こった逆断層型地震であった。この地震の前後で火山活動と関連す
る火山性地震や地殻変動に顕著な変化は認められず,また岩手山に噴気活動など表面
現象の変化は認められない。
しかしながら,岩手山ではGPS観測などにより以前から西岩手山の地震活動域の
直下を中心に膨張が認められており,その変動は最近の水準測量によっても確認され
ている。また,火山性地震の活動も消長を見せながら継続していることから,噴火の
可能性も含めて地震活動などの推移などに今後も注意が必要である。』
次の火山観測情報は9月5日(土曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大き
な変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報
第 55 号
平成10年9月3日23時20分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年9月3日17時15分発表,
臨時火山情報第4号関連)。
本日16時58分頃,岩手山付近で強い地震(マグニチュード6.0)が発生し,
その後,この地震の余震を含めて岩手山周辺で地震が多発しています。
本日16時から23時までの毎時間の地震回数は以下のとおりです。
9月3日16時〜17時 2回
17時〜18時 177回
18時〜19時 80回
19時〜20時 75回
20時〜21時 54回
21時〜22時 44回
22時〜23時 50回
盛岡地方気象台からの遠望観測,監視カメラ(東北地方建設局),並びに岩手山周
辺の現地調査では,岩手山の火山活動に関係すると思われる異常は確認されていませ
ん。
16時58分の地震の震源は,岩手山山頂の南西約10kmで,従来,火山性地震が
発生していた場所とは異なります。
しかし,岩手山の火山活動の活発な状態は続いていますので,引き続き注意して下
さい。
臨 時 火 山 情 報
第 4 号
平成10年9月3日17時15分
盛 岡 地 方 気 象 台
発 表
火 山 名 岩 手 山
今日16時58分頃,岩手山付近で大きな地震がありました。
今後の火山活動に十分注意して下さい。
火 山 観 測 情 報
第 54 号
平成10年8月31日11時30分
盛岡地方気象台 発表
火 山 名 岩 手 山
岩手山の火山活動状況をお知らせします(平成10年7月10日09時00分発表,臨
時火山情報第3号関連)。
【概況】
岩手山西側で30日,有感地震1回を含む139回の地震が発生しました。
その後,地震回数は減っています。1日の地震回数が100回を越えたのは7月10日
以来です。また,30日には岩手山西側の低周波地震も発生しました。
今後の火山活動に注意が必要です。
【震動観測】
東北大学松川観測点で観測された火山性地震・低周波地震・火山性微動発生状況
(本日の10時現在)
月 日 火山性地震 火山性微動
8 28 29回 1回
29 24 0
30 139 0
31 14 0
岩手山西側では,30日19時〜21時の2時間に85回の地震が観測されました。
20時13分にはM1.9(雫石町長山:震度1)の地震が発生しました。
21時以降は,1時間当たり数回の地震発生状況にもどっています。
東岩手のやや深い(深さ8km付近)地震は引き続き日に数回観測されています。
岩手山西側の低周波地震は,30日に2回観測されました(7月31日以来)。
山頂直下の浅い地震は,数は少ないものの発生しています。
火山性微動は,28日に1回観測されました。
【地殻変動】
30日の地震活動の前後で地殻変動の傾向に特段の変化はありませんでした。(東北
大学の観測による)
【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局)による確認】
29,30日は表面現象の変化は見られませんでした。
28,31日は雲に覆われて観測できませんでした。
次の火山観測情報は9月4日(金曜日)14時頃に発表します。火山活動に大きな変化があ
れば,随時,火山情報でお知らせします。