昼寝を終えたらちょうど太陽も高度を下げていました。私たちのマウナケアへ来た目的は、そこで日没を向かえると言うことだったのです。神々しいまでの夕暮れを堪能するためだったのです。
とはいっても、まだ夕暮れまで1時間ある。ちなみにこの写真はマウナケア。雲海の中に平べったくのびている山体が、盾状火山をとてもよく象徴している。マウナケアはこれにくらべたらゴツゴツしたかたちをしている。これはマウナケアが古いからだ。マウナケアに噴火の歴史はないが、マウナロアは1980年代に噴火している。
さあ、太陽が赤くなってきました。完全な防寒対策で再び山頂へ向かいました。と、うしろを振り返ると、なんとそこにはマウナケアの影が、できていたのです。影富士というものは有名であるけど、影マウナケアなんてそうめったに拝めるものじゃありません。僕はこの影マウナケアといっしょに記念撮影。でもなぜかカメラ目線ではない。
この写真ではわからないけれど、この影は水平線より上にまで影がのびているのです。意味わかるかなあ?山頂は4000mと高いため、日没と日の出時は、足元から太陽が出てくるのです。照明を下から照らされている状態です。そうすると、影は天上に映りますよね。その状態がこの時です。この山の高さを実感した瞬間でもありました。
私たちは、その神々しい夕日を、時間が過ぎるのを忘れていつまでも見ていました。それは何とも言えない色でした。こんな色の夕日は今まで見たことがありません。たとえようのない色をしていました。天を仰げば星がまたたいていました。なのに地平線はこうこうと赤く燃えています。いつまでもいつまでも・・・
この写真、夕暮れのマウナケア山頂にたたずむ2人。
地平線のかすかな残り火も、消えてしまいました。気付いたらそこは、足元からの星空でした。星が足元から見えるなんて、このマウナケア山頂ではあり得る話なんです。私たちは、名残惜しいけど、そろそろ現実に戻って、寒さを思いだし山頂をあとにしました。氷点下3度はいっています。
こんなところが地球上にあるなんて・・・もう2度とはこんなところ来れないのかなあ・・・
ふと思い、なぜか人間のはかなさを感じてしまったのでした。