ダイク
Dikes
 
 地表で見られる割れ目噴火は,ダイクが地下に一枚つくられることに相当する.
 ハワイのオアフ島の東半分をつくるコーラウ火山には,リフトゾーンが南北に走っている.その断面には多数のダイクが見られる.幅はどれも数十cmと薄い.両縁が暗色なのは急冷のためにガラス質になったから.

 この写真をみると血管のようだからダイクのことを日本語で岩脈とはうまく言ったものだ.しかし線構造を意味する岩脈という言葉は露頭面での形態を記述しているにとどまっていて,三次元空間での形態観察に適さない術語である.同じ理由で,ダイクは一本二本と数えるよりも一枚二枚と数えたほうがよい.
(Koolau, Oahu, Hawaii) 
 ハワイ島のコハラ火山の断面に見られるダイク(Kohara, Hawaii)
 噴火割れ目を埋めたダイクと,地表にできたスコリア丘.
(Hafragilsfoss, Iceland)

 伊豆半島北西端の大瀬崎にみられるダイクは富士山の方向に伸びている.フィリピン海プレートの進行方向だ.
(沼津市大瀬崎)
 
 1983年10月3日夕方,噴火割れ目が南へ拡大してきて新澪池北端でマグマのしぶきが上がり,スコリア丘がつくられた.その後すぐに新澪池の水によって噴火様式が水蒸気マグマ爆発に変わり,火口の拡大が起こってスコリア丘と噴火割れ目の断面が露出した.スコリア丘の上をその爆発飛散角礫が覆う.
(三宅島の新澪池)
 伊豆大島の1986年噴火でカルデラ外にできたC火口列の壁面にあらわれた噴火割れ目.

 割れ目の上のスコリアだけ黒いのはなぜだろうか?