堆積物から噴火をよみとる
Reconstructing Past Eruptions from the Deposits
 
 テフラとレスの互層から火山の噴火史を編む作業ができるのは第四紀に限ったことではない.条件が許せば,第三紀あるいはそれより古い時代の火山噴火も復原できる.
 良質の哺乳類化石や陸生植物化石を多産することで有名なジョンデイ層(John Day Formation)は,平原に堆積した前期中新世の泥岩である.日本の関東ローム層とよく似た地層だ.ほとんど固結していないため流水による浸食を受けやすい.植生による被覆がほとんどないからカラフルに着色された層理がよく観察できる.

 この地域は現在乾燥しているが,カスケード山脈がいまほど高くなかった2000万年前は湿った空気が太平洋から直接もたらされ,うっそうとした森林の中にたくさんの哺乳動物が生息していた.この泥岩の中には火砕流堆積物を含むテフラが挟まれていることから,近くで火山活動が起こっていたことがわかる.

 遠景は,地球上でもっとも新しい洪水玄武岩であるコロンビア川玄武岩(Columbia River Basalt)である.
(Painted Hills, Oregon)
 コロンビア川玄武岩の構成員であるMill Creek Flat Basalに覆われたレスの間に何枚かのプリニー式軽石が挟まれている.その下には赤紫色の火砕流堆積物がある.この地点は第四紀の火山であるジェファーソン(Jefferson)の東北東42kmだが,これらのテフラはコロンビア川玄武岩に覆われていることから中新世に噴火したものである.
(Highway 26 の100 mile ポスト付近,標高800m,Warm Springs, Oregon)
 アリゾナ州東部にあるペトリファイド・フォレスト国立公園は,大きな珪化木を多産する三畳紀の泥岩である.ジョンデイ層とよく似たカラフルな着色がみられる.
(Petrified Forest National Park, Arizona)