以下は,千葉さんの掲示板「ある火山学者のひとりごと」へ投稿した文章です.投稿は噴火前でしたが,私の考えはいまもまったく変わっていません.(緑字は4.3.0555加筆)

1178. 2000年03月31日 06時39分44秒  投稿:早川 
 
ちばさん>
>「まあ、2〜3日の避難所暮らしだから・・」とおもったのか、
>軽装の住民が多いように思いますが、そのことがとても気掛かりです。
>台風や洪水の避難と違って、この分だと
>噴火が完全に終息するまでの数ヶ月は戻れないだろうし、
>自宅が完全に破壊される可能性だって相当に高いのです。
>避難の呼びかけの時に、そこまで理解させられたのでしょうか。

「避難命令」が出た,と伝えているメディアがあるようですが,誤報ですね.
日本の法律に避難命令の規定はないと思います.

いま市町長から出されている避難勧告も避難の指示も,
災害対策基本法60条によるものです.

63条の警戒区域指定はまだ発令されていないようです.
63条は罰則規定をもっていますから,強い強制力をもちます.
しかしその反面,結果として生じた個人の経済的損失を
保証しないという,重大な矛盾をはらんでいます.
私は,長期化することがふつうの火山災害危機で63条は使うべきでないと考えます.

きょうあすは,有珠の動きがつかめないから,
遠くから有珠の出方をうかがうのがよいと思います.

しかし有珠の出方がわかった段階で,
小康状態が訪れたとき,
たいせつなものをとりに自宅へ短時間戻ることの手引きを,
(避難の指示を出した)市町長が,住民に対して,してあげてほしい.

火山活動が平時のレベルまで戻るまで,一瞬たりとも区域内に入れない
などといった硬直した態度をとらないでほしい.

もちろん,こわいと思う人は,取りに行かないのがいい.
命をかけてでも取りに行きたい人の権利は認めてあげるべきだと
私は考えます.

このことについて,ご意見をお聞かせください.
私へのメールでもけっこうです.
hayakawa@edu.gunma-u.ac.jp