5.01(月)
- ▼4.22動物愛護団体事件
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- ▼けさの朝日新聞2面に,今回の有珠山異常でもっとも注目すべき発言がのっています.岡田教授の発言として直接話法で書いてあります「そういう点では前回と違った本格的な活動だと考えています」.ここで前回は,1977年噴火をさすのだと思われます.
- 今回の噴火ではまだ100万トンしか出ていませんが,1977年噴火では6000万トンのマグマが噴出しました.それとは違った本格的な活動という指摘を,いまここでは,より大量のマグマが噴出すると理解することにします.すくなくとも1億トンを超えるマグマが噴出するリスクに,いま私たちはしっかりと対応しなければならないと帰結されます.3.31噴火前とその直後にとった避難行動を大きく上回る(おそらくは伊達市中心部も含んだ)避難行動が近い将来必要になるかもしれないと考えておくべきだ,となります.
- 過去の事例で言えば,山のかたちをすっかり変えた1663年噴火と同規模の噴火を念頭に置くことになります.その噴火では,25億トンのマグマが噴出しました.
- しかし,この新聞記事は岡田教授の署名入り記事ではありません.岡田教授に朝日新聞記者がインタビューして作成した記事です.記者の誤解が紛れ込んでいる可能性があります.
- 前回と違った本格的活動になることを心配させる観測事実として岡田教授が記事中であげている二つのうち,地殻変動のデータは国土地理院などが熱心に公開していますから,第三者による評価が可能です.しかし,もうひとつの観測事実である震源データは,3.28の記者会見資料を最後に私は見たことがありません.第三者が岡田教授の解釈を震源データによって評価することは,いま不可能です.この記事を書いた記者は震源データを見たのでしょうか.それとも岡田教授の意見だけをもとにして記事を書いたのでしょうか.
- 地震計が吐き出すデータから震源を決める作業は,現在ほとんど自動化されているはずです.もちろん専門家によるチェックが必要ですが,それはさほど手間のかかる作業だとは思えません.震源の三次元プロットと経時変化図はなぜ公開されないのだろうか.疑心暗鬼を生む前に公開してほしいものです.パニックを防ぐ最良の方法は,情報を隠さずに公開することです.(0850)