Date: Thu, 27 Apr 2000 14:02:03 +0900
Subject: 思うことと伺いたいこと
淡路 純子
41才
主婦
意見と質問のメ-ルです。
名前を公開されることに、支障はありません。
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早川先生
今朝の読売新聞の有珠山関連記事、「進まぬ観測網整備」を読みました。
予測と観測体制の整備に関して、4月25日の先生のコメントを拝見した後、
4月13日の読売新聞朝刊の記事を思い出していました。
新聞はもう処分してしまったのですが、予知連の統一見解の全文と一緒に記者会見席
上での一問一答の内容が掲載されていました。
「予測は可能ということか?」の質問に対してのお答えは「観測機器の整備が必要だ
。」
「(このような噴火が当面続く考えられるという)当面とはどのくらいの期間か?」
という質問には「むつかしいが、非常に短いということはない。2、3日という単位
ではない。」というお答えが掲載されていたと記憶しています。
見解の内容については、前日の夜から深夜にかけて、テレビで報道されていましたが、
一夜明けて新聞を見ると、昨晩の印象と少し違うかな...という感じでした。
でも、統一見解のおさらい、というか、掘り下げた解説のようなものはその後、あり
ませんでしたし、避難指示地域の一部が解除されたことや、一時帰宅の拡大されてい
く過程で、必要な観測体制は整えられたのだと思っていたのですけど...。
それが、まだ、となれば、深刻な問題なのかもしれません。
ただ、4月12日以降、私達の関心はいつ(今続いている噴火が)収まるか?という
事に向けられています。めっきり少なくなった新聞やテレビの報道からも3月31日
以上の噴火が起こるかもという懸念は伝わってきません。
火山活動の状態と警戒の呼び掛けは、毎日同じ言葉で繰り返されています。
統一見解の発表からは2週間以上が過ぎました。
そろそろ、続編が欲しいです。
専門家が、今の時点でどのような考えをお持ちなのか、くわしく、正しく、知りたい
思いです。
以下質問です。
少し前、最初の噴火の際、殆ど出ていないと思われていたマグマ物質が実は大量に放
出されていたということを、時事通信の記事で知りました。
その後、先生のコメントを頼りに、いくつかの新聞で掲載されていた同様の記事を読
みました。
これは、マグマのエネルギーが思っていた以上に放出されていた、ということだと理
解したのですが、違うのですか?
これまでの報道で、専門家の見解として、「過去の例からして、マグマのエネルギー
はまだ、数パーセントしか出ていない。」と言われてました。だからこそ「まだまだ
こんなものではない。」ということに繋がるのだと思っていました。
ですから、「実は大量にマグマが..」という情報は、当然マスコミでも大きくとりあ
げられるだろうし、それに対して専門家のコメントも何かあるに違いないと 思って
ました。
でも、私の知る限り、この情報に触れたテレビの報道はありませんでした。
これは、大勢に影響のない情報なのですか?
「殆ど出ていないと思われていたものが、実は大量に出ていた」というこの情報は、
実は、31日の噴火は想像以上に危ないものだった、と言う根拠になる程度ものにす
ぎないのですか?
このことで、当初の見通しよりは、今後の噴火活動はマシになるかも、と期待するの
は、素人の誤りなのでしょうか?
残念ながら,「実は大量にマグマが..」という情報は安心情報ではありません.悪い知らせです.3.31噴出物の半分以上がマグマ由来だったということは,マグマ噴火をあのように音もなく始めて火砕流などの甚大な災害を遠くまで及ぼす能力を,いまの有珠山が十分もっていると理解してください.ただし,その後4週間がほぼ平穏にすぎましたので,その危険は小さくなったと言えるかもしれません.
私が考えるいまのリスク評価については,有珠山の論理ツリーをごらんください.
3.31噴出物の全部がマグマ由来だと思っても,その後の噴出物を全部足しても,「まだ、数パーセントしか出ていない。」の判断に変更はありません.つまり3.31噴火は,1977年噴火などにくらべて桁違いに小さかったのです.これも悪い知らせです.これからもっと桁違いの量がでるかもしれない.(でも,でないかもしれない)
悪い知らせを当事者に率直に語る前には工夫がいるかもしれませんが,文字だけで語るインターネットでそれをするのはむずかしい.現実を直視してほしいと私は願っています.現実に目をつぶると,有珠山の変化を見失って,最悪の場合死に至ると,あえて申し上げます.雲仙ではこれが現実に起こりました.
なお,4.13読売新聞に掲載された一問一答は,ウェブでまだ見ることができます.そのページで,井田会長は,「軽石噴火の兆候は出ていないが、山頂での石噴火が起こるとすれば、現在の観測体制で十分とらえられると思っている。」と答えていますね.これは,伊達市役所での会見です.きょうの読売新聞記事を書いた記者は,その日は東京大手町の気象庁本庁での会見に出たらしい.
早川由紀夫(4.27.1505)
Date: Thu, 27 Apr 2000 19:12:02 +0900
Subject: お返事拝見しました。 淡路純子
早川先生
早速のお返事、ありがとうございました。
受け取った情報に対して、私達(友人、御近所を含めます。)が、いかに都合の良い、
自己流の解釈をしているか、ということがよく分かりました。
自分達の向いている方向が、専門家の方々のそれと、ズレがあるのだろうな、 と思っ
てはいましたが、そのズレはかなり大きいかもしれません。
「警戒が必要」という言葉は耳にははいってくるのですけど、このところ実感が伴わ
なくて...先生の「倫理ツリー」を拝見しても、「(これから最悪がくる確率が)あ、
こんなにすくない!」と思ってしまうのです。
確率は残っているのですけどね。
私は、影響は受けていますが、直接の被災者ではありません。
認識の甘さは失望の原因になっても、生死に関わることはありません。
私の理解力と判断力に難があるだけであって、より現場に近い方達は正しいものを
見ていらっしゃればいいと思います。
お伺いして、良かったと思っています。
初歩的なことで、お手をわずらわせてしまいました。
感謝しています。
淡路純子
追伸
読売新聞の記事ですが、当日、WEBページと、手許の紙面を見比べて、紙面の方で
「今の観測体制で十分だと思うが」という部分が抜けていると思ったような記憶が有
ります。ごめんなさい。不確かです。観測体制に問題がなければいいと思います。