上にあげた各社記事に,わたしは不適当をみつけることができません.どの社もなかなかよく書いたとおもいます.政府の情報公開のやり方がよかったのかな?ただし,発表前日に書かれた読売新聞にはとんまな記述「1707年の「宝永噴火」並みの大規模噴火の場合、火口が山頂付近にできるため、溶岩は沿岸部に到達しない」がありました.
いや,毎日新聞の今朝の記事「富士山は江戸時代の宝永噴火(1707年)以来、300年近く活動していない。それ以前は、2200年の間に数十〜100回の噴火があったとみられ、数十年に1回の割合になる。現在の眠りは「長い」といえる」が,正確とは言えないことを指摘しましょう.1707年の前,富士山は現在と同じくらい長い眠りについていた.1707年噴火を挟んで,長い眠りをするようになったことが,いまの富士山の特徴です.紀元1年から1000年までの1000年間は,数十年おきに噴火を繰り返していたのですから.
この時間になっても政府のページ(おそらく内閣府防災情報のページ)に中間報告資料がまだ掲載されてないのは,残念です. 6月 13日 (木) 10:03:38に置かれたようです.1520に発見しました.
富士山の履歴をよく知る地質学者のひとりとしてひとこと書きます.今回の中間報告に含まれなかった重大な富士山災害要素がひとつあります.それは,2400年前に発生した御殿場岩なだれです.この岩なだれとそこから派生した泥流が席巻した土地の上に,いま50万人が住んでいます.岩なだれや泥流は,溶岩流よりスピードが速いからはるかに危険です.→現代都市への火山の危険
中間報告39ページに,御殿場岩なだれの実績マップが掲載してありました.この図の意味するところを説明しなかったのは,意図してのことだったとみられます.しかしそれは,不適当な意図です.日本国民はそんなに低能ではない.→大円錐火山の崩壊