日光金精山の地割れ調査報告 2001年6月23日

日光金精山の山頂付近に地割れがあるとの通報が登山者からあり,栃木・群馬両県などが18日,現地調査して確かめました.私も23日に登山して,確かめました.以下に写真を掲載します.すぐそばの日光白根山に異常はありません.

調査ルート:菅沼→金精山→前白根山→五色沼→白根山→弥陀ヶ池→菅沼.

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菅沼ドライブインの窓ガラスが,雪解け後,多数割れていたという.

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これらの斜面崩壊は今春のものではなく,数年前のもの.

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金精山頂ふきんで,登山道の縁に沿う地割れ.金精山.日光砂防(?)が開口幅を測っている.

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6月18日の写真と比較して,開口幅にほとんど変化ない.

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この地割れに限っては,18日から拡大しているようにも見える.下方に落下しているのだろうか?

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「杉」の字形に雁行した地割れ群.右ずれ.

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右ずれのようにも見える.

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根元にあった大岩とともに栃木県側に崩れたオオシラビソ.遠景は男体山.

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南から見た金精山.第三紀の変質した火山岩の上を,柱状節理をもつ第四紀の溶岩がおおう.栃木県側(右)は,岩盤が露出した自由落下斜面をなす.一方,群馬県側は急傾斜だが表土がのっていて森林が形成されている.地割れのほとんどは,この森林土壌の上にある.

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五色山からみた白根山と五色沼.

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山頂の巨大割れ目.遠景にロープウエイ山頂駅.白根山に異常はみつからなかった.

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燧ヶ岳と丸沼.

本年3月31日06:09にこの地域の下8kmで発生したM4.9の発震によって,これらの地割れが形成されたのだと思われます.地割れ発見が遅れたのは,積雪がなくなってはじめて地表に露出したからでしょう.地割れは,金精山頂を含む200メートルくらいの領域にしかありません.

菅沼ドライブインの窓ガラスもそのとき割れたのでしょう.被害状況から判断すると,菅沼で震度5弱だったとみられます.なお丸沼高原スキー場はその日営業していましたが,とくに異常はみられなかったとのことです. 湯元での聞き取り調査はしていません.

この発震は,防災科学技術研究所のFreesiaによると,深さ5km,Mw5.0で,北西-南東方向に圧縮軸をもつ横ずれ型です.

地割れの成因は,次の三つが考えられます.どれが正しいか,いまの私にはわかりません.ご教示ください.

  1. 地震によって不安定になった土塊が重力によって引かれた開口割れ目
  2. 震源断層の末端が地表に達した地表地震断層
  3. 地下からの押しつけによる開口割れ目
早川由紀夫@群馬大学教育学部
hayakawa@edu.gunma-u.ac.jp