岩手山の論理ツリー

1999.1.8

2000年12月31日までに
┏85% 噴火しない
┣95% 平穏(発生確率81%,被害人口0,リスク0)
┗5% 大地震
┣80% 強震動被害のみ(発生確率3.4%,被害人口100,リスク3)
┗20% 山体が崩壊する
┣40% 岩なだれは盛岡市に達しない(発生確率0.3%,被害人口10000,リスク34)
┗60% 岩なだれが盛岡市に達する(発生確率0.5%,被害人口200000,リスク1020
┗15% 噴火する
┣50% 西側
┣95% 水蒸気爆発に留まる(発生確率7.1%,被害人口1,リスク0)
┗5% マグマ噴火に発展(発生確率0.4%,被害人口100,リスク0)
┗70% 東側
┣25% M2以上の溶岩流(発生確率2.6%,被害人口0,リスク0)
┣0.001% M6火砕流とカルデラ形成(発生確率0.001%,被害人口400000,リスク4)
┗70% M2以上の降下スコリア(発生確率7.4%,被害人口0,リスク0)
┣90% 泥流が発生する
┣80%北上川は氾濫しない(発生確率5.3%,被害人口2000,リスク106
┗20%北上川が氾濫する(発生確率1.3%,被害人口10000,リスク132
┣5% M2以上の火砕流発生(発生確率0.4%,被害人口100,リスク0)
┗10% 山体崩壊に至る
┣40% 岩なだれは盛岡市に達しない(発生確率0.3%,被害人口10000,リスク29)
┗60% 岩なだれが盛岡市に達する(発生確率0.4%,被害人口200000,リスク882


1999.1.8

噴火しない確率評価を75%から85%に変更しました.

噴火しない確率評価の変更履歴
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1999.01.08 85%
1998.11.24  75%
1998.11.03 70%
1998.10.27 65%
1998.10.20 60%
1998.10.15 51%
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噴火しない場合のリスクは1057,噴火する場合のリスクは1153です.ほぼ同等となりました.いまの岩手山による脅威は,噴火よりむしろ(地震動による)山体崩壊が大きいことをこれは意味します.


1998.11.24

噴火しない確率評価を70%から75%に変更しました.


1998.11.3

噴火しない確率評価を65%から70%に変更しました.


1998.10.27

噴火しない確率評価を60%から65%に変更しました.

北海道駒ヶ岳の論理ツリーもごらんください.


1998.10.24

このページの原形は10.15につくりました.しばらくリンクしないでおきましたが,種々の事情を見渡して,いまなら公開しても大丈夫だろうと判断したので,公開します.

私が望んでいるのは,ここに試作した論理ツリーを用いた防災対策手法がこの国で取り入れられることです.上に示した確率数値に私は固執するつもりがありません.

リスクは地域固有のものです.盛岡市固有の問題としてこれをとらえるときは,盛岡市民への他のリスクも評価する必要があります.気象災害や航空機の落下などのリスク評価も必要ですが,ここでは交通事故のリスクを評価してみましょう.

日本では,毎年およそ1万人にひとりが交通事故で死亡しています.27万都市盛岡での交通事故死者は,毎年27人くらいでしょう.「岩手山の論理ツリー」で視野に入れた2000年12月31日までの期間には約60人の死者が見込まれます.つまり,盛岡市における交通事故のリスクは約60と評価できます.

つぎに,国としてこのリスクを見てみましょう.ふつう地震で死ぬのはその地域の住民の1%以下です.仮に震度7の地震が,200年に一度,2000万都市を襲うとしても,死者を1%とみれば,2年の時間内でのリスクは約2000です.現在の盛岡市への岩なだれの危険は(国の施策としてみても)看過できない対象だと私は思います.


1998.10.20

防災対策のために使うことができる資金と時間は有限です.発生確率が大きいシナリオの対策だけでなく,リスクが大きいシナリオの対策も優先的に検討されるべきだと私は考えます.

「リスク」=「被害人口」x「発生確率」です.


1998.10.18

確率算出に用いたデータは,以下を含みます.

  1. 岩手山の地形
  2. 岩手山の噴火実績
  3. 日本の火山の噴火実績


1998.10.15

2000年12月31日までを視野に入れて確率を計算しました.私個人の経験と思想に基づいて算出したものですから,別の研究者がやれば別の数字になります.科学を,再現可能かつ反証可能な知的営みと定義するとしたら,この確率算出は知的営みではあるが科学ではありません.


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