岩手山

火 山 観 測 情 報

第 77 号

平成10年12月25日14時00分
盛岡地方気象台 発表

火山名  岩手山

12月18日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。

【概況】
火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,火山性微動が発生しています  
。今後の火山活動に引き続き注意が必要です。

【震動観測】
・ 東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数
 (本日の13時現在)
  月  日	火山性地震	火山性微動
 12   18	    12回	     0	
 12   19	     1  	     0	
 12   20 	     7  	     0	
 12   21	     8  	     0	
 12   22 	    6  	     0	
 12   23	     4  	     0	
 12   24	    11 	     1	
 12   25	     2 	     1	
・ 岩手山西側の姥倉山〜黒倉山付近,鬼ヶ城〜山頂付近で地震が観測されました。  

・ 火山性微動の震源は24日のものは岩手山東側,25日のは岩手山西側と推定さ  
れます。
・ モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震は19日に1回観測されました。  

・12月24日にマグニチュード(M)2.4の地震が発生し,雫石町長山で震度1  
を観測しました。この地震は9月3日に発生したM6.1の地震の余震と考えられま  
す。

【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】
18日,23日,25日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂  
付近が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。

【地磁気全磁力観測】
  気象庁気象研究所による9月〜12月にかけての岩手山山頂付近の地磁気の全磁力  
観測では,全磁力に変化はありませんでした。


次の火山観測情報は,1月5日(火曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大き  
な変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。なお,平成11年の火山情報の  
情報番号は年が新しくなることから第1号からとなります。
火 山 観 測 情 報 第 76 号 平成10年12月18日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 12月11日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,モホ面付近の地震が引き続き 発生しています。今後の火山活動に引き続き注意が必要です。 【震動観測】 ・ 東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在)  月  日 火山性地震 火山性微動 12 11 10回 0 12 12 6  0 12 13 3  0 12 14 4  0 12 15   9  0 12 16 7  0 12 17 3  0 12 18 6  0 ・ 岩手山西側の黒倉山〜姥倉山付近,鬼ヶ城〜山頂付近で地震が観測されました。 ・ 火山性微動は観測されませんでした。 ・ モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震は11日に2回,15日に3回, 16日に2回観測されました。 (*前号の修正:12月4日の火山性微動回数は1回でした。) 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 18日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付近が雲に覆われ て表面現象は確認できませんでした。 【地殻変動観測】 国土地理院のGPS観測では,山体に近い基線(M寄木〜M西山)は9月3日の地震以 前の3ヶ月間に2〜3cm継続的に伸び続け,地震時に1〜2cm程度縮んだものの,そ の後の3ヶ月間も継続的に伸び続けています。東北大学のGPS観測では,岩手山西側 の南北伸張の傾向は7〜8月頃から鈍化しているものの,現在も続いています。 次の火山観測情報は,12月25日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に 大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 75 号 平成10年12月11日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 12月4日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】  火山性地震の回数はやや少ない状況で推移しましたが,深さ30km付近のモホ面 付近の地震が引き続き発生しています。今後の火山活動に引き続き注意が必要です。  なお,9日から地震計2地点と空振計2地点を増設し引き続き火山活動を監視して います。 【震動観測】 ・ 東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在)  月  日 火山性地震 火山性微動 12 4 3回 0 12 5 8  0 12 6 7  0 12 7 7  0 12 8 1  0 12 9 9  0 12 10 9  0 12 11 8  0 ・ 岩手山西側の黒倉山付近,鬼ヶ城付近で地震が観測されました。 ・ 火山性微動は観測されませんでした。 ・ 7日にモホ(モホロビチッチ不連続)面付近の地震が2回発生しています。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 4日,6日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付近が雲に覆 われて表面現象は確認できませんでした。 次の火山観測情報は,12月18日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に 大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 74 号 平成10年12月4日15時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 11月27日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震は11月29日に黒倉山付近で連続して発生し回数が一時的に増加しまし たが,その他の日は少ない状況で推移しました。火山性微動も発生しており,今後の 火山活動に引き続き注意が必要です。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在)  月  日 火山性地震 火山性微動 11 27 2回  0 11 28 1   0 11 29 31  0 11 30 6   1 12  1  9   0 12  2 9   1 12  3 8   1 12  4 3   1 ・ 岩手山西側の黒倉山付近,鬼ヶ城付近,山頂付近等で地震が観測されました。 ・ 地震が11月29日15時台の1時間に15回(震源が決まらない小さな地震も 含む)連続して発生しました。これらの震源は主に黒倉山付近と考えられます。 ・ 火山性微動は4回観測されました。このうち11月30日と12月4日の火山性 微動の微動源は山頂東側と推定されます。 ・ 12月1日に岩手山東側のやや深いところ(4〜8km付近)を震源とする低周波 地震がありました。 ・ 12月2日にマグニチュード(M)2.8の地震が発生し,雫石町長山で震度2 を観測しました。この地震は9月3日に発生したM6.1の地震の余震と考えられま す。 ・ モホ面付近の地震も11月30日に1回発生しています。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 29日,2日,4日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付近 が雲に覆われて表面現象は確認できませんでした。 【地殻変動】 東北大学のGPS観測では,岩手山西側の南北伸張の傾向は7〜8月頃から鈍化して いるものの,現在も続いています。また,国土地理院のGPS観測でも,山体に近い基 線で9月3日の地震以前の2ヶ月間に2〜3cm継続的に伸び続け,地震時に1〜2cm 程度縮んだものの,その後の3ヶ月間も継続的に伸び続けています。 次の火山観測情報は,12月11日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に 大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
           岩手山の活動経過(11月)  岩手山では,11月に入っても火山性地震,火山性微動,モホ面付近の地震の発生 が続き,地殻変動も継続している。11月の1日平均の火山性地震の回数は約8回で ある。山頂付近の現地観測では表面現象に大きな変化は見られなかった。  以下に,11月の活動経過の概要についてまとめた。 ・ 岩手山西側(鬼ヶ城付近以西)の火山性地震  岩手山西側の火山性地震は,11月上・中旬は少なかった。しかし,下旬には黒倉 山付近の地震が少し増加した。29日15時台の1時間に15回と連続して発生した が,この地震の震源は主に黒倉山から姥倉山の深さ1〜2kmと推定される。 ・ 鬼ヶ城付近の火山性地震  鬼ヶ城付近の火山性地震は,1日に6回発生し,内マグニチュード(M)2.7の 地震は鬼ヶ城付近ではこれまでの最大で,南北伸張の正断層型であった(これまでの 最大は9月3日と9月14日のM2.5)。その後は1日に2回以下であるが依然と して発生している。 ・ 火山性微動・低周波地震  火山性微動は少ない状態で,合計4回観測された。この中で11月3日,24日及 び30日の火山性微動の微動源は山頂東側と,25日の火山性微動は西岩手と推定さ れる。  山頂付近を震源とするやや深い(深さ4〜8km)低周波地震は,発生数は少ない が依然として観測されている ・ モホ面付近の地震活動  モホ面(モホロビチッチ不連続面)付近の地震活動は5月ごろから目立つようにな り,11月も依然として続いており16回観測された。この地震活動は岩手山の南側 と北東側で観測されているが,9月と10月に比べて南側の地震回数は同程度(10 回)であったが,北東側ではやや増加(6回)した。 ・ 地殻変動  岩手山大学合同観測班水準測量グループが11月2日から8日にかけて岩手山の南 山麓で実施した水準測量によると,これまで(7〜9月)の網張温泉付近の隆起傾向 は9月3日以降も続いている。  東北大学のGPS観測では,岩手山西側の南北伸張の傾向は7〜8月頃から鈍化して いるものの,現在も続いている。また,国土地理院のGPS観測でも,山体に近い基線 で9月3日の地震以前の2ヶ月間に2〜3cm継続的に伸び続け,地震時に1〜2cm程 度縮んだものの,その後の3ヶ月間も継続的に伸び続けている。 ・ 表面現象  7日に仙台管区気象台と盛岡地方気象台は岩手県防災ヘリコプターの協力による機 上観測と山頂付近の現地観測を実施した。機上観測では大地獄谷の噴気量は平常時と 同じであり,その他の表面現象にも変化はなかった。山頂付近の現地観測では山頂部 妙高山南東斜面と外輪山(御鉢)に従来からの地温の高い場所が引き続きみられ,御 室火口は地温の高いところはなかった。
火 山 観 測 情 報 第 73 号 平成10年11月27日14時00分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 11月20日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震はやや少ないながらも増減を繰り返しながら引き続き発生しています。 火山性微動も発生しており,今後の火山活動に引き続き注意が必要です。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震・火山性微動回数  (本日の13時現在)  月  日 火山性地震 火山性微動 11 20 21回 0 11 21 3  0 11 22 8  0 11 23 7  0 11 24 10  1 11 25 5  1 11 26 4  0 11 27    2  0 ・ 岩手山西側の黒倉山,大地獄谷,鬼ヶ城付近で地震が発生しています。 ・ 24日に黒倉山付近で地震が7回(震源が決まらない小さな地震も含む)観測さ れました。 ・火山性微動は2回観測されました。 ・ モホ面付近の地震も発生しています。 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 22日、26日は表面現象に変化はありませんでした。それ以外の日は山頂付近が雲 に覆われて表面現象は確認できませんでした。 次の火山観測情報は,12月4日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に大 きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。
火 山 観 測 情 報 第 72 号 平成10年11月20日14時20分 盛岡地方気象台 発表 火山名  岩手山 11月13日以降の岩手山の火山活動状況をお知らせします。 【概況】 火山性地震はやや少ないながら引き続き発生しています。本年2月から3月中旬と同 じ発生状況です。今後の火山活動に引き続き注意が必要です。 【震動観測】 ・東北大学の松川観測点で観測された日別の火山性地震回数  (本日の13時現在)  月  日 火山性地震 11 13 7回 11 14 10 11 15 3 11 16 5 11 17 5 11 18 10 11 19 15 11 20 15 ・岩手山西側の黒倉付近,大地獄谷,鬼ヶ城付近で地震が発生しています。 ・火山性微動は観測されませんでした。 ・モホ面付近の地震も発生しています。 ・東北大学によると岩手山西側では地震が減少しているが、鬼ヶ城付近を含む岩手山 東側では9月3日の地震(M6.1)以降増加が見られる。また、11月1日に発生 したM2.7の地震はほぼ南北伸張の正断層型であるとしています。 (*前号の修正:11月1日に発生したマグニチュード(M)2.7の地震の発生時 刻は03時27分ではなく03時23分の誤りでした。) 【遠望観測及び監視カメラ(東北地方建設局岩手工事事務所)による確認】 14日は表面現象に変化はありませんでした。20日午前中大地獄谷の噴気はやや多 めに見えました。それ以外の日は山頂付近が雲に覆われて表面現象は確認できません でした。 次の火山観測情報は,11月27日(金曜日)14時頃に発表しますが,火山活動に 大きな変化があれば,随時,火山情報でお知らせします。

  (カウント開始:1998年7月16日)