噴煙から降下するテフラ
Tephra Fallout from Eruption Clouds
 
 流動性をまだ保っているマグマが爆発によって引きちぎられると,特徴ある形態または内部構造をもつ火山弾が生ずる.火山弾は直径数cm程度の小さなものから,1mを超える巨大なものまで大小さまざまである.火山の火口からは,火山弾だけでなくすでに固結した岩塊も弾道軌道を描いて投出される.
 紡錘形火山弾.中心に核をもち,衣の断面に成層構造がみられる.核は,火口を満たした溶岩湖の半固結した表面の破片あるいは火口の壁面を構成していた岩塊が溶岩湖内に落下してできる.火口内で爆発が起こってそれが外に放出されると,水飴のようにマグマの糸を引いて空中を飛行するから紡錘形になる.ただし,なぜ両端に糸を引くかはわかっていない.飛行中に回転することが重要なのだろうか?
(伊豆大島三原山,長さ29cm)
 
 パン皮火山弾.安山岩マグマによるブルカノ式噴火でごくふつうに生じる.飛行中に冷却されて表面にガラス質の皮殻が生じるが,内部はまだ高温で発泡を続けるため,いったんできた皮殻が破れる.亀裂の開口幅は,火山弾の上部で大きく地面に接した底部で小さいから,発泡による堆積膨張は着弾後も継続したことがわかる.
(左:草津白根山湯釜,長さ8cm;右:薩摩硫黄島,長さ12cm)

左:有核火山弾.厚さ3cmの皮をハンマーで叩いて割ったところ. (伊豆大島1986)
右: 牛糞火山弾.まわりの芝が焦げている. (三宅島1983)
 投出された火山弾や火山岩塊が地表に衝突するとクレーターができる.
(伊豆大島三原山の1987年11月16日爆発によるクレーター; Impact crater by November 16, 1987 eruption )

 
 火山弾や火山岩塊が地表に衝突すると,地表付近の地層が下にたわむ.たわみとその中で岩塊が占める位置が左右非対称なのは,右から岩塊が飛来したからである.

 成層したシルトの上に成層したスコリアがのっている.どちらも水蒸気マグマ爆発の堆積物だが,初期には外来水の比率が大きく,末期にマグマの比率が増大したからである.
(Auckland Volcanic Field, New Zealand)