スコリア丘の形成中あるいは形成直後に液体のマグマが火道を上昇してくることがしばしばある.マグマの密度はスコリア丘の山体の密度より大きいから,すり鉢状の火口内をマグマが満たして火口縁から溢れだすことはなく,スコリア丘と大地の境界面に沿って最大傾斜方向へ移動して,その裾から地表に湧き出して溶岩流となる.そのとき,湧き出し口の上のスコリアの一部は溶岩流にのって浮かんで運び去られて,最大傾斜方向に開いた馬蹄形凹地が生じる.溶岩流に浮かんで運ばれたこのようなスコリア丘の断片はスコリアラフト(scoria
raft)という.溶岩の皮で丸く包まれたものは溶岩ボール(lava ball)という. |
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馬蹄形スコリア丘と溶岩流の関係 |
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パホイホイ溶岩に運ばれたスコリアラフト
(Craters of the Moon, Idaho) |
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伊豆大島の1986年2BS溶岩の上に見られる赤いスコリアラフト.この噴火では,スコリア丘の形成と同時に火口からの溶岩の流出が始まった.このスコリアラフトは,噴火初期に火口縁に積み上がったスコリアがすぐさま溶岩で運び去られたものである.
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ちょうど同じころの北隣の割れ目BNでの噴火の様子.空に向かってスコリアを放出するのと同時に溶岩が流れ出している.
(1986.11.21.1711にANNで生中継された画像)
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このスコリアラフトは溶岩の皮に包まれている.溶岩ボールへの漸移型である.
(静岡県伊東市の大室山さくらの里)
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溶岩ボールは,噴火割れ目から火の泉がカーテンのように上がったことの証拠である.噴き上がったマグマのしぶきは割れ目火口の縁にスコリア丘を一時的につくる.火口から溢れ出す溶岩流がそれを下流へ運び去る.このようなことは,揮発性成分に富んだマグマが噴出する噴火初期に限って起こる.溶岩ボールをもつ溶岩流は例外なくアアである.
(Keamoku lava, Mauna Loa, Hawaii) |
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