三宅島の南西山腹に1983年10月3日15時15分に突然開いた噴火割れ目は,0.7m/sの速度で北東と南西に1kmずつ伸長した.北東への伸長はそこで停止したが,南西への伸長が30分後に再開し,さらに2km伸びて海岸に達した.
生じた噴火割れ目は,北東から南西に向かって,A, B, ..., K, P, ..., Tと符号が与えられた.A-K火口ではストロンボリ式噴火が起こり,P-T火口ではおもに水蒸気マグマ噴火が起こった.噴火は翌4日朝までにすべて終了した(荒牧・早川,1984;早川ほか,1984).
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一定量のスコリアが累積しないと斜面の傾斜は安息角に達しない.この割れ目火口からの噴火は二時間ほどで終了した.このため崖錐斜面が形成されなかった.これは,いわばなりそこないのスコリア丘の列である.
地下に隠れた噴火割れ目からスコリア丘内部の割れ目を伝わって火山ガスが上昇し,白〜黄色の昇華物が表面に生じている.
(A,B火口) |
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スコリアが堆積したのが斜面の上だったため,最大傾斜方向に直交した割れ目が生じて斜面をずり落ちた.
割れ目火口から溢れだした溶岩もそのずり落ちを助けた. |
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スコリア丘の表層1mは大気に放熱したため黒い.基底50cmも地面に熱を奪われたので黒い.内部のスコリアは長く高温状態に保たれ,その間に大気中の酸素と結びついたので赤くなった.
(D火口付近) |
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2m内外の厚さでスコリアが堆積した地域では樹型孔がいくつも見られた.噴火後4日経過しても内部は高温を保っていて真っ赤に見えた.スコリアの酸化が進んでいた.
(1983年10月7日撮影) |
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