サージがつくるマールとタフリング
Maars and Tuffrings Formed by Surges
 
 サージのうち,軽石を含むものの中にはM4.0を超える大量の堆積物を残した例もある.ただし,このような規模の差が噴火現象として本質的な違いによっているかどうかはよくわからない.
 サージは左から右へ流れた.堆積物の波頭は時間とともに流れの方向へ移動した.これをclimbing rippleとよぶ.砂漠でみられるバルハン砂丘が風下に移動するのと同じである.火口に面した左斜面の多くは後続のサージによって浸食されて生じた.
(Laacher See, Germany)
 波うった層理はみえるが左右の斜面に系統的な違いはみられない.崖が流れの方向に垂直に切られているからである.
(Laacher See, Germany)
 池田湖をつくった6600年前の噴火(M5.7)の堆積物のうち,プリニー式軽石とそれを覆うサージ堆積物が写っている.サージ堆積物にみられる斜交層理には,波状堆積によってつくられたものと浸食によってつくられたものの二種類がある.
(指宿市十二町)
 新島南端の向山の位置から9世紀に発生したサージの堆積物の断面.延長4.5kmの海岸線に連続的に露出している.サージは左から右へ流れた.
(新島の羽伏浦)