サージがつくるマールとタフリング
Maars and Tuffrings Formed by Surges
 
 サージの堆積物がつくる顕著な火山地形としてマール(maar)とタフリング(tuffring)がある.サージはあまり遠くまで達しないから,それによってつくられる地形も火口の近くだけにとどまる.

 できあがった小火山の火口底が地下水面より低くて中に水がたまっているときはマールとよぶ.
 ここは標高2000mだが,火口の凹地に水がたまって池となっている.火口縁の盛り上がりはわずかである.1万年より新しいだろうが,正確な噴火年代はわかっていない.右手駐車場そばの小さなくぼみは1902年の火口.
(草津町白根山の弓池)
 ドイツ・アイフェル地方のこれらの湖水を呼ぶマールという語が火山学用語になった.右の地上写真は,左の空中写真の一番下にあるGemunden Maar.
(左の写真は,Daunによる”Vulkan - Eifel”から)
 1640年に形成された新澪池マールから1983年噴火に再度噴火が起こって火口が拡大した.白色の3PQ岩塊を黒色の5Pスコリアが覆っている.3PQ岩塊層の下に埋没した2Pスコリア丘の断面が正面の壁にみえる.背後はK火口.
(三宅島の新澪池)
 新澪池から投げ出された岩塊がすぐそばのアスファルト道路を直撃した.マールをつくる噴火は近寄るとたいへん危険である
(三宅島の新澪池)
マールとタフリングの地形断面の違い.水平線は地下水面をあらわす.