山体崩壊による岩なだれの堆積物
Edifice Collapses and Debris Avalanches
 
 崩落した山体ブロックには,落下の衝撃以外は有効な粉砕メカニズムが働かないから,岩なだれは大きなブロックを抱えたまま高速で流れ下る.岩なだれの堆積物の中に,長さ100mを超える巨大なブロックがみつかることもめずらしくない.堆積層の厚さを上回る岩塊は堆積物表面に突出して小山をつくる.これを流れ山という.
 1980年5月18日の岩なだれでつくられた流れ山.樹木の侵入が始まっている.(Mount St. Helens, Washington;1997年8月撮影)
 鳥海山と象潟岩なだれの流れ山.2400年前の山体崩壊でつくられた.
 1984年9月14日の長野県西部地震で御岳山の尾根のひとつが崩れ,そこから大量の土砂が伝上川を高速で流れ下った.発生直後は,この流れは土石流だったという説もあったが,このような流れ山をもつことと,堆積物にパッチが多く認められることから,岩なだれだったことがわかる.
(長野県王滝村柳ヶ瀬; Ontake 1984 debris avalanche )
 磐梯山の1888年山体崩壊で流れてきた「見祢(みね)の大石」
(福島県猪苗代町見祢)

バッドランド(類似の地形) バッドランドの小丘群には隣接した小丘に連続する層理がみられるから,岩なだれの流れ山と簡単に区別できる
(Petrified Forest, Arizona) .