4.20(木)

▼「最初の噴火に予想以上の危険性 」読売新聞.本文はすぐれているのだが,見出しの「予想」の文字がそれを台無しにしている.「予想」ではなく「直後の解釈」でしょ.(1750)
 
有珠山の論理ツリー(1640)
 
▼安全が確認できたから避難指示が解除されたのではありません.危険だけど帰るんです.ここのところを,よ〜く理解してほしい.不安な人は帰らないのがいい.危険でもしょうがないと思う人だけが帰るのです.(1140)
 
▼...と,脅すようなことを言ってはみたものの,3.31噴火から20日間が比較的落ち着いて経過したいま,当初心配していたようなおそろしいことは起こらないのじゃないかな?と私は思い始めています.論理ツリーをつくって表現してみるつもり.もうしばらくお待ちください.
 その間に,関心のある方は,岩手山の論理ツリーをごらんください.噴火しないという「予知」は,当たってもだれもほめてくれないんだよな.(1015)
 
▼けさの読売新聞「マグマ位置初推定、地下3〜7k」もたいへん重要な記事です.ただし見出しの「初推定」は誤りです.国土地理院による推定結果を朝日新聞が4月8日に伝えました.国土地理院の推定結果は同じく4km四方ですが,厚さ10メートルでなく1.7メートルでした.したがってマグマ体積は,読売新聞が伝えた北海道大学の笠原教授グループの1億6000万立方メートルより小さくて,2700万立方メートルです.(なお笠原教授のこの1億6000万は,すでに NHKテレビが4.16.1900に放送したニュースです)
 2700万と1億6000万のどちらが正しいかは,いまさほど重要な問題ではありません(地学ってこれくらいの違いをへーきで無視する).3.31噴火で出たのが10万程度.現在まで出た量すべてを加算しても100万に達しない(重量を体積に変換して説明してますが,わかりにくければ気にしなくてかまいません.水1立方メートルは1トンです.これにマグマの密度を考慮する必要があります.有珠のマグマは水より2.3倍くらい重い.).それにくらべたら,桁違いに大きな量です.それだけのマグマが,いままさに噴火しようと地下で待機しているのかもしれない.
 つまり3.31噴火と同じかもしくはそれよりずっと大きな噴火が,3.31噴火が音もなく始まったように,前触れなく起こるかもしれないと,国土地理院と北海道大学のデータは考えさせます.この考えは,4.12統一見解と矛盾するように,私にはみえました(0955)
 
▼3.31噴出物の約半分がマグマの破片だったという地質調査所の見解がようやくマスメディアで報道されたかもしれない.かもしれないというのは,メディアを持たない時事通信の配信記事だから,どこの新聞がそれを書いたかわからない.
 「軽石」のところの記述がちょっとへん.この記事を書いた記者の理解が完全ではなかったことを示唆している.かなりむずかしい話だから,しょうがないかも.でも,火山学者は理解すべきだ.異論がある人は討論すべきだ.この新解釈は,今後の有珠山の噴火を予測する上で,たいへん重要なものだから.
 この新解釈が初めてウェブに出たのは4月8日のこと.このような重要な新解釈がきょうまで捨て置かれたのはどうしてだろう?この国のマスメディアの力が足りないだけのせい?(0715)