Date: Thu, 6 Apr 2000 17:13:13 +0900
お名前:中島 徹
年齢:20
性別:男
職業または学年:大学二年次
質問か意見かの別:質問
その内容:
「洞爺カルデラがさらに陥没するような大規模火砕流が出る確率は0.1-1%.」、
「プリニー式噴火が発生する確率は71%」、とありますが、このような計算は、火山
学に基づく公式によるものなのであるとお察します。
自分は火山学について薄学なのですが、それにはどのような因子が作用しているの
でしょうか。先生が示されたパーセントの根拠となるものをお教えいただきたく思い
ます。
お寄せいただいた質問・意見内容を私が公開するとき,お名前を公開していいかど
うか:結構です
質問をお寄せいただいて,ありがとうございます.もう少し説明しないと不親切かな,と思っていた個所への質問でした.
「公式」などという大それたものはありません.過去の事例(数はあまり多くないけど)から割り算しただけです.7回のうち5回で発生していて,今回が8回目なら,起こる確率は,5/7=0.71428....です.7回という数え方が正しく,かつ今回が8回目であることが証明されないと,この割り算には意味がありませんが,それを証明することはほとんどできないといってよい.これが,地質学が物理学などの再現可能かつ反証可能な科学と大きく違うところです.
大規模火砕流が出る確率は,次のように考えて計算しました.洞爺カルデラを作った噴火は10万年前に起こりました.それ以後,現在まで起こっていません.最近10万年間に,上で数えたような噴火は数百年に一回の割合で起こったと考えます.1663年から現在までに8回も起きているのだから,もっと発生間隔は短いはずだと思うかもしれませんが,ここではもう少し別のデータも加味して数百年に一回だとします.具体的には,(有珠山を含む)洞爺湖の噴火の歴史と,それから世界中の火山噴火のくせを考慮します.
そういう,ちょっとずるい考察をして,数百年に一回だとします.すると,今回のような危機は最近10万年間には数百回訪れたことになります.その中で一回だけスーパーウルトラ壊滅的噴火が起こったわけですから,確率は0.1-1%になる,と考えました.
あんまり信用しない方がいいかもしれないですよ.
4.6.1840