草津白根火山の災害実績
草津白根山の噴火記録は,1882年8月6日に湯釜で起こった噴火(M2.7)のそれがもっとも古い.それ以前の草津白根山は長い間静穏だったようだ.1882年から1994年まで,噴火があった年は18年を数える.1930年代にはとくによく噴火した.1932年10月1日の噴火(M1.8)では,硫黄鉱山で働いていた工夫2人が泥流に飲み込まれて死亡した.有毒火山ガスによるスキーヤーの死亡事故と学校登山中の死亡事故が1970年代に連発したため,危険地帯にガス警報装置が設置されて効果をあげている.
最近の噴火は,1982-1983年に何度か起こった爆発(M1.0)である.このような小さな噴火でも,直径10cmの岩塊が山頂駐車場を直撃した.噴火がいったん始まれば,山頂域だけでなく,湯釜から3km以内の距離にある殺生河原・万座温泉・渋峠も投出岩塊の射程範囲内にあることを,観光客を含めてすべての関係者が,知っておくべきである.また,1902年には志賀草津道路の南側の弓池のほとりで爆発(M1.7)が起こって小火口を形成しているから,噴火口が開くのは湯釜周辺に限らないことも知っておくべきである.